いつものような日常を送る日々に、突然な出来事が舞い降りた。
少しだけ、昔の話をしよう。
それは、まだひとりで戦いに赴くものたちに誘うようにさまよっていた頃。
アイツに会った。
「お前、面白いな。」
「…はい?」
琥珀色の目をした黒髪の大男。
背中には身の丈ほどの大太刀を背中に背負った男は、豪快に笑いながら私にそういった。
しかも、治療相手を素手で沈めた直後のタイミングで。
私のライフスタイル。
誰かとつるむことなく一人で各地を回っていたあの頃。
いつものように、怪我をしたものを片っ端に治療してたあの頃。
そんないつもの日常に、アイツはいたのだ。
なに、話でもしようや、と。黒髪の男はそう告げた。
話くらいなら別段問題はないために、それくらいならと同意に頷いた。
沈めた相手を治療し終えてから。
どうやら、彼は修行に旅をしていたらしい。
姿を見る限り対魔士のようだが、私にすればあまり大差はない。
私は大層な目的はないが怪我人がいれば後先考えずに治療のために駆け回る。まぁそんな部類。
それが例え、対魔士だろうと賊だろうと。
怪我をすれば治すのが当たり前。まるで使いきらせたいかのように盲目的に。
「怪我人を片っ端に治すなんざ、そうそういねぇぜ?」
「これは好きでやってる。
たまに、素直に治させてくれないから黙らせてることもあるけど。」
「お前は本当に変わったやつだな。」
たまに、の現象をこの男の前で堂々としたにも関わらずお咎めなし。
実際行ったことを然り気無くいったにも関わらずまた豪快に笑う。
この話のどこが面白いのか、私にはさっぱりだ。
(大体のやつは驚くか逃げるよ、これ話したら。)
「お前、名前は。」
「ニコラ。」
簡単に名前だけ名乗る。
ここにはもう用はないために、この場を後にしようとしたときに、事件は起きた。
ひょい、と軽々しく腕をつかんできたのだ。
いや、腕だけではない…。
「……はっ?!ちょ、なにやって。」
「このちいせぇ体にあんな力はどこにあるのかと思ってな……ちと興味が湧いた。」
「ちょ、な、なに、って!どこさわってんの!!」
あまりに唐突で、あまりに突然起きた事柄に私の頭は追い付く前に真っ先に裏拳をかましていた。
(もちろん、それを見抜かれて腕をつかんで抑えてきましたけどね!)
「おっと。こりゃ、暴れるやつも黙るわな。」
「うっさい!離せ!」
豪快に笑う黒髪の男。
琥珀色の目をしたこの男に、まさかあんな形で繋がりを感じるとは思いもしなかった。
この男が、実は特等対魔士でランゲツ家の当主だと知ったのはもっともっと先のはなし。
これは、あの大太刀を背中に背負った琥珀色の目をした男・シグレとの邂逅話。
昔の話をしよう。
(あんた何がしたかったんだよ!)
(ただの興味だ。そんな怒るなよ。)
(怒ってもあんたにはまるで意味はなかったけどね!!)