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と、その時だった。
「!!」
俺は一瞬で短剣を抜き、後ろに振り向き様それを一閃させる。
「ギャァァァァァ!!」
ぱっくりと腹を裂かれ、突然襲い掛かってきた魔物は鮮血を撒き散らしながら地面に倒れ伏す。
いきなり襲ってきたことに驚きつつ、戦闘慣れしていて良かった、と思った。
もし気配に気付かなかったら…考えただけでゾッとする。
だが俺は、次いで聞こえてきた音に瞠目することになった。
耳をついて聞こえたのは―――金属音。
金属が何かにぶつかる音だ。
オレは気を引き締めてそちらへ向かった。
そこで俺は、本日二度目になる驚きを体験することになる。
「蒼波!」
「無理しないでください、ユーリ!」
…え?マジですか。
俺の瞳に映ったのは黒ずくめの男と、白と桃色のお姫さま。
二人とも剣を構え、周りをぐるりと囲むウルフの群れを相手にしていた。
え、来るの早くない…?と思った俺は間違いじゃない。
だって最近ルーくんたち来たばっかだし。こいつらが船に来るのってもうちょい後じゃん。
が、そんな俺の考えを遮るものがあった。
二人の背後からにじり寄る一匹。しかも二人とも気づいてない。
おいおい、致命的じゃねーのさ。
俺は素早く体内でマナを組み立てる。足下に陣が浮かんだ。
そして、
「アイシクル!」
「ギャンッ!」
「「!?」」
氷塊を出現させ、ウルフを貫いた。二人が弾かれたように此方を見る。
おいおい、余所見してる暇があんのか?
「貴女は…」
「はいはい、お喋りは後回しな」
くるり、と手の中で短剣を回す。
ふむ、護身用にと持ってきといて良かったよいやマジで。
「グルルルルル…」
「グワゥッ!!」
突然現れた俺に標的を変え、ウルフ達は一斉に飛びかかってきた。
それを見た桃色の姫様が息をのむ。
「危ないです!逃げてください!!」
「逃げる?」
むしろ逃げんのはあんたたちの方じゃね?とか思いながら、俺は短剣を逆手に持つとそれを構える。
「さぁ、命が惜しくない奴は寄っといで?」
反対側の手に持った爆薬入りの試験管を、ウルフたちに投げつける。
爆発したそれに怯んだ隙に、短剣で切り上げた。
「ギャンッ!」
「まだまだ終わんねーぜ?」
ニヤリ、と笑みを浮かべ、俺は地面を蹴って跳び上がると、そのまま滑空攻撃を仕掛ける。
「空襲剣!」
それだけでは終わらない。着地したと同時に姿勢を低く、そして短剣を口にくわえると両手に爆薬を取り出した。
その隙にと、ウルフ達が一斉に俺に襲い掛かってくる。
きらん、と瞳が光り、地面に魔方陣が展開した。
「(―――サイクロン!)」
詠唱破棄は慣れたものだ。
魔術により発生した竜巻。それに持っていた爆薬を投げ込めば、それは一瞬で炎の渦と化す。
俺を中心に発生した炎の竜巻に、飛びかかってきたウルフ達は勢い余って止まることが出来ずに自ら炎の中に突っ込んでいく。
ウルフ達の断末魔が、響き渡った。
「すげ…」
一方的だ、と男が呟いたのが聞こえた。