「サンジくん見っけ!…えっどうして逃げるの!?」

レイジュと別れ、シロはサンジを探す旅に出た。というのも大げさで、サンジは案外簡単に見つかった。なのに何故か逃げられてしまい、慌ててそのあとを追う。足の速さには自信がある。シロはあっという間にサンジに追いつき、包帯が巻かれていない方の腕を掴んだ。

「ハァ……お前、足はやいな……」
「なんで逃げるの!」

座り込んだサンジを見下ろし眉をつりあげる。その表情にサンジは肩を震わせた。そして、シロの頭と首に巻かれた包帯を交互に見つめると、ぼろぼろと涙を流し始める。

「ごめん…おれのせいで、ごめん…!」
「サンジくんは悪くないよ。謝らないで」
「でも、おれが、おれが弱いから、」
「サンジくんは、弱くない!弱くないよ」

泣きじゃくるサンジの手を握り、赤くなった瞳をのぞき込んで、安心させるように笑いかける。

「泣かないで。サンジくんのせいじゃないし、痛くなかったからだいじょうぶだよ。びっくりして気を失っただけなの。それと、サンジくんがレイジュちゃんに助けてって言ってくれたんでしょう?助けてくれてありがとう」

ありがとうだなんて、言われていいはずがない。あんなひどい目にあったのだから怒ったり泣いたりしてもいいはずなのに、ありがとうなんてどう考えてもおかしい。それに、頭から血を流しておいて痛くなかったなんてウソに決まってる。
シロは優しすぎる。でもサンジには分からなかった。こんなに優しく接してくれる、その理由が。

「あとね、わたしがイジメられるって理由で離れたりしたら怒るからね!サンジくんがわたしのこと…き、きらいなら、仕方ないけど…」
「き、きらいじゃねェよ!」
「ほんとう?うれしい!じゃあまたいっしょにあそぼうね」
「でも……こわくねェのか?」
「サンジくんがいるから、だいじょうぶ」

そう言って照れたように笑うシロが、好きだと思った。シロと過ごす時間はとても楽しかった。シロと笑い合っている時がなによりも幸せだということに気が付いた。

でもこの幸せが長く続かないことを、シロもサンジもまだ知らない。





 | 

BACK