「わあ、ケイミーちゃん見て!」
「うわ〜〜!高〜〜い!!」

シロたちは手始めにジェットコースターに乗り、それからメリーゴーランドやコーヒーカップなどを回ってから、ケイミーの要望である観覧車に乗り込んだ。

あっという間に打ち解けたケイミーと手を取り合って、目を輝かせながら外の風景を眺める。景色を見るためにサングラスは外してしまった。

来て良かった。そして、みんなにもこの景色を見せてあげたいと思った。
明日こそみんなを誘ってこよう。こんな素晴らしい景色を見ないなんて勿体ない。

観覧車に乗るのが夢だったと言ったケイミーも涙を浮かべながら、とても嬉しそうにしている。ケイミーやハチの話を聞くに、ケイミーは人魚でハチとパッパグも魚人族らしい。海深くで育った彼女だからこそ、高い場所へと登っていく観覧車に憧れを抱く。一生の思い出だと涙ながらに語るその姿をシロは微笑ましそうに見つめていた。

「ケイミーちゃん、今日は楽しもうね!」
「うん!シロちんありがとう!」

満面の笑みを見せてくれたケイミーに、シロも同じく満面の笑みを返した。

観覧車の後は、ゴンドラにお化け屋敷。
ルフィを先頭に、園内中を駆け回った。

「おいスゲー種類のアイスだな!おめーら何にする!?」
「シロー!お前は何にするんだ?」
「えー、どうしよっかなあ」

シロはチョッパーを抱え込みながらアイスケースを覗き込んで、思ってた以上に豊富な種類に思わず眉を寄せる。

「んんんどれも美味しそう…!ねえケイミーちゃん、良かったら違うの頼んで半分こ……ケイミーちゃん!?」

振り返った先に、ケイミーはいなかった。
アイスケースに身を乗り出しているパッパグの背中を慌てて叩けば、目に見えて焦り出す。

「マズイ!ケイミーが攫われたァアア!!」

ケイミーは“人魚”だ。攫われた彼女が行き着く先は、ひとつしかない。シロは唇を噛み締め、拳を震わせた。

「おれが目を離したばかりに、ケイミーが…!!」
「泣かないの!落ち込むのは後!今ならまだ間に合うかもしれない、早く探しに行こう!」
「ツナギィ……!」

泣きじゃくるパッパグを抱きかかえ駆け出すと、ルフィとハチも隣に並んだ。後ろからチョッパーの声が聞こえた気がするが、振り返っている余裕はなかった。

「ケイミーちゃん、無事でいて…!!」







ケイミーを捜索する途中、パッパグから聞かされたこの諸島での差別問題にシロは表情を強張らせた。

馬鹿馬鹿しい話だと思った。けれど、深く根付いてしまった意識はそう簡単には変わらない。
そういう島だと割り切らなきゃバカを見る、と涙ながらに叫んだパッパグの姿に胸が痛んだ。

そんなパッパグと迷惑をかけたと謝るハチに、ルフィは友達だからどんな事をしてもケイミーを必ず助け出す、もう泣くなと叫んだ。

「わたしもなんだってする!みんなでケイミーちゃんを助け出そう!」
「うっ、うう、ツナギまで…!」

パッパグの視線に合わせるよう座り込んだシロは、頼もしく笑ってみせた。

友達を助けるのは当たり前だ。
あの子だって、必死で助けてくれた。

ケイミーの嬉しそうな笑顔を思い出し、覚悟を決める。仲間には迷惑をかけてしまうかもしれないが、今ここで見捨てるわけにはいかなかった。

「トビウオライダーズだ!」
「よし、乗ろう!」

やってきたトビウオライダーズのトビウオにルフィと共に乗り込む。2人乗りのためかなりキツく、パッパグと同乗すれば良かったと後悔するが乗り換える時間も惜しい。

ルフィと共に運転手を急かしまくりながら、ケイミーの名を呼び続ける。

はやく、はやく見つけ出さないと。

祈るような思いでケイミーの名をもう一度呼ぶのとほぼ同時、トビウオに備え付けられている無線から情報が入った。

「わかったのか!?」
「あァ、飛ばすぞ!嬢ちゃんしっかり掴まってろよ!!」

目指すは1番GR“ハウンドペッツ”

急加速したトビウオにシロは吹っ飛ばされないよう運転手の背に必死にしがみつく。
すると、シロ越しに運転手の頬を掴んでいたルフィが何かを指差す。

「ゾロだ!オイ、あいつも拾ってくれ!」
「えっルフィくんもう乗れないよ!?」
「大丈夫だ!」

何が大丈夫なんだ、とシロは突っ込むがルフィは関係ないとばかりにゾロと呼んだ青年を無理矢理乗り込ませた。定員オーバーにもほどがある。彼は彼で状況が分かっていないようで、なぜ乗るんだ、そしてお前は誰だと困惑したような表情でシロを見つめている。


「あの建物だ!」
「よォし!!突っ込め!!!」
「え、うそでしょ、ってキャアアアアアアア!?!!」

本気だ。ルフィは本気でトビウオごと突っ込むつもりなんだ。察してしまったシロの悲鳴がシャボンディ諸島に響き渡った。

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