翡翠色の二人に花束を

重大なことをここで、発表しよう。
同じ翡翠色の目をして、同じ声をもつ二人の男に。



「……、あ、あの……!」

「どうした、ニコラ?」
「ん?どうしたの?お嬢ちゃん?」



目の前には二人の男。

ひとりは帝国騎士団隊長主席シュヴァーン・オルトレイン。
もう一人の男はギルド“天を射る矢”幹部のレイヴン。

どちらも元はと言えば、ひとりの男であるが。どういうわけか、二人にわかれている。
どちらの顔も、どちらの姿も、私にとっては、とても大切な人物である。



「……あ、あ、あのですね…………。」



そんな二人に、告げなければならないことがある。
本来は、彼らに言ってほしい言葉ではあるが、多分…一人は言わないから。



「す、好きですっ!!」



爆弾発言。
もう自分にとっては重要ってくらいに大事なことだ。

一方二人は唐突に告げられたことに関し、少し処理がしきれない…様子かと思いきや。



「………そうか。お嬢ちゃん、ついに…ついに言ってくれたのね…。」



あ、なんか涙ぐんでる。というか、泣いてる?
(あーあー、これはなんか面倒なことになりそうな予感……!)

嬉しさの余りに飛びかかってきそう…と一瞬の危機察知をしてはすぐさま視線を変える。



「…おっさんも愛してるぜ!……って、あれ……?」

「はい、そういうわけでプレゼント。シュヴァーン。」
「あぁ、すまないな。ニコラ。そして、有難う。」



綺麗な包みでラッピングを施された小箱を渡すと、にこりと静かに笑う彼。
優しい翡翠色の片目で、こちらを穏やかに微笑むシュヴァーン。あぁ、やっぱりこういう表情が好き。

そう思うとこちらも小さく照れたように笑う。
……ただ、一人を除いては。



「ニコラちゃんひどくない!?おっさん置いてけぼり?」
「だってレイヴン抱き着こうとするんだもの。セクハラしたらビンタするからね!」

「酷いわ…お嬢ちゃん…。」



しょんぼりといかにもわかりやすくへこんでいる。
(でも抱き着くのとかホントにやるから思わず鉄拳制裁出してしまいそうになるんだもの!)

でも、ちょっと言い過ぎた…かな?なんか、本格的にへこんでいるし…。
少しだけ無言になって、少しだけ照れくさそうにして、対のラッピングカラーをあしらわれた小箱を取りだす。

そして、顔を向けられないままずいっと渡す。



「だから……はい。抱き着くのはこれで勘弁して?」
「ニコラちゃん……。」



名前を呼ばれると赤らめるも、そのまますっと頬に手が伸びている事に気づき、されるがままに視線を合わせる。
恥ずかしそうにして見上げてると、少し真剣で、とても優しい翡翠色な目をしていた。

そんな優しい目は、シュヴァーンと同じで、柔らかく、優しい。



「ん、わかった。愛してるからね。ニコラ。」



優しくで暖かい目で見つめられると、思わず笑顔で綻んでしまう。
だが、ぎゅむ、っとこの後直後に抱き着かれて紅葉を晒すまで、あと少し…。





翡翠色の二人に花束を
(ちょ!ニコラちゃんひどい!おっさんにこんな仕打ちして…!)
(うるさい!抱き着いたらビンタするって言ったでしょ?!)
(まったく…折角のムードが台無しだな。)