敬愛するキャプテンが戻ってきた。
数ヶ月ぶりの再会に、シロは涙を浮かべローの胸に飛びつく。

「キャプテン!おかえりなさい!」
「……お前、なんだそのケガ、」
「おかえり」
「そのケガは」
「お!か!え!り!」
「……ただいま」

渋々返事をすれば、シロは目を細めて満足そうに笑った。しかし頬に貼られた大きなガーゼのせいでやけに痛々しく見えて、思わず眉を寄せる。

「見た目ほど大したことないんですよ。でもチョッパーちゃんがまだ貼っておけって言うから…ほら、お医者さんの言うことはちゃんと聞かないと」

シロは苦笑いを浮かべながらローから離れ、肩を竦める。それでも厳しい視線は向けられたままで、とうとう諦めたようにため息を吐いて頭を下げた。

「無茶しましたごめんなさい」
「謝れとは言ってねェだろ」
「だって顔怖かったんだもん……」
「いつもこんな顔だろーが」
「でも、キャプテンだって、無茶してきたでしょ。絶対そうだよ……。キャプテンはひどいよ、いつも肝心なところで置いてけぼり」

反論しようとして、口を閉じた。

「お、おい……泣くんじゃねェよ」

普段あまり涙を見せないシロが泣いていたから、何も言えなくなってしまったのだ。
シロの泣き顔は昔から苦手だ。どうしていいか分からなくなる。邪険に扱うことなんて出来なかったし、かといって優しく拭ってやることも出来ない。

「わたしたちのキャプテンはひとりしかいないんだよ……守れないところで死のうとしないでよ!」
「……悪かった」
「ほんと、生きていてくれてよかった…」

シロは顔を手で覆い、ローの肩に寄りかかる。声を押し殺して泣いているのが分かったけれど、ちいさな背中に手を添えるのが精一杯だった。

シロがローのことを船長として慕い、命の恩人だと言ってすべてを捧げ、血の繋がりはないが兄のように懐いて大切に思ってくれているのはよく知っている。ローを守るためならなんでもするような子だった。だから先にゾウへ行かせた。離れたくないと泣かれたが、ドレスローザに連れて行ってしまったらシロは無茶をして、命を犠牲にしてでもローを守り抜こうとするのは分かりきっていた。
それに可愛い妹分をこれ以上巻き込みたくなかったしドフラミンゴなんぞに会わせたくなかった。

キャプテンはシロに甘いとよく言われるが自覚はしている。シロがローを大切に思うように、ローもシロのことをちゃんと大切に思っている。幸せになってほしい、とも思う。たとえその幸せが、自分たちと離れて得るものであろうと構わない。口には出さないが、シロの幸せを誰よりも願っている。

残酷な過去を抱えながらも、かつてのローのように全てに絶望することなく今日まで生きてきた。 シロは誰よりも強い。それはローがいちばんよく知っている。ずっとそばにいたから、ずっと見守ってきたから、シロのことは誰よりも理解しているつもりだった。

あの男と、シロのことを話すまでは。



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