BOME REMARK.2!!
場所とか云々考えたが、
結局のところ、二人が私の部屋にいる。
ギルド“天を射る矢”幹部のレイヴン。
帝国騎士団隊長首席のシュヴァーン・オルトレイン。
実はこの二人は元々は一人の人間だった。
それが数奇な運命により分裂をしてしまったのだ。
原因も不明。何もかも不明だらけだったが、この状態がどうにかなるなんて解らなかったため、仕方なく解決するまで共にすることになった。
というか。最初レイヴンにはギルドがあるものの、シュヴァーンさんは騎士団に身を置くことも出来ないため預かる形にしようかとしたが、それをレイヴンが固く拒んだため。
(‥個人的には、レイヴンもシュヴァーンも個別の人間だと思っているし、好きなのよね。)
「じゃ。私ソファで寝るわ。」
「!ニコラちゃん、それは駄目よ。」
「流石にニコラの部屋で君がソファなのは‥。」
「だってソファの場所狭いし、私の寝床なら布団敷いてなんとかなるよ?」
流石に宿屋に泊まるなんてお金は用意出来なかったため、私の部屋を使うことにした。
かといって私は独り暮らし。部屋もそんなに広くない。
リビングが狭いし唯一広いのが寝室。
寝室なら布団敷けばなんとかなる。
(リビングも荷物を退かすなりすれば可能ですが、残念ながら布団は一人分しかないのです)
で。布団とベッドは各ひとつずつ。あとの寝床はない。何とかリビングにあるソファで寝ることは可能。
だが幾らなんでもソファで寝て貰うわけにもいかないのでこうなるのは仕方がない。
「じゃあニコラちゃんも一緒に寝れば良いじゃない。」
「な‥っ!」
「?流石に三人じゃ狭いでしょ。」
「突っ込む所そこなの?」
さらりと問題発言をしたレイヴンで、その発言に僅かに赤らめたシュヴァーン。
しかし彼女はそれもあっさりと流したため面白くなさそうなレイヴンは肩を竦めた。
「まぁ。取り敢えずお先にお風呂で大丈夫?私は色々やることやっちゃうから。」
どうぞ、と風呂場の場所を教えてはこっちはこっちで色々用意しなくては。
この部屋に暫くいると決まると、真っ先に必要なものはある程度揃えた。
寝巻きにと先程買いに走った服も。
(レイヴンは大丈夫にしてもシュヴァーンの騎士服はそうもいかないでしょ)
あと寝室の整理。独り暮らしでバタバタしていたここ最近なため、寝室はごっちゃになってる。暫く留守にしてたから仕方がないのだけど。
急なことになったため、まるで修羅場のような寝室部屋を何とかしなくてはならない。
取り敢えず衣類をまとめて洗濯箱に入れてはリビングに持ち込もうとすると、人影。
「ニコラ。あがったから次に‥。」
「あ、ちょストップ‥わわわっ!!」
人影に気づいたが時既に遅し。洗濯物にどっさりて倒れた。
散乱していた服の中心に居たのはシュヴァーンと、彼によってナイスキキャッチされてすっぽり収まるニコラ。
お風呂上がりで僅かに火照る体がダイレクトに伝わった。
「大丈夫か?」
「あ、うん‥。ありがと‥‥。」
そうか、と安心したような笑みはまさに紳士なシュヴァーンである。しかし問題が起きた。
簡潔に述べれば抱き締められている。
彼が服を着ているとはいえ、鍛え上げられ引き締まった肉体をたった薄いシャツ一枚越しで感じ、思わず顔を真っ赤にしてしまう。
事故。意図的でもなく事故以外の何者でもないのだが。
彼女は大丈夫。とは言ったものの実際はすごくヤバい。何がって密着具合が。
事故とはいえ、アクシデントとはいえ、このシュヴァーン・オルトレインに抱えられるなんて無いから頭の中がパニックだ。
「ニコラ?顔が赤いが‥熱か?」
「そ‥そうじゃなくて‥。」
心配してくれるシュヴァーンさんは額にてを当てられる。心が痛い。
変なことではない。ただ慣れていないだけだから。そうなのに、どくんどくんと鼓動が止まない。
「あ‥あ‥あの‥っ。」
「あー!ニコラちゃん独占してズルーい!」
「!」
思わず声があがったのはレイヴン。
シュヴァーンは慌てて解放するも、がばっと対抗か仕返しかばかりに抱き締めるレイヴン。
しかも抱き締めるだけでなく、すりすりと湯上がりの肌が擦れる。
「ちょ‥!レイヴンさ‥!」
「んー、良い香りー。」
「あ、あ、あの‥!」
「ん?」
真っ赤になるニコラを他所にじっと至近距離になるレイヴン。
しかもシュヴァーンさんとは違く、こちらは上半身は唯羽織っただけで豪快に肌蹴ている。勿論シュヴァーンと同じ心臓魔導器があって。
ニコラはこういった事には初で弱い、とレイヴンは知っても尚、からかうようにぎゅーと密着し抱き締める。
赤くなっている理由も解っているにも関わらずわざとらしく訊く彼に、ニコラは顔を真っ赤にするばかりだ。
「もー、ニコラちゃん顔真っ赤にしちゃって可愛いねぇ。」
「余りニコラを困らせるな。」
グイッと離してくれるのは心臓的にも有り難いけど、アナタでも鼓動はドキドキさせるんですよ!
どちらにせよ、顔を真っ赤にする原因は紛れもなくこの二人。
やっとのことで解放はされたが、ドキドキしっぱなしだ。二人が好きであることに、心臓の鼓動は止まなくて。
そんな中、レイヴンはニコラを引き寄せた。真正面で見つめられ、思わず顔を赤らめた。
「ニコラちゃん、愛してる。」
「!」
優しい翡翠色の瞳。
だけどどこか真剣さを帯びていたために、それを冗談だとは思わなかったし、思いたくもない。
だが、唐突な告白に口をぱくぱくと開けては呆然となるしかなかった。
「な‥!な‥!」
「全く‥ニコラが困ってるだろ。」
グイッとシュヴァーン側に引き寄せられる。先程と同じように。
そして後ろから抱き締められ、ちらりと右目の翡翠色の瞳が見えると耳元で囁かれる。
「俺はニコラが好きだ。」
「!!」
真剣さを帯びた声、だがちらりと見れば同じ翡翠色の目。
彼と同じ色。だけど裏側の情熱を孕んだ瞳の熱に思わずまた顔が熱くなる。
真っ赤になる私を余所にまたレイヴンが私を引き寄せる。
お互いがお互い引かない今。
私は顔を茹で蛸のように赤くさせ、偉い状態になっていた。
「ニコラちゃんは渡さないわよ?」
「それは俺の科白だ。」
然り気無く言われた言葉。
あぁ、レイヴンもシュヴァーンも本気なんだ。
それだけで嬉しい。これ以上求めたら周りに圧力で殺されちゃう。
そんな中、不意に私に矛先が向いた。
「ニコラちゃんは‥どっちが好きなの?」
「この男と同じなのは癪だが‥どうなんだ?」
「わ、私は‥。」
選択?こんな急な選択があっていいの?
でもどちらとも好き。
どちらも傷つけたくない。
でも選択はどちらか。
暫くぐるぐる回っていたが、口許をあげてはくすりと笑う。
「どちらも好きです。
レイヴンさんはレイヴンさんの良いところがあって、シュヴァーンさんはシュヴァーンさんの良いところがあるんです。それを選ぶなんて‥。」
そうだ。簡単だ。私は二人とも大好きなんだ。
ちゃっかり者で甘い愛を囁くレイヴン。
紳士だけど時々意地悪なシュヴァーン。
どっちも好き。この答えは揺らぐことはなかった。
そう言うと、二人は『そっか。』と納得をし、何故か違う結論に至ってしまった。
「じゃ、決まりだね。」
「はい?」
「致し方あるまいな。」
「‥はい?」
ニコラだけが会話に追い付けず聞こうとすると、二人に抱えられた。
『何してるの?』と聞いたら、二人して微笑などの笑みを浮かべ、爆弾発言を投下してきた。
「なら、俺様たちでニコラちゃんを愛することにするわ。」
「‥‥‥はい?」
BOME REMARK.2!!
(な、何よ!俺様“たち”って!“愛する”って!)
(聞くだけ野暮ってモンよ?ニコラちゃん?)
(あぁ、ニコラを二人で愛するに決まっているだろう?)
(‥‥ッ!!(色々危険な予感‥!))