オマケ



おまけ@

「お姉さんは、俺以外にも見えるんですか?」
──そりゃあねー、凄くそういうのが見える人とか、凄くチャンネルが合う人とかなら見えちゃうよね!あんまりいないけどー。
「ヒロ君は?」
──残念ながら見えないんだよねー。代わりに使ってるパソコンと相性良すぎて、たまに喋ってる内容がが打ち込まれちゃうから困るー。

 言ってるそばから、ヒロ君のパソコン画面に彼女の台詞が横槍を入れる。それを冷静に削除して続きを打つヒロ君は格好良い。言ったら、もう慣れました!、なんて爽やかな笑顔で言われた。お姉さんどんだけ邪魔したの。

「じゃあ、あの、お姉さんに少し似てたお姉さんは……」
──え、まさか魔女さんのこと?私似てる?マジで?うわぁー、自慢しちゃう嬉しいー!

 いや、勝手にテンション上げてるところ申し訳無いんだけど、俺の質問にちゃんと答えて欲しい。あともっと落ち着いて。またヒロ君の作業の邪魔してるからね?
 俺たち部屋から出てった方が良いかな?と気を利かせるつもりでソッと腰を浮かせると、出てくんですか?とヒロ君に寂しそうな顔をされたので座り直した。出てかない、出てかないから。だから部屋に鍵かけようとしないで。

──あの魔女さんはねー、元々結構見える人。それにプラス、何か怪しげな儀式してたから、場も整ってて感度アップしてた感じ。
「その、さっきから魔女とか、儀式とか言いますけど。……ガチなんですか?」
──ガチだよー。
「中二病的なアレではなく?」
──本当の本当に魔女さんだよー。現代を生きる黒魔女!別に変身もしないし、正体がバレたからってカエルになったりはしないけどね!!

 なんか軽快な歌を歌い始めた。いや、合いの手を求められても知らないし。どうしよって訊かれても、今は好きにしろよって気分だし……。ノリ悪ーい、じゃないよ。だったら乗れるノリを用意しろよ。

「そのお姉さん、ボクを日本まで連れて来てくれたあの人だよね?あの人はすごいよ!空も飛べるんだから!!」
「空ぁ?」
「ボクがベランダから飛び降りた時、掴まえて助けてくれたのはあの人だからね。ボクも一緒に空を飛んだんだ!」
「……へー、すごいですねー」

 ベランダから飛び降りるってなに?と思ったが、深く聞いちゃいけないだろうと流した。そっかー、箒で空を飛ぶのかー。ファンタジーだなぁ。

──急にそんなこと聞いてきてどうしたの?

 どうしたのって。

「別に。お姉さん本当は俺の背後霊でもなければ、地縛霊でもないですし、俺より話しやすい相手でも探しに行けば良いのにと思いまして」
──おやおやぁ〜?嫉妬ですかぁ〜?私がいなくなるかもと思って寂しくなりましたぁ〜?

 語尾を上げるなウザい。

──大丈夫だよー、だって君が一番ウマが合うんだもん。末代までとはいかなくても、君の代はきっと一緒にいるからさ。
「俺の代とか、お姉さん何年フラフラするつもりで……。て言うか、その年で“もん”とか恥ずかしくないですか?そもそもお姉さん、何歳なんですか?」
──永遠の15歳だよ!
「ヒロ君、お昼ご飯なに食べたいですか?」
──明らかな話題転換ッッ!つらッッ。
「ボク、中華食べたい!」
「中華ですか。この辺りだとどこにお店ありましたっけ?」
──電車乗るけどここがおススメだよー。

 慣れた手付きでパソコンの画面をナビ画面に変える彼女。俺はもう何も言わない。



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