True message



真実を知った時に、人は変わらずにいることができるのだろうか。
否。そんな簡単なものではない。

だがその真実ひとつで。堅い堅い絆も、時には脆く崩れてしまう。
人を傷つけることも、また自分が傷つくことを恐れれば、人は壁を作る。

その壁は時に頑丈で分厚く、誰も介入できなくなる。



心臓魔導器。それが、彼。シュヴァーン・オルトレインが隠していた秘密。

そして自嘲気味にこうとも言う。
“元々戦争で死んだ身だ”とか“私には信念も覚悟もない”と。

アナタ騎士なんでしょう?それがそんな操り人形になってどうするの!
それに私は、そんなでも懸命に生きている姿は好きだったのに!


偽りの生?それでもアナタが“生きている”という事実は生きてるじゃない。
何をそんなに否定する?

己自身を否定なんか、出来やしないというのに。



「ねぇ…シュヴァーン。」
「…。」



そっと、鎧越しに彼の胸に触れる。無機質なソレが、彼をこの世に留まらせている。
戦死したはずなのに、生き返させられて。彼を知るものは、誰もいなくなってしまったのだろうか?
だから彼は時々思ったのだろうか“死にたかった”と。



「ニコラ、私は。」
「その口から否定か偽りの言葉なら、私はもう要らないわよ?」

「…。」



口元に指を立てれば忠告するかのように言う私。顔を少し上げ髪で覆われていない彼の瞳を見る。

瞳に光を宿さない。まるで抜け殻の残された残骸。
本当に彼がこの世界に居てはならないかと知ってるかのように。
大きな時の流れに流されて、置いていかれて。逝くはずが、逝けなかったこと。

未だに悔んでいるのだろうか。それとも“何も感じていない”のだろうか。



「私はアナタを待ち続けた。そして、アナタは帰ってきた。これ以上望んだら呪われるよ。私は。」
「##NAME1##、俺は。」

「何?」



彼がニコラの手を取った。そして片手には彼女の心臓のある位置に手を。
とくん、とくん。と彼女の心臓が脈を穿つ。

手を取られては心臓の音を取っているので焦らされたニコラはぎゅっと抱きしめる。



「な…!ニコラ…。」
「シュヴァーンは…死にたかったの?」

「…あぁ。」
「でも私はアナタに会えてよかったと思ってるの。今でも。」



離しそうにもない。だが、強引にやれば簡単に解かれる。
ぎゅうっと女の力でか弱く抱きしめる力は、不思議にも強かった。

そしてまた、無理矢理引き剥がすこともしなかった。



「アナタのこと好きなの。愛してるの。シュヴァーン。」



――――どくん

穿つことのない心臓が。鼓動した気がした。




真実の言伝
(まさか、見慣れたお嬢さんひとりに妙な気持ちになるとはな)