- シャボンディ諸島 遊園地シャボンディパーク -
様々なアトラクションが並び、無数のシャボン玉が浮かんでいる幻想的な風景を見つめながら、シロはぼんやりと立っていた。
「憧れのシャボンディパークなのに…キャプテンはベポ連れて人間屋なんかに行っちゃったし、イッカクは買い出し当番だし…でもひとりで入るのは寂しいし…また来ようかなあ」
ぶつぶつ呟き、シャボンディパークの入り口の前を行ったり来たりするシロ。
ハートの海賊団お馴染みのツナギに、帽子とサングラスで顔半分を隠したその姿は明らかに怪しい。
“一般人”は見て見ぬふりをするが“海賊”はほぼ不審者となっているシロへ近付いていく。
「“疾風の女剣士”シロだな?」
「あ、違います」
「嘘つけ!!そのマークに、手配書と同じ帽子にサングラス!どう見てもそうだろうが」
「ああ、そっかこのツナギか……でも帽子とサングラスは手配書と違うやつなんだけど。一応毎日変えてるんですよ」
「どうだっていいわァ!」
声を荒げる海賊にシロは肩を竦め距離を取る。
「ーーで、どういったご用で?」
「……お前を人質にとったら“死の外科医”は出てくるか?」
急に雰囲気が変わったシロに海賊は思わず息を飲むが、それも一瞬でニヤニヤとした下品な笑みへと変わる。不愉快そうに眉をひそめたシロの変化に気が付くわけもなく、どこからか姿を現した仲間たちとともにシロを囲んだ。
ザッと見て5、6人。シロはため息を吐く。
「キャプテンの手を煩わせたくはないなあ」
刀に手をかけた、その瞬間。
「ヨホホホホホ!お嬢さん1人に男多数とは穏やかじゃありませんねェ!!」
シロを庇うように誰かが現れ、海賊を斬り伏せる。驚いて目を瞬く間にまた斬り伏せ、気が付けば背後に立っていた海賊も地に伏せていた。どうやら助けてくれたのは1人だけじゃないらしい。
「大丈夫か、お前!」
「あ、大丈夫です、」
いつの間にかそばに来ていた麦わら帽子を被った少年に顔を覗きこまれ、シロは戸惑いがちに頷く。
「助けていただいてありがとうございます…」
「ししし!気にすんな!無事なら良かった!」
「誰か待ってたのか?」
今度はタヌキのようなトナカイに見上げられ、シロは悲しげな表情で首を横に振った。
「いえ、それが…仲間が誰もついてきてくれなくて…ひとりで入るか迷ってたんです…」
「それなら一緒に入るか?おれたちもこれから入るところだし、せっかくここまで来たのに帰るなんてつまんねーだろ?」
その誘いに一瞬迷ったような表情を見たシロだったが、目の前に広がっている誘惑の景色には勝てず、勢いよく頭を下げた。
「ちょっとだけお願いします!」
「おう!とことん遊ぶぞ!ちなみにおれはルフィ!海賊王になる男だ!」
“ルフィ”
聞いたことがある名前だと首を傾げていれば、1番最初にシロを助けてくれた人物、否、ガイコツが被っていた帽子を胸に当て恭しく腰を折る。
「はじめまして、死んで骨だけブルックと申します。ところでお嬢さん、パンツを見せてもらっても…」
「ヤメロ!!おれはチョッパー!よろしくな」
そのやりとりに苦笑していると、ルフィに離れたところにいたケイミー、ハチ、パッパグを紹介してくれた。
そこで全員自己紹介が済んだことに気が付いたシロは慌ててサングラスを取り、にっこりと微笑む。
「わたしはシロって言います。よろしくお願いします!」
「よーし、シロ!行くぞ!!」
楽しそうに笑ったルフィに手を引かれシロはついにゲートをくぐった。
その頃には、どこでルフィの名前を聞いたかだなんてどうでもよくなっていた。
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