「シロ!!!」
「!! ペンギーン!!!シャチ!!イッカク〜!!!無事で良かったァ〜!!」

バタバタと音を立てて飛び込んできた仲間たちにシロは怪我のことも忘れ、勢いよく飛び起きた。その身体をシャチは遠慮なく抱きしめる。

「シロ、目覚めてよかった!!」
「いた、いたたたた、ちょっと、シャチ!」
「シャチ、怪我人だぞ!はーなーれーろ!!」
「心配したんだよシロ……!バカ!」

ペンギンが無理やり引き剥がし、その間にイッカクが割り込む。 その目には涙がたまっていて、シロは罰が悪そうに眉をたれ下げた。

「ごめん。心配かけたよね、ごめんね…」
「無事ならそれでいいんだ」

ぽん、とペンギンに頭を撫でられシロは少しだけ表情を和らげて頷く。ようやく泣き止んだシャチも無事で良かったと笑ってくれている。
イッカクも怒っているわけでなく、心配してくれているというのはよく分かっていた。たった2人の女船員。絆は他の船員よりも深い。

「ったく…無茶ばっかしやがって。あとでキャプテンにしぬほど怒られればいいんだ」
「うええ…それは勘弁だ」

シャチの言葉にがっくり肩を落としたシロを見てペンギンとイッカクが楽しそうに笑う。それを見たシロも困ったように眉をたれ下げながら笑った。そんな穏やかな雰囲気の中、豪快な足音を立ててベポが飛び込んできた。

「シロ!黒足が連れ攫われたって!」
「えっ誰に!?どうして!?」

目を見開き驚くシロに、ベポは首を横に振る。

「詳しいことはよく分からないけど“ギャング”ベッジが来て“ビッグ・マム”の娘と黒足を結婚させるとか言って、黒足だけ連れていかれたって…!」
「“ビッグ・マム”って四皇のひとりだよね?そんな人が、なぜサンジくんを……」

そう言いかけて、息を飲んだ。

「シロ?」

シロの顔色が変わり、ペンギンが心配そうに顔を除き込む。大丈夫か、そう続けようとしたのに、言えなかった。

「“ヴィンスモーク”」

ゾッとするぐらいの無表情に、低い声。
滅多に見せない、シロの冷たい態度に言葉を失ってしまったのだ。

「サンジのこと、知ってるのか!?」

いきなり現れ、ぴょん、とベッドの上に飛び乗ったタヌキのような小さなトナカイにシロはハッとしたように表情を取り戻す。麦わらの一味の船医である珍獣を腕に抱き上げ、シロは震えた声で呟いた。

「知ってるよ。王子だったサンジくんなら、よく知ってる。その家族も、よーーく知ってる」

忘れたくても忘れられない、壮絶な記憶。

ヴィンスモーク。ジェルマ。

シロの全てを奪った、忌々しい存在。



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