地獄産の刀が実装されました。
やぁやぁ、俺は真天広有。一度鍛えられた後、以津真天っていう怪鳥を射た鏃を足して鍛え直された時に、この名前をもらったんだ。
付喪神で、妖刀、そして地獄の獄卒。俺を扱える人間が、はたして現世にいるのかなぁ?
□□□
肌を焼くような暑さも、耳に残る亡者の呻きも、鼻をつく鉄の臭いも。昔々の俺なら不快に感じて吐き気の一つや二つ、どころか胃の中身を空っぽにする勢いで吐きまくっていただろうに、今の俺にとってはむしろ普通と言うか日常と言うか、快適と言っても差し支えない。
なんならいっそ、もっと熱くても全然構わないし、鼻歌を交えられるくらいのBGMだし、そろそろ腹も空いてきたから昼ごはんは何食べようかな、なんて暢気に考えられる。
どうせなら一緒に昼ごはん食べられないかなー、と期待しつつ、目的の人に会いに閻魔殿の扉を開いた。
「あっ、広有さん!真天広有さん、気を付けてください!!」
一歩中に踏み入れた途端、通路の奥から名前を叫ばれた。
目をしばたたかせて真正面を見れば、経帷子に天冠を身に付けた、紛うことない見慣れた亡者のおっさんが、物凄い勢いでこちらに向かって走ってきていた。そのまた後方を走るのは閻魔殿で働いている鬼が二人、必死の形相で亡者を追ってきている。叫んだのはあの二人のどっちかだな。
「なんだなんだ、往生際の悪い亡者がいるなぁ」
「うるせぇッ!どぉきぃやぁがぁれぇぇぇッ!!」
亡者が何か喚きながら無策に突っ込んでくる。
目の前で通路を塞いでいる俺が見えてないんだろうか?それとも、……いやいやまさかとは思うけど、俺が怯んで道を譲るとでも思ってる??まぁ、俺の外見年齢は中高生くらいで止まっちゃってるからなぁ。たまにいるんだよね、他の鬼みたいに厳つい見た目じゃないからって舐め腐ってくるおバカさんが。それはもう、超が付く馬鹿野郎さんが。
俺は静かに腰を落として、腰の左側に佩いている太刀の柄に手を掛ける。亡者はそんな俺の様子に気が付いていないはずがないが、速度を緩めず、構わず走り抜けるつもりらしい。
「いい大人が、いつまでも我儘言ってんなよ!」
抜き放った刀で亡者のおっさんに痛恨の一撃!!
おっさんは勢いよく近くの柱に激突し、めり込んだまま血反吐を吐き白目を剥いて意識を飛ばした。
ついつい力加減が出来ず、柱にでかいクレーターを作っちゃって冷や汗が流れる。小さい声で「あ……」って言っちゃったけど誰も聞いてないよね?いいかい?あれは俺の所為じゃないからね?もともと老朽化していたから、脆かったからだから。だからどうか修繕費が俺の給料から差し引かれたりしませんようにお願いいたします……ッ!
「……フッ、安心せい峰打ちじゃ」
「結構イイ感じに斬られてますけど」
なんでもない風を装って、血振りをしてから鞘に刀を納める。得意げに笑いながら一度は言ってみたい台詞を言う俺に、微動だにしない亡者を見下ろしている鬼が青い顔でツッコんだ。まぁまぁ良いじゃないですか、どうせもう死んでるんだしこれ以上死にようもないんだから。細かいことは気にしない気にしない。
だから柱のことも気にしない!!
――パチパチパチパチ
「いつもながら素晴らしい切れ味ですね」
亡者を引き摺り去って行く二人を見送っていると、入れ替わりに、閻魔大王様の第一補佐官を勤める一本角の鬼神様、鬼灯様が小さく拍手しながら現れた。相も変わらず赤い襦袢に黒い衣服、帯は貝の口に締められ、その上から結び霧の帯飾りをつけている姿は超絶にかっこいい。
あぁ〜〜、刀を振るってくれたら更に格好良さが増すのになぁ〜。鬼灯様、なんでか金棒に一途だからなぁ〜。刀だって絶対いい働きをするんだけどなぁ〜。
「お疲れ様です、鬼灯様!」
「真天さんもお疲れ様です。すみません、判決を聞いた亡者が性懲りもなく逃亡してしまいまして。ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、いいんですよ!鬼灯様のお役に立てるなら、俺としては刀冥利に尽きますから!!」
「はぁ、そう言っていただけると助かります。今後も獄卒として頑張ってくださいね」
「相変わらず鬼灯様はつれないなぁ。まぁワンチャンあるかもしれないですし?あーあ、俺が金棒より先に鬼灯様に会えてたらなぁ……」
今日も軽くフラれてしまった。振るは振るでも、俺が望んでるのはこれじゃないんだけどな。
でもめげないッ。俺の刃生あと何千年あるか分からないし、鬼灯様の鬼生もそれこそ何千何万年あるかもしれないからね。先は長い、猶予も長い。いつかもしかしたら億が一にでも気が変わってくれるかもしれないし、アタイ頑張るわ!
とりあえず、鬼灯様、お昼ごはんご一緒してください!
■■■
俺の名前は真天広有。
地獄で後に鍛冶屋を営む鬼さんが、一世一代の力作鍛えるぞ!と勢い込んで出来上がった刀、を、更に数百年だか数千年後に面白いもの手に入れたからっつって鍛え直して、宿っちゃった付喪神が俺。なんだけども。
でも俺、人間だった記憶もあるんだよね。良くも悪くも普通の中学生だったのに、気が付いたら刀の付喪神とか笑うしかない。
最初はさすがに夢かと思った。この刀が俺で俺は刀っていう理解しがたい感覚はあるけど、付喪神だなんて自覚はあるわけもないし、なんか身体も縮んでるし。アポトキシンでも飲んだのかな〜、あはは〜、……なんて。そう笑ってられたのも最初の内だけだけど。
夢から覚めなくて焦っても、何故だか誰にも俺の姿は見えなかった。周りには鬼も神様も妖怪も亡者だっているのに、まさかの俺だけ誰にも認識されないとかある?ないでしょ?
なんでだろうね。中途半端だったからかな?元人間で付喪神なり立てで自覚もなくて、そもそも付喪神って言葉も知らなかったから俺は何者??状態だったし。
そのまま数時間、数ヶ月、数年、数十年、数百年?刀になってから体は縮んだまま成長しないし、時間の感覚が曖昧でどれだけ経っていたかあまり覚えてない。取り敢えず夢が覚めなくて本当に現実かなんて知りたくもなくて、全部投げ遣って拗ねて不貞寝してたら、いつの間にか鍛冶屋の鬼さんは隠居していて、俺は知らん内に売りに出されていた。
しかも妖刀として。
妖刀って……。乾いた笑いしか出ない。
別に妖気を発しているつもりもないのに、一体なにがどうして妖刀なんて扱いになったのか。それどころか、我、付喪神ぞ?ん、付喪神って妖怪でしたっけ?神様じゃないの?どっち?
まぁどうでもいいけど。
これからどうなるんだろうなぁ、と刀の隣に体育座りして周りを眺めていたら、通りすがりのその人と目が合った。勘違いなんかじゃなく、刀として生まれてから初めて、人と目が合った瞬間だった。
衝撃的過ぎて脳が処理し切れず固まる俺を指差して、その人は店主に話し掛けた。刀の方の俺じゃなく、体育座りしている俺の方を指差して。
「そこの刀、付喪神がついてますよ」
それから急に周囲が慌ただしくなって、なんやかんや、俺は商品扱いじゃなくなった。それどころか今まで認識してくれなかった店員さんから俺自身である刀を手渡されて、スマンなと一言。え、見えてんの?
状況に追いつけない俺の前で、俺に初めて気付いてくれたその人は片膝立てて目線を合わせてくれた。
「あなた、自分の名前は分かりますか?」
「お、俺?俺の、名前は、鍛冶屋の人が真天広有って呼んでたので、それが俺の名前、だと思います」
「そうですか。私は鬼灯と言います」
刀になってから、初めての会話だった。
もう、ね!あぁ俺ってちゃんとここにいるんだなって実感したね!!ホント、会話って大事。目が合うのもすごく大事。
「つかぬことをお聞きしますが、真天さんは今後行く当てはありますか?」
「い、行く当て、ですか?鍛冶屋の人、はもう隠居したみたいだし、今更俺がいても迷惑にしかならない気がするし、ないと思います。はい」
久し振り過ぎる会話に緊張しつつ、吃りながらも言葉を探す。よく考えたら今の俺、家も無ければ金も無い。
どうすれば!?と脳内で慌てる俺の目の前に、一枚の名刺が差し出される。ど真ん中に書かれた“鬼灯”の文字は認識できたけど、他の役職みたいな部分は残念ながら頭に入ってこなかった。恐る恐る鬼灯様の顔を伺えば、随分と鋭い視線とかち合った。ヒエ、眼力強すぎでしょこの鬼神様……。
「よければ地獄へ就職しませんか?最初は契約、三か月後正社で」
「けいや、せい……?あ、はい、よ、喜んでー!」
焼肉屋の店員よろしく、俺は元気に頷いた。
だって俺を初めて見付けてくれた人からの誘いだったし、藁にも縋る気分だったし、他にどうすればいいかも分からない状況だったし。
その場の勢いに流されたとも言えるけど、刃生の選択としては間違っちゃいなかったと、今でも思ってる。
□□□
「とまぁ、これが俺の地獄で働き始めた経緯で、鬼灯様との運命の出会いってやつですよ!」
食堂内で、俺は過去に浸りながら話を締め括った。懐かしい。あれは何百年前のことだったかな?
話し始めるきっかけの小鬼の二人は、向かいの席に座ってそれぞれ違った視線を俺と鬼灯様に送ってくる。
「鬼灯様って、色んな所で色んな人ヘッドハンディングしてますね……」
「刃物は地獄の至る所で使いますから。その点、刀の付喪神なら配属先に困らないでしょう」
「確かに、それはそうかもしれませんけど」
「はい!斬って刺すのは当たり前、あれから下積みもバッチシこなして学びましたし、ついでに身長だってニョキニョキ伸びて、刃物どころかどんな拷問器具の扱いもお茶の子さいさいです!!」
片手をビシッと挙げて主張する。
そんな俺に黒髪短髪ツリ目の小鬼、真面目優等生系の唐瓜君はちょっと引きながら胡散臭げな視線を寄越してきた。大丈夫かこの人、と心の声が聞こえる。人じゃないんだ、刀なんだ。
「へぇー!付喪神って、みんなあの釜みたいになるんじゃないんだなー」
「え、釜?の付喪神がいるんだ。結構長く働いてるつもりだけど、この地獄で俺以外の付喪神がいるなんて知らなかったなぁ。今度会いに行ってみようかな?付喪神同士、話が合うかもしれないし」
「いや、あの付喪神には会わない方が良いと思う」
「俺もそう思う」
「そう?……じゃあやめとこ」
白髪パーマのタレ目な小鬼は茄子君。マイペースな雰囲気のある彼は、朧車の父親と鬼の母親のハーフらしい。へぇ、ハーフ産まれるんだなぁ。へぇ。
とても澱んだ目で頷き合う唐瓜君と茄子君に、不穏な気配を察知した俺はお仲間に会うのを大人しく諦めた。
「ああ、そういえば真天さん」
「ばりむしゃぼりばり……。んん、はいはい、なんですか?」
何か思い出したらしい鬼灯様に、本日の昼食であるシーラカンス丼の全身の骨を飲み込んでから返事をする。ここの食堂のシーラカンス丼は本当に美味しいから、地獄で働く予定のある人達に是非ともお勧めしたい。現世じゃ絶対食べられないからね。
「あなた以外の刀の付喪神に会える臨時のお仕事があるんですが、興味ありませんか?」
え、さっき諦めたばっかりですけどワンチャンある感じです?
_ _ _
「つまり、現世で時間遡行軍?が歴史改変を目論んで暴れているので懲らしめてやりなさいってことですか?」
「……もう少し難しくて重い話なんですが、まぁ、概ねその通りでしょうか」
場所は引き続き食堂のまま。昼休憩も終わって人が疎らになった空間で、食後のお茶を飲みながらのんびりと鬼灯様の話をかみ砕いて飲み込んだ。ついでに、事前に渡された厚めの資料もパラパラ捲って眺める。
まぁアレだ。刀の付喪神な俺は地獄の従業員やりながら、並行してタイムパトロールしろと。ちょっと重労働じゃない?軽めに喋ってはみたけど、結構重要な仕事だってことは俺でも分かるよ。最悪、地獄の仕事は休んでタイムパトロールに専念した方がいい案件かも。
「最近、天国や地獄から亡者が消えたり、逆にいるはずのない人間が死人として地獄を徘徊していたりするんですよ」
「ああ、そういえば少し前にも騒ぎになってましたね。あれが時間遡行軍の影響なんですか?」
「ええ。死んだはずの人間を生かし、死なないはずの人間を殺す。その所為で存在していたはずの人間すらいなくなってしまうのですから、まったく、余計な仕事を増やしてくれたものです」
現世では歴史の改変がどうのと問題らしいが、地獄としても死者の記録が勝手に変わって大問題の阿鼻叫喚だ。主に記録課が。特に葉鶏頭さんが。数週間前に、葉鶏頭さん以下記録課の鬼さん方が奇声を上げていたのはこの所為だったらしい。
そりゃあね。莫大な数の死者の記録の、どれがどれだけ変えられて増えて減っているのだか、考えただけで狂いそうにもなるよね。
「ちなみに地獄からお給料は出ません」
「それってボランティアじゃないですかヤダァ。重責と重労働をタダでとかキツイですよ」
「そこは現地の上司と要相談と言うことで」
お賃金貰えないのやだなぁ。俺は俺の生活の為にもお金は欲しい。
「まぁお金のこともそうですけど、正直、ただの人間に名前握られるのが嫌で嫌でしょうがないんですよね。はーあ、恐い恐い。よく他の付喪神さん了承しましたね」
「それは私からはなんとも」
「それに俺、降るなら鬼灯様か次点で閻魔様がいいなって決めてるんですよねぇ」
「……勝手に決められても迷惑なのですが」
まぁまぁご遠慮なさらずに。そんな眉間に皺寄せないでもろて。
でも本当、名前の件が隘路だな。何でわざわざ審神者とか介さないといけないんだろう。現世視察しに行くノリでどうにか出来ないもんかな。出来ないんだろうな。出来ないからこの仕組みが作られたんだろうしな。
「うーん。……あ、偽名使えばいいですね。審神者も別の名前使ってるみたいですし、俺が使っちゃいけないなんて資料にも書かれてませんし。あー、でも俺そこまで名付けに自信無いなぁ。うん、濁点取ればいっか」
「おや、随分と乗り気ですね。こちらとしては助かりますが」
「そりゃあまぁ、鬼灯様からのお話ですからねぇ」
にっかり笑って答えれば、鬼灯様はいつもと変わらない無表情で「そうですか」とだけ返される。そこはもう少し心揺すぶられて欲しいところォ!
そんなわけで提案者が誰かまでは知らないけど、話持ってきたのが鬼灯様の時点で受ける以外の選択肢は無いんだよなコレが。鬼灯様が!俺を頼ってくれてる!んだからさ。こんな俺の性格分かった上で鬼灯様を介してるなら、提案者は良い性格してる。
ペラペラ資料を捲って、最後の数枚にわたる写真群に目が留まった。
「へー、今いる付喪神の一覧がありますね。どうやって調べてきたんでしょう、……うわイケメンばっか。ああ、短刀はショタなんですね、俺より歴が長そうなのもいるのに不思議だなぁ」
顔の良さもあって、まるでアイドル名鑑を見ている気分になる。実際に会ったら、ついサインとか頼んじゃいそう。ヤベェな、オラわくわくすっぞ!
「……くれぐれも、くれぐれも仕事であることを忘れないでくださいね」
「えっ、だ、大丈夫ですよ!任せてください!!」
テーブルに乗り上げてまで顔面で圧を送ってくる鬼灯様へ、胸を張って自信満々に返したのに、何故か最後まで疑わしそうな冷たい視線のまま変わらなかった。もっと部下を信じてくれてもいいんやで!
□□□
「やぁ!俺は真天広有、地獄からきた刀だって言っても、あんたは信じないだろうなぁ」
桜吹雪の中、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!ってな感じに俺が登場しましたよ。
周りを見回してから、正面に視線を向ける。資料にあった通り、呼ばれた場所は鍛刀部屋。刀を鍛える場所なだけあって熱気がすごい。と言っても、地獄に比べれば全くまだまだ涼しいくらいだ。
場所を確認した後は、この場での上司の顔を確認する。
「なんだ……?おかしなのが出てきたな……」
うん!一言で言うと、和装の垂金○造かな!!
もうこの時点で、正直今回の顕現場所しくったなって気分。でも俺の中の天使が「見た目で判断するなんていけないことですよ」と囁くから、噯にも出さない。まぁ、俺の中の悪魔の方は「性格が見た目に出ることもあるよねぇ」などと他人事のように投げ遣りに言ってくるけれど。
ジロジロと値踏みするような視線を向けてくる審神者に、にっこり営業スマイルをお返しする。
「……まぁいいか。おそらく現状顕現数が少ないだけだろう」
残念!少ないどころかここが初の顕現だよ!!
そんなことを知るわけもない審神者は、一人納得して俺から視線を逸らして何やら機械の端末を操作し始めた。
え?俺が自己紹介したのに自分は名乗らないの??この審神者人付き合いの最初の一歩をご存知ない感じです???名乗られたならお前も名乗れよ????……なんだかもう地獄に還りたくなってきたな。
俺も審神者から視線を外し、その後ろに控える青年に目を向ける。白いスラックスに紺色の軍服のようなブレザーのような上衣。それらは所々擦り切れて、覗き見える肌には血が滲んでいる。黒髪の爽やかな好青年フェイスには、疲労がありありと浮かんでいた。その中でも死んだ魚のような目には、妙な既視感がある。あれだね、何徹もしてる記録課の面々だわ。
こんな社畜みたいなの貰った資料にいたかな、と脳内の刀帳を捲るが社畜に該当は無い。見た目としては、堀川国広に一番近いかなぁ。ていうか堀川国広だなこの刀。
「(これはアウトでは?)」
もしかしなくとも、ここはブラック本丸というやつなのではないかな?俺知ってる。分厚い資料の中に、出来る限り顕現を避けた方がいい本丸※関わるなら外部からにしましょう、って真っ赤な文字で書いてあったもん……。とても急激に迅速に即刻[[rb:地獄>おうち]]に還りたくなった。
「堀川、部屋に案内した後は出陣の準備をしておけよ」
「わかりました。……でも、あの、主さん、刀装はもう……」
「分かっている!」
「す、すみません……」
声を荒げる上司さんと、頭を下げて消え入りそうな声で謝る堀川国広。絵に描いたような高圧的な上司と逆らえない気の弱い部下のやり取りに、内心アワアワと対応に困る。そういうの、職場の空気を掴めてない新人の前でやっちゃいけないやつだからね?
ドスドスと足音を立てながら鍛刀部屋から出ていく上司を見送り、頭を下げたまま動かない堀川国広の様子を窺う。声をかけるべきか大人しく待つべきか。なんとも居心地の悪い状態に悩んでいると、堀川国広が緩慢な動作で頭を上げた。そしてこちらに振り返り、先程までの出来事が嘘だったかのように優しく笑いかけてくる。
「すみません、放ったらかしにしちゃって」
「いやいや大丈夫。放置プレイには慣れてるからね、気にしなくていいよ」
「そう言ってもらえると助かるよ」
終始笑顔の彼だが、その眼は死んだ魚の目である。とても精神的にくるけれど、表情には出さず俺も笑顔を向けた。
「簡単にだけど本丸を案内するね」という提案に素直に従う。
「僕の名前は堀川国広。新撰組の、土方歳三の脇差さ」
「え。有名人じゃん、すごい」
俺に語彙力はない。
鍛刀部屋を出て歩き出そうとしたところで、自己紹介がまだだったねと堀川国広が立ち止まってのやり取りだ。よろしくと差し出された手に応えようとして、ハタと動きを止める。そんな俺の様子に、堀川国広は不思議そうな顔をした。
「どうかした?」
「いや、あの、触っても大丈夫かなー?と思って」
「……、ああ、僕と刀種が違うからね。力加減を間違えて、僕に怪我をさせるかもと思ったのかな?」
「いやぁ?ちょっと違うなぁ」
「え?」
お互いの認識に齟齬があるな。
向かい合って手を差し出し合った状態のまま、同じようにこてりと首を傾げあう。
「俺ね、地獄の刀なの」
「そうなんですね!」
「軽い軽い。反応軽いね、まぁいいけど。
ホラ、地獄ってアレな人間が大量にいるからさ、元々そこ在住な俺みたいのなら平気だろうけど、そうじゃない他の刀剣男子に悪影響が出たりしないかなって、今更だけど、ね?」
「うーん、きっと大丈夫ですよ!」
「やっぱり軽いんだよなぁ」
本当に大丈夫なのだかどうなのか。何を根拠にしているのか根拠なんてないのか。そもそも俺が地獄から来たってこと自体信じてないんじゃないかなこれは。威厳?獄卒としての威厳が足りないの?
行き場をなくしていた俺の手を堀川国広、もう堀川君でいいか。堀川君が素早く掴んでシェイクハンド。よろしくお願いしますねと笑顔の彼は、特になんともないようだ。
……俺の気遣い無駄だったかも。現世の付喪神に地獄出身地獄在住の俺は合わないのでは?触ったら反発とか、悪影響とか与えるのでは?なんて考えたりもしたのだけれど。本人たちが気にしないなら、もうどうにでもなぁれ☆
自己紹介が終わり、道案内が再開される。
ほぼほぼ障子と襖で覚えられる気がしない。目印が欲しいよね、鬼灯様の部屋なんて分かりやすく鬼灯マークが付いてるし。そして俺の部屋には鳥マークが付いている。
「ほ、堀川さん。新しい、刀剣、ですか?」
進んで行くと先の部屋の障子が開いていて、白いふわふわとした髪の毛の子供が顔を覗かせた。脳内刀帳をペラペラ捲り、短刀の五虎退だと思い至る。
堀川君同様、お疲れのようだ。
「うん、そうだよ。さっき鍛刀されたばかりなんだ」
「やぁ、俺は真天広有。地獄産の刀だよ」
「は、はじめまして、五虎退です。あと、あの、こっちが虎くんで、あ、あれ?……いなくなっちゃいました……」
「うわぁ、泣くな泣くな!」
俺のにこやかな挨拶にホッとしてくれたのも束の間。涙目になってプルプル震え始めた五虎退に、俺が悪いわけではないはずなのに罪悪感が募っていく不思議。俺の心が軽傷、誰か俺を手当てして。
極力平静を装いつつも、内心は大荒れだ。こんな庇護欲をそそる子供にどう対処しろと?
小さい子供の相手は賽の河原で慣れているつもりだったけれど、あそこにいたのは結構図太い餓鬼んちょ連中だ。もしくは小鬼という種族なだけの、小さいが立派な社会人。それで言ったら目の前の付喪神も、十分立派なご高齢の可能性が……。いや考えるのは止めよう。
「虎?虎がいなくなったの?ていうかこの本丸、虎飼ってんの?」
「五虎退には仔虎が五匹一緒にいるんですよ。他の本丸でも、五虎退がいればほぼ必ずいますね」
「へぇ、本丸ってサファリパークぅ〜」
「さ、さふぁりぱぁく、ですか?」
「アッ、動物園ってことね。動物園はわかる?」
ペット同居可の物件はよく見るけれど、さすがは本丸、犬猫どころか虎ときた。でも地獄はジュラシックパークだから負けてない。生の恐竜が近過ぎちゃってどうしよう状態だからね。
「良かったら虎くん探すの手伝おうか?動物はそれなりに得意だよ」
「い、いいんですか?」
「いいよいいよ」
俺の提案に、五虎退は喜色を現す。涙も引っ込んだようで良かった良かった、と安心するも、
「駄目ですよ!」
堀川君の固い声が、少し緩んでいた空気の中で響く。俺と五虎退の視線を集めた堀川君は、ハッとした後に苦い表情で俯いた。
急に声を荒げられてしまった俺は、何かマズイことを言ってしまったのかと目を白黒させる。でも五虎退、五虎退君は喜んでくれたし、と視線を下げれば、こっちはこっちでまた泣きそうになりながら震えていた。
「どうしたの堀川君。急に大きい声出されて俺も五虎退君もびっくりだよ」
「す、すみません……。でも主さんに、出陣の準備をするよう言われてますから」
「出陣、ですか……」
“出陣”という単語に、五虎退君は見るからに暗くなる。どころか、堪えていた涙をポロポロと流し始めた。
これはひどい。確かに、五虎退はあまり進んで戦場に向かう刀ではないと資料に書かれていたけれど、これはちょっと異常なのでは。謂れは色々あるだろうけれど、それでも戦の道具となる刀の付喪神がここまで拒否反応する?嫌だなって言ったり思ったりはするけど、さすがに泣くほど嫌がらないでしょ。
今まで頭の隅で頭をもたげていた疑問が「おや出番ですか?」と声を出す。脳内の天子さんと悪魔さんは額を突き合わせてご相談を始めたようである。
「五虎退君、出陣したくない感じ……?」
「い、いいえ、僕だって戦えます!でも、あの、あるじさまは……、あう……」
あるじさま、と言った途端に五虎退君の涙の量が増す。ポロポロがボロボロになって、慌ててハンカチを渡したけど直ぐにでもグッショリとなりそうな勢いだ。
えー……。
うーん……。
これは、ねえ?……アウト、でしょ?
どう頑張って考えても、これは確実に黒本丸とか言うやつですよね?過重労働系ブラック。察しちゃったわ。
脳内の天使さん悪魔さんも揃って頷いて、良い笑顔で親指を下に向けていらっしゃる、満場一致でブラックですおめでとうございませんッ。
……は?無理なんだが??
「どうしたんですか、真天広有さん!?」
「ま、真天さん……?」
様子が変わった俺を訝しく思い声を掛けてくれる二人に構わず、俺はその場を離れた。向かうのは上司さんの霊力を濃く感じる場所、今現在上司さんがいるだろう場所だ。
進む最中の本丸の、なんて静かなことだろう。
……ちょっと早めに地獄に落としても別にいいよね、ハム太郎?へけ!!!
「じょ〜お〜し〜さ〜ん……?」
「ひいぃぃぃッ!!」
障子に写った俺のシルエットを見ただけで悲鳴上げるとか、大変失礼じゃん?
え?俺のだけじゃなくて、おどろおどろしい怪鳥のシルエットも一緒に浮かんでるって?やだなぁ、それも俺の一部なんだから、俺を見て叫んだってことで間違いないじゃないですかぁやだぁ。
中から、上司さんが慌ただしく動く音が聞こえた。しかし目の前の障子は開く様子がない。
「無視は駄目でしょ、上司さん」
ズパンッ、と良い音を立てて障子を開く。なんだか普通の障子よりも立て付けが悪いんですけど。あとで業者呼んだ方が良いかもしれない。あ、この本丸が無くなれば関係ないか。
「ひぃぃぃ!!?」
垂金上司さんは薄暗い部屋の隅の方で、情けなく蹲りながら悲鳴を上げた。まるで俺が悪者みたいに見えるじゃん。やめてよね、今の俺の気分は正義のヒーローなんだから。
遠慮なしにズカズカ進むと、垂金上司さんはこれ以上下がりようもないのに後退りしようともぞもぞ動く。距離は開くどころか縮まるばかり。顔色が真っ青過ぎて、今にもポックリ逝きそうな雰囲気だ。今死んだら死因がおかしなことになるから、それだけは阻止しないと。絶対向こうで色々言われるから。笑われるだけならまだしも、本気で説教されそうで嫌だわぁ……。
垂金上司は何かを喚いている。大声過ぎて耳が痛いが、内容を掻い摘めばなんでこの部屋に入って来られるんだ?という疑問。そんなこと言われたって普通に開いたし……。ちらりと背後の障子を振り返れば、内側にこれでもかと御札が貼ってあった。どう見てもホラーですね。
俺は何も見なかったことにした。
「そんなことより上司さん、俺はあなたにお話があるんですよ」
「わ、私のそばに近寄るなぁぁ〜〜ッッ!!」
だが断る。もしかして上司さんジョジョ履修済の方?あ〜、こんな関係じゃなかったら仲良くお話しできたのになぁ、残念。
オレは上司さんの目の前、至近距離で仁王立ちして腕を組む。
「ねぇ上司さん、そんなに顔色悪くして逃げるなんて、俺がこんな怒り心頭になる心当たりでもあるのかな??」
俺は最高に良い笑顔を浮かべた。ただし、俺の背後の影からは怪鳥が這い出てきているし、不気味な鳴き声があたりに響いているし、それと一緒におどろおどろしい空気が漏れ出ている。
ただの人間だったら、軽く三途の川で奪衣婆とこんにちわしているところだ。良かったな!腐っても審神者は霊カがー般人よりは高いから、そのお蔭で守られてるんだよ!!
「む、むつぅ!助けてくれぇ、ムツぅ!!」
「思ったより俊敏だなぁ。でも逃げても無駄無駄ァ!」
火事場の馬鹿力、とは違うだろうが、今までの硬直具合からは嘘のような瞬発力で股抜きされてしまった。ボールは彼自身です。
その襟首を掴んで引っ倒してやろうと思ったが、それより早く、垂金上司さんは隣の部屋へ続く襖へダイブした。バキバキと襖が破れて倒れて折れる音が響く。あんまりにもあんまりな音に俺は動きを止めて、まさか上司さん死んでないよね?と不安になった。怪鳥さんも驚き過ぎてポカーンだよ。
「うぅ……。むつぅ、むつぅ……」
あ、生きてる。
壊れた襖の山から、這いずって上司さんが出てきた。さっきから「むつむつ」呻いているが何のこっちゃである。
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして、尚もどこかに向かう上司さん。一度呆けて幾分落ち着いた頭のお蔭で、向かう先に対して好奇心がわいてくる。この人がこんな時に頼る「むつ」とは何だろうか。
「ちょっと失礼」と一言断って、襖の山と審神者を飛び越えて部屋に入る。
さっきまでの部屋が文机や書類が置いてあったので執務室だと考えると、続きのこの部屋は私室だろう。部屋の中には、金にものを言わせた金銀財宝がこれでもかと飾られていた。
……なーんてことはなく、がらんとして殆ど何も置かれていなかった。精々小さな箪笥がひとつと、敷きっぱなしの布団一式。それから、
「仏壇?」
え、何これ異色。
やけに立派な唐木仏壇が、大戸を閉めた状態で目の前に置かれていた。
「む、ムツぅ……」
上司さんの手は、真っ直ぐにこの仏壇へ伸ばされている。彼が最後の最後まで頼りにするのは、どうやらこの仏壇、正しくは……、あ、嫌だなぁこの感じ。すごく嫌な予感がする。
俺は、嫌だな怖いなと言いながらも好奇心には勝てずに大戸に手を掛け開いた。
「……陸奥守、吉行?」
「うぅぅ、むぅぅつぅぅう〜〜ッ!!」
中に置かれていたのは、上司さんと陸奥守吉行が写った写真入りの写真立てだった。
まさかの中身に硬直する。反対に、勢いをつけて駆け出した上司さんが俺にぶつかってきて、よろめいた俺はそのまま尻餅を突いた。上司さんは、写真立てを大事そうに抱えてむつむつ言いながらも啜り泣いている。
むつって、陸奥守吉行かよ……。
_ _ _
その後その後。
もう身体中の水分を全部出し切るんじゃないかと思えるくらいに泣き続ける上司さんを、あの手この手で必死で宥めた。こんなに気を遣ったのは、俺の身長が思ったよりさっさか伸びて義経さんの身長越した時以来なんですけど。
どうにかこうにか執務室まで促して座らせた。そして無くなった水分を補充する為にも文机の隣にあった魔法瓶からお茶を出し、机を挟んで膝を突き合わせ、冷静に話を聞いた。
どうやらこの上司さん、もとはただのサラリーマンで、リストラされたところを問答無用で審神者にさせられて、無理矢理この本丸に連れてこられた口らしい。しかも、通常ならサポート役となる筈のこんのすけはなんの手違いか一度も見ておらず、渡されたのは分厚いマニュアル数冊だけなそうだ。
よくもまぁそんなんで審神者業始められたなと感心しきりだが、それは初期刀のお蔭なんだと、また涙をボロボロ溢す。あーあー、せっかく補給した水分が……。ほらほら、お茶飲みましょーね。
初期刀は、お察しの通り陸奥守吉行。持ち前の明るさと前向きさで、右も左も前も後ろも分からない下手すると底無しネガティブな上司さんを支えてくれた。
それこそ本当に、審神者のさの字も時間遡行軍のじの字も分からない状態だ。本丸の間取りも一人と一振りで迷子になりながら把握したらしい。仲良いな。
「楽しかったなぁ……」
昔を懐かしむように、仏壇に安置した陸奥守吉行の写真を眺めながら呟く。
本丸の探索をして、鍛刀部屋と刀装部屋を見つけた。資材だけはきちんと初回分は置かれていて、陸奥守吉行と相談しながら初の鍛刀。顕れたのは、五虎退。刀装も、陸奥守吉行と五虎退と一緒に行った。出来たのは並の刀装が二つ。金も銀も知らないから、上司さんは出来上がっただけで大喜びした。
それから二振りは出陣して、軽傷を負うこともなく出陣先を次へ次へと進めていく。順調だった。順調すぎた。
……あかん。これもう先が何となく分かってしまったのであまり聞きたくない。でも突撃してしまった手前、そして語り始められてしまったので、最後まで聞くしかない。ツラい。
「……うぅ、私が無知だったばっかりに゙ぃ゙ぃ゙」
またダムが崩壊した。なんかもう対応に慣れてきたのが嫌。俺は懐からタオルを取り出して、上司さんの顔面に押し付ける。ありがとうありがとうと言うけど、泣かせてるのも俺が多少原因なので、出来ればお礼は言わないでほしいです。
罪悪感からめちゃくちゃ甲斐甲斐しくお世話した。
「あるじさま!」
「主さん、大丈夫!?」
開きっぱなしの障子の前に、大分遅れて二振りが到着した。堀川君の視線は隅に寄せられたボロボロにひしゃげて壊れた襖へ向かい、五虎退君の視線は真っ直ぐ上司さんに向けられる。
そして五虎退君は上司さんへ、堀川君は瞳孔かっ開いて俺へと躍り掛かった。
そう来ると思ったよ!
見よ、俺の真剣白羽取り!!
「主さんに何をした!」
「ちょ、なんもしてない!ちょっとお話合い()しようとしてお話し聞いてただけだから!!」
「あるじさま、怪我はありませんか!?」
「大丈夫だよ五虎退。堀川も、本当に゙ぃ゙、な゙に゙も゙ざれ゙でな゙い゙がら゙ぁ゙ぁ゙……」
「やめて上司さん!泣きながら話さないで!!堀川君と五虎退君の視線が鋭さ増してるからッ!!」
どうにか上司さんを落ち着かせた後、護衛なのか五虎退君がその横に陣取り、警戒のためか堀川君は俺の横を陣取って座った。
もしかして:Shinrai/Zero。……知ってた!
「はー……。すまないね、五虎退、堀川、真天」
堀川君の淹れたお茶で一息つく。
泣きすぎて瞼は赤く腫れてるし、鼻のかみすぎでトナカイにも負けない赤っ鼻。ひどい顔の上司さんは、それなのになんとも憑き物が落ちたような顔である。
「どこまで話したかな……。むつと五虎退が敗北、強制帰還まで話したかな……?」
「あっ、今のでオチまで飛びました」
「そう?」
だいぶ話飛んだな。
でも上司さんはそれ以上泣くことはなく、けれど悲しそうに手元の湯呑に視線を落とした。
「私は本当に何も知らなくてね。出陣先が進む毎に相手が強くなるなんて、思いもしなかったんだ。だから特に気にすることもなく、錬度が低いまま先に先にと進みすぎてね」
ふぅ、と短く息を吐いて話を切る。
「あんな有り様で戻ってきた時は本当に、本当に驚いた。そこまで怪我をしたのを見たのは初めてだったからね。我ながら情けない……」
「あるじさま、そんな事はありません!あるじさまは、情けなくなんて、ないですから!」
肩を落として小さくなる上司さんを、横に座る五虎退君が精一杯励ましていた。俺の隣の堀川君が何も言わないのに違和を感じたが、俺は空気が読めるので黙っておく。重い。
「五虎退の報告によると、彼はこの子を守って、ね。……関わったのはまだ短い時間だったけど、彼らしいと、今でも思える」
五虎退君の涙腺が決壊した。
僕のせいで僕のせいで、と啜り泣く五虎退君に、私のせいで私のせいで、と上司さんが涙ぐむ。お互いに自分が悪いのだと言い張るばかり。ふえぇぇ、湿っぽいよぅ。
むずむずする中、改めて口を開いたのは堀川君だった。
「僕は、その一つ前の戦闘後に拾われた刀剣なんです。あの時に顕現できていれば……」
――新たに責任を感じている気配を察知。――
もういいよ!この暗い雰囲気、ブラック本丸じゃなくてお通夜本丸だったってわけだね!!納得ッ。(自棄)
_ _ _
俺は空気が読めるので、更には空気にもなれると信じてその場から退室した。これはちょっと俺の手には余る。
どうしよっかなと考えつつ空を見上げれば、太陽はそろそろ真上に差し掛かっていた。うーん、とりあえずお腹が空いたので、一人探検がてら昼食を作るべく台所を探すこととする!
「広いなぁ」
進んでも進んでも障子やら襖。流石に台所は襖やら障子じゃあないだろうから、無闇矢鱈と開け閉めしたりはしないで通り過ぎる。でももしかしたらどれかが食堂みたいな部屋で、そこから台所っていうか土間?厨房?刀剣の時代に合わせたら厨?に繋がってたかも。言ってももう通り過ぎたし、戻るの面倒臭いから突き進むけど。
歩いてると、見慣れた場所に行き着いた。一番最初にいた鍛刀部屋だ。
閉まっている戸を開けると、休憩していたらしい鍛治の妖精さんが俺に気付いて手を振ってくれた。可愛い。地獄にはこんな可愛い妖精いないからなぁ。チュパカブラならいたけど。あ、あいつ妖精じゃなくて UMAだった。そりゃあ可愛くなくてもしかたないわ。
鍛刀部屋から出て、隣の似た部屋を覗く。おそらく刀装部屋だろう。おそらくと言うのは、まぁ、なんかキンキラキンで目に痛いからなんですけど。え?財宝部屋?
「うへぇ、特上刀装山盛りじゃん……」
キンキラキンの正体は、総やかな金色の特上刀装だった。数を数えるのも不毛な気がする量だ。一言で言うなら床が見えません。
――「でも、あの、主さん、刀装はもう……」――
「まさか、もうこれ以上作らないでくださいって意味かよ……」
そこまで察せねぇわ。
まぁ、もうあの上司さんがよくあるブラック審神者じゃないって言うのはよくよく理解してるんですけど。でも違う方向でトラウマ持ってそう。今後がツラい。
ちなみにそのさらに向こう隣は資材置き場のようだったが、スッカラカンだった。全部刀装作りに費やしたなあの上司。一人と二振りっきりの本丸なんて、そりゃあ静かだよ。
落ち着いたら事情を汲んだ上で説教しよ、と頭の隅に浮かべつつ台所探しを再開した。
「うぉっと。……おぉ、仔虎」
足元にまとわり付いてきたふわふわに、あたふたとしながら視線を落とす。白に、黒い模様の入った仔虎が2匹。一匹は厳つい顔の金目、もう一匹は比べて愛嬌のある青目だ。
噛まれないか不安にしていると、噛まれた。まさかだわ。両足首をそれぞれ噛まれたわ。まぁ、甘噛みであんまり痛くなかったけど。
驚いてつい威嚇したら、仔虎の全身の毛がぶわっと膨らんでそのまま廊下の曲がり角に消えた。と、思ったら角から顔を出してる。
まさしく、壁|ω・`)て感じ。
言いたいことがあるなら言えばいいのに。地獄の動物と違って、刀剣付属の動物って喋れないの?眷属って言うんだっけ?
何の用だよー。もう怒んないよー。
近付いたら逃げられたのでその場で足を止めると、仔虎も止まってちらりと俺を見る。仕方ないのでまた近付けばまた逃げられて、止まったら振り返られた。付いてきて欲しいらしい。
「おー、台所じゃん。仔虎君たちナイスナイス」
威嚇してごめんなー、と謝りながら二匹の頭を撫でる。ゴロゴロ喉が鳴ってる可愛い。肉球ピンク色可愛い。あぁ写メ撮りたい。しかし残念ながら俺のスマホは本霊さんが持っています。口惜しや。
_ _ _
「ご、は、ん、で、す、よー」
相変わらず開けっぱなしの障子から中に入り、相変わらずどんよりとしているお三方に声を掛ける。今にも頭からキノコが生えそうだ。
「はいはいはい。机の上は片してねー。台拭きも持ってきたから五虎退君拭いてくださいねー。堀川君は配膳手伝ってくださいねー」
「は、はい」
「わかったよ、任せて!」
「ま、真天くん、私は?」
「上司さんは大人しく座って待っててください」
五虎退君が机の上を綺麗にして、俺と堀川君で四人分の昼食を並べる。と言っても、簡単にできる薄焼き卵のオムライスとインスタントのワカメスープだけどね。
並べられた料理に、五虎退君はいつもの涙目をきらっきらに輝かせてくれた。堀川君も、淀みない動きで配膳してたけど視線はオムライスに釘付けだったのを俺は知っている。それでもって上司さん、何であんたまでそんなに嬉しそうに机の上眺めてるの?
「取り敢えず。はい、手を合わせてください」
言うと、三人とも素早く手を合わせた。驚きの機動力だぜ。
「いただきます」
「「「いただきます」」」
そして吸収も早かった。驚きの吸引力だぜ……。
お代わりはチキンライスだけになります。
「ちょっと待って上司さん。この二振りは刀でオムライス食べたことないって言っても頷けるし、キラッキラした目で俺の作った簡単オムライスを見てくれるのはなんとなく分かるんだけど。上司さん現代の人でしょ?なに、今の現代って薬みたいな栄養食品しか食べれないとかそんななの?」
そんなこと無いのは、獄卒としての現世研修でよくよく知ってるけども。じゃああの刀と並列して爛々と輝いてた瞳は何なのかって話。
「いやぁ。この年で独身だとね、自分の体調を気にするような性格でもないから自炊はしてなくて。私のために料理をしてくれるような人もいなかったから……。本当に、誰かに食事を作ってもらったのはいつ振りかなぁ」
「悲しい独身男の食事事情だった。え、じゃあ本丸来てから今までの食事は?業務用のでっかい冷蔵庫開けたら何もなくてビックリしたんですけど」
「かっぷらぁめん、というのを、食べました。不思議でしたけど、美味しかったです……」
「お湯をいれて三分で出来るんだよ!現代ってスゴいよね!」
「食べてたことを喜ぶべきか、インスタントを注意すべきか悩む」
冷蔵庫開けたら本当に何もなくて愕然としたよね。どうやって昼御飯作ればいいんだよ、って思ってたら、冷蔵庫の扉の外側が液晶画面になってて、画面タッチでそこから冷蔵庫の在庫確認や補充やらが可能だった。しかもノータイムで。二二〇〇年代の技術力パネェ。お陰で自賛できる美味しいオムライスが作れた。
メニューの決め手?俺が食べたかったからです。
お腹空かしてたらしい仔虎君たちには、茹でた鶏肉を差し上げた。業務用一キロの鶏ささみ。いくらかワカメスープに突っ込もうと思ってたら、全部かっ浚っていきましたよ。
「それと上司さん、あの刀装部屋スゴかったんですけど。そして資材がほぼスッカラカンて。何したんですか」
「私は出陣について行けないだろう?だからせめて刀装だけはしっかり造っておこうと思って……」
「しっかり作るにしても限度ってもんがあるでしょ。俺が顕現された時、堀川君が止めてたの知ってますからね」
「あるじさまを、責めないでください……!僕たちが重傷になったのが、刀装が壊れたからだって知って、それで、特上を作らないとって……。特上じゃないと、また僕たちが怪我、しちゃうからって……」
責めてない!責めてないぞ!!だから泣かないでくださいお願いします!!!
「でもほら、五虎退君も堀川君もちょっと怪我してるじゃん?軽傷未満って言えばそうだけど。手入れする分の資材が無いからそのままなんでしょ?」
「それもあるけど、僕たちが遠征に行ってる間に主さんが厨で食事を作ろうとしててね。帰ったらぼや騒ぎで、慌ててる間に煤けたり切り傷を作ったりしていたみたい」
台所の一角が真っ黒々すけになってたのはそのせいか。
「このくらいの傷なら、本丸にいれば、その内に治りますから。あるじさまの霊力が、本丸に満ちている、お陰、です……」
そういえばそんな事を資料で見た気もする。
五虎退が恥ずかしそうに空の皿を差し出したので、俺はソッとおかわりのチキンライスを盛ってあげた。四杯目である。
「……死んだ魚の目に見えたのは、テンパった後だったからかぁ……」
「てんぱ、え?」
「なんでもないよ堀川君」
知らない単語に小首を傾げる堀川君に、俺はソッとワカメスープのおかわりを作ってあげた。すまんがチキンライスは完売です。
「そういえば、あの資材の具合でよく俺を鍛刀できたね?俺これでも太刀なんだけど」
なんとなく出た話題に、上司さんと堀川君は気まずげに目を逸らした。え、そんな顔するような内容なの?
「私は、初めて知った日課任務というものをしようとしただけなんだよ……」
「日課任務。あぁ、鍛刀毎日三回とか言う」
「配分は最低値で回したんだよ……」
「最低値。え、50:50:50:50……?」
聞き返せば、重々しく頷かれた。堀川君にも視線で確認したけど、同じように重々しく頷かれた。
「表示時間は4”59だったよ……」
「4゙59てか。いや待って、四秒五九って何」
俺のレアリティどうなってんの?確認してなかったわ。
_ _ _
――……ドドドドドドド、
「ん?」
食休みをしていると、この部屋に続く廊下を元気よく走っている足音が響いてきた。
この本丸って、俺含めて一人と三振りと5匹だけじゃないの?この場にいない仔虎の足音にしては、随分と重みを感じさせる音である。
俺は怪訝な顔で、食事後に直した入り口の障子を見ていた。堀川君と五虎退君も、不思議そうな顔でいて警戒心から腰の刀に手を伸ばしている。しかし、上司さんだけがなぜか、喜びを露に満面の笑みを浮かべていた。
え、何。なんで?
「元気になっちゅう!」
駆けてきた勢いを殺しきれず、障子をぶち壊しスライディングして現れたのは、豪快かつ剛直な土佐の快男児。
晴れ晴れとした笑顔の陸奥守吉行その人だった。
俺の心境?ポカーンだわッ!!
【速報】陸奥守吉行復帰【朗報】
ちょっとまだ頭が追い付いてないんだけど、おめでとう、陸奥守吉行折れてなかった。
え?なに?どういうこと?て思うじゃん?
何もどういうも、とりあえず俺の隣で美味しそうに塩むすび食べてる土佐男子が全ての答えってことで終わらせちゃダメかな?ダメか。俺の頭を整理する為にも、もうちょっと、ほんとにもうちょっと詳しく話聞いてみよ。
そしたらね、陸奥守吉行、長ぇなムツ君で良いかな。まぁムツ君は、重傷になって、今の今までの手入れ部屋にいたんだって。何時間いたんだよ、て言ったら「ついつい寝過ごしてしまっちゅう!」てカラカラ笑いながら言うんだよね。五虎退君が「二日です」て涙声で小さく教えてくれた。何時間どころか何日間って言うね!桁が違う!!
上司さんには、あの仏壇について聞いてみた。持っていたのは、審神者になる時に持ってきた家財道具の一つだったかららしい。そこに何でムツ君の写真飾ってたの?って聞いたら、早く元気になるように神頼み()したかったけど神棚が無かったから、代わりに仏頼み()してたんだってさ。
仏壇は!そういう!ものでは!ありません!!
「よかったです〜」
「おお、相変わらず五虎退は泣き虫やき。ほれ、このおにぎりでも食べとおせ」
「あ、ありがとうございますぅ」
五虎退君、さっき山ほどチキンライス食べたのにまだ食べるんだね。ポロポロ泣きながらモグモグ食べる器用な五虎退君は、勘違いが解消されて満腹中枢が迷子らしい。
胃袋ブラックホールかな?これがずっと続くとこの本丸が火の車になるから、どうか今だけでありますように。
そりゃあね。重傷二人で戻ってきて、手入れ部屋から出たら自分一人っきりで、上司さんがムツぅムツぅ言いながら泣いてたら、ね。勘違いもするんじゃあないかな。手入れ時間、刀種によって大分ばらつきがあるのを知らなければ尚更ね。更には日を跨いで寝過ごされるとか、五虎退君が可哀想ッ。
ムツムツ鳴いてた(誤字じゃない)上司さんは、今もムツムツ鳴きながらムツ君の横で背中丸めて嬉し泣きしている。そしてそんな上司さんの背中を、ムツ君はまっはっはっはと明るく笑いながら叩いてあやしていた。
励ますとかじゃないよアレは、正しくあやしてる。
会話に混ざらない堀川君は、俺が炊いてきたご飯をせっせと塩むすびにして二振の間の皿に乗せる機械に徹していた。握った先から無くなるんだぜ……、そりゃあ機械的作業にもなるわな。でも顔はめっちゃ笑顔だから嫌々じゃないんだろーね。
塩むすびの握り方は俺が教えたよ!覚えは良いから、次は米の炊き方を教えよう。そうしよう。
そんな一人と三振りを眺めながら、俺はズズッと茶を飲む。
心なしか、開け放ったまんまの障子の向こうに見える空が明るい気がする。そう言えば、本丸の環境は審神者の体調次第とか精神状態が影響するとか、資料に書いてあったような無かったような。いや確かに書いてあったな。
刀一振りの為にここまで心を砕いちゃう上司さん、良いんだか悪いんだか判断に困る。人としては良いんだろうけどね。これから先が心配になるなぁ。
はーぁ、茶が美味い。
ぼんやりしてると視線を感じて、そっちを見るとムツ君がめっちゃ俺を見てた。どっかで見たことある視線だなぁ、と考えて、初めて会った時のシロ君が頭に浮かんだ。今は不喜処地獄で働く、元桃太郎のお供の犬の神獣くん。好奇心満々な視線がそっくりだった。
「おんしは新入りじゃな?今日は初日から世話を掛けてしまったがやき、これからは頼っとおせ!やけど、おんしの作る飯は美味い!明日からもまた頼むぜよ!!」
「飯が美味いって、ムツ君が食べたのホント白米じゃん。まんま飯」
「こんまいことは気にしな!」
「細かいかなぁ。まぁ、当分は飯炊き要員も頑張るよ」
がははは!と俺と肩を組んで笑うので、俺も負けじとあははは!と笑っておいた。
もうなんか、全部笑って流しとけばいいんだよ。
□□□
ブツンッ、と画面が暗転し、浄玻璃の鏡の前に集まっていたほぼ全員から「あぁ〜……」なんて気の抜けた声が上がる。
「閻魔殿の法廷の間に人が集まってると思ったら、覗き見とか趣味悪くないですか!?」
「真天さん、今から良いところだと思いますから、外したコンセント入れ直してください」
「俺の話聞いて!??」
マイペースに自分の主張のみ通そうとする鬼灯様に、跪いて拳で床を叩き反抗の意思を示したけど、そんなのお構い無しに座敷童の二人がいそいそとコンセントを入れ直していた。だから!見ないでと言っているのに!
法廷の間にいつも出ている浄玻璃の鏡は、亡者の生前の行いを見る為に、亡者を裁く際によく使われている。現世の今と昔を映し出せる便利道具、ということで認識は間違っていないはずだ。
「……いや、て言うか。本丸って現世じゃなかったですよね?現世と諸々の間の空間?でしたっけ?
なんで映せてるんですか?そもそも映すなや」
「烏頭さんがめっちゃ頑張った」
サムズアップして教えてくれた茄子君は、俺の方を一切見ないで浄玻璃の鏡に集中している。烏頭さんか……。あの人いっつもしょーもねぇ所で情熱燃やすからなぁ……。
「まぁ、審神者もただの人間が多いですから、いつかはここに来ることになるでしょう。その時になって、人生の大半を過ごした場所を確認できないのはちょっと。と言うことです」
「しょうもなく無かった、真面目に役立つことしてた烏頭さん」
でもこの上映会は要らないと思うの。
「ていうか、懐かしいと思ったら最初の分霊じゃないですか。ひぇぇ、上司さんが若い」
どうやって上映会をやめさせようかと考えつつ、鏡いっぱいに映った見覚えのあり過ぎる中年男性に思考が中断した。やっばり金にガメつそうな顔である。実際の性格とは違って。
今はもう亡くなって天国にいる。あと肉も減ってこの頃の面影はゼロに近い。
「真天様は他の、分霊って言うんだったかしら?みなさんの記憶も全部あるのねぇ」
「まぁそうですね、他の刀剣は知りませんけど、俺は定期的に共有してますよ。パソコンのデータ共有サービスみたいな感じで」
「へぇ〜、よく分かんないけどスッゲー」
「俺達には出来ないことだもんな」
まぁ俺もよく分かんないでやってるんですけど。
かみさまの ちからって すげー!ってやつ。
スゲースゲーと称賛してくれるなら、わざわざ言わなくても良いかなと黙っておいた。
「鬼灯様、別の人が見たい」「見たい」
「別の真天さんですか。ちょっと待ってください、最近のもので……」
あっちじゃテレビのチャンネル変えるみたいに、気軽に浄玻璃の鏡使ってるし。もう止めたってどうしようもないんでしょ、学んだんだ俺は。
≪ひろありー!≫
次に映ったのは淡い色の着物を着た小さな女の子。年頃は五歳か六歳か。片手には野花を一輪掴んでいて、画面向こうの俺にそれを差し出していた。
うわー、懐かし。あの子は確か親から誘拐同然に引き離されて、こんのすけがどうにか頑張って鍛刀させて出来上がったのが俺だったんだよなー。つまり初期刀兼初鍛刀兼育ての親が俺ってこと。
本霊に連絡取って、迅速に親元に返しましたけどね。誘拐ダメ、絶対。
≪ひろあり、わたしね、ひろありとけっこんする!≫
「「ぶふぉッ」」
「無実です」
「真天さん……」
「無実ですッ!!」
先んじて否定したのに、送られてくる冷めた目付きに変わりはなかった。こんなの娘が小さい頃お父さんに、将来パパと結婚するー、て言うのと同じでしょ!??
≪ごめんねー、俺には鬼灯様がいるからぁ≫
「ないわね」
「ないです」
「いや俺が悪いって分かりますけど、こんな悲しい振られ方もないでしょ」
お香さんの“ない”は“返事の仕方として無い”のないだし、鬼灯様の“ない”は“そんな事実はない”のないである。傷付いた!でも画面の向こうの上司ちゃんも傷付いた顔してるからおあいこで!おあいこにしてあげて!!
俺が嘘泣きしている間に、座敷童ちゃんの手でチャンネルがまた変わる。
今度は大柄な花の淡い着物を着た妙齢の女性が、画面向こうの俺と夕暮れの本丸で縁側に並んで座り、外を見ているところだった。
「いや同じ審神者!!」
≪……好きです、広有≫
「「「真天さん……」」」
「もうやめたげてぇ???」
俺の公開処刑でもあるけど、上司ちゃんの公開処刑でもあるからね?本人居ないからっていいわけじゃないよ??
返事?もちろん丁重にお断りしましたよ、鬼灯様理由にしてな!
ちなみに、この後上司ちゃんは同じ審神者の人と恋愛結婚しているのでめでたしめでたしである。たとえ相手方の顔が、なんか俺に似てんなぁ、と思っても、めでたしめでたしなのである!!
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■真天広有くん
男子中学生から刀剣の付喪神にジョブチェンジ。
付喪神で妖刀で地獄の獄卒。
刀剣男士の役割もプラスされて履く草鞋が多い。
鍛刀時間はバラバラなので、長くても出るとは限らないし、短いからといって出ないとも限らない。
四秒五九は確定演出。
次男体質。世渡り上手。
基本ちゃらんぽらんだがやる時はやる。
やり過ぎるくらいにやる。
が基本個体だが、たまに本霊の近くにいた獄卒の影響を受けた特殊個体も散見される。
芸術家気質の個体とか。
苦労人気質の真面目くんとか。
『たぬき』に過剰反応する、聞き間違いによって同田貫が苦労する個体とか。(どうだぬきだよぉ。)
ドエスでスパルタな金棒振り回す個体とか。
今後も鬼灯様と、記録課の精神保護と、葉鶏頭さんがこれ以上禿げないために頑張る所存。
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202409055/22
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