Awhirl princess


気まぐれ姫様の、気まぐれなお遊び。
いつもなら、どこかに入れる場所はないかとか。人の気配をするりとかわして侵入する。
でも何もかも彼女の気まぐれによって始まるものだから多少タチは悪いのだけど…。


「シュヴァーンさん。こんにちは…、ってあれ?」



部屋の扉を開けたら、誰もいなかった。
せっかく裏口とか色んな侵入経路とか使わず堂々と正面から入ったというのに。

しかし、いると踏んでいたはずの部屋は蛻の空っぽ状態で誰もいなかった。
任務とは聞いてないから恐らく城のどこか…または帝国のどこかにはいるのだろう。

探してもいいのだが、まだ城内の構造が解ってないため諦めた。
気配を辿ることも可能っちゃ可能だが
仕方ないか、と息を小さく漏らせばベッドにダイブした。
一貴族のすることではないとは、自分の中では重々承知だがそんなことは知らない。
あっさりと何処かに蹴飛ばせばシーツに何となく掴んで寝心地の言い感触を味わう。
自分も一貴族でそれなりの身の回りの物は上等なものばかりだが、彼のは少し違う気がした。



「んー…イイ感じ…。自分のところじゃ余り感じない感触が…イイ‥。」



人のベッドで豪快で寝ている彼女はかつて、自分自身でそう簡単に起きないと話したのを覚えてる。
しかしこのまま寝かせても彼女のためにはならないと心を鬼にし、揺さぶり続けば意識が少し覚醒したか反応をした。


「起きなさい、ニコラ。」
「…んー‥‥。シュヴァーン…?」

「…。起きたか、ニコラ。」
「あー。見ーつけた。…会いたかった、よー…。」



声をいつものように投げるも、急に上がっては妙に下に落ちていくようなトーンで徐々に小さくなる。
まるで、寝ぼけているかのように。
いや、確実に寝ている。



「会いたかったか。なら起きることだな。」
「‥ふぁ、お早う‥シュヴァーンさん‥。」



欠伸しながら言えば『だらしないぞ。』と怒られた。
目をごしごしと擦りながら、意識を覚醒すれば彼の声が届く。



「で。私のベッドで寝ていたんだ。」
「会いたかったから。ここでずっと待ってたんだよ?」



ぴしゃりと一貴族の台詞とは思えない内容だ。
よりにもよって。ベッドの上で、だ。



このお嬢様はつくづく私を困らせるのを楽しんでいるようだ。
この言葉をどう捉えればいいのやら。



彼女の問題はぐるぐると回って。
彼は彼女にぐるぐると振り回される。





グルグル廻って
(ニコラは私を振り回して楽しいのか?)
(そんなことないよ?好きなだけだもん)
(困ったお嬢様だ‥。)