全てを貴方に捧げます

私を白を言ったのは、
自らを黒と示すアナタ。

私たちは、一緒にはなれないの…?



「…ねぇ、何で私にコレがあたってるの?」
「なんでだろうなぁ?」



こつん、と当たるのはアルヴィンが愛用している銃。
銃口がゴリと冷たい鉄の塊が額にあたる。

回避不可能な至近距離。
彼の目が冷たくなってたのが見えて、ぞくりと震えた。



「ねぇ、アルヴィン…ちょっと、怖いよ…。」
「何も怖い事なんでないぞ?」

「…嘘、つかないで。」



彼の嘘は残酷なものが多い。それは長い時間に一緒にいて気付いた。
あの見慣れた作り笑いが、今では酷く恐ろしく感じてしまう。

なんでだろう。心当たりが思いつかないや。
こんな展開になるなら、どうしてあの時…。



「こうなるなら…なんで、助けた、の?」



ニコラの目に暗い色が反射して映る。


アルヴィンと出会うきっかけになった、あの悲劇の舞台。
あれは封印。あれだけは思い出したくなんてない。

被検体として扱われ、私の右腕に埋め込まれた黒き兵器。
研究所から逃げたかったけど、それは敵わぬ牢獄。

そんな中。彼が侵入者として現れて、その際にたまたま姿を見てしまって。
殺されるのかと思ったら、来いとだけ言われて脱出した。

それなのに、今のアルヴィンは初対面の時のように冷たい目をしていた。



「…っ。」
「手、震えてる。」



額に銃を突きつけられているというのに、今の私は非常に冷静だった。
そりゃ、もう不気味なほどに。

本当なら、殺される恐怖もあるというのに。
そんな恐怖は一切感じなかった。

だからだろう、アルヴィンの握られた左手が震えていて、銃がカタカタと音を立てていたことに気付いたのは。



「…逃げねぇのか?」
「アルヴィンに拾われた命だしね。逃げたって意味はないよ。」



ニコラはへらっと優しい笑みを浮かべた。


拾われた命?そんなの虚言だ。
コイツを拾ったのは、唯の気まぐれだ。

初めて会ったあの時にだって、殺そうと思えば殺せたんだ。
だが、それを行わずに拾っては今こうして一緒にいる。

それは彼女がこの世界では普通の人間だが、理不尽な親に不要になったからと捨てられて。
研究所では記憶を抜かれてただの人形として扱われていた姿に、酷く揺れ動いてしまったから。

それなのに、何故コイツは…。
こんなにも、綺麗に笑える?



「私はアルヴィンの人形じゃないけど…、アルヴィンのお陰で生きているようなものよ。」



彼女は眩しいほどに真っすぐで真っ白い。
真っ黒に汚れてしまった俺には、相応しくないほどに。

だが、この白い彼女は黒い俺によって生きていると話す。
そのときのニコラの表情は、真っすぐで、優しくて。

…馬鹿だな、俺。
なんで、この子を傷つけるような事をしようと考えたのは。



「ったく…仕方ねぇお嬢さんだな。」



ニコラはアルヴィンを見つめた。
いつも見ているときの中で、一瞬だけ垣間見る“本当の”彼。



「お前はお前だ。ニコラ。」
「有難う。だから…アナタにずっと傍にいたい。アルヴィン。」



我儘といわれてもいい。だけど、これは私の…ルアの本心だ。

ニコラからの懸命な告白を受け、アルヴィンはニコラの頬に手を滑らせ下ろして顎まで到達すればくいっと上げる。
顎を上げられて視線がアルヴィンをぶつかると、優しいブラウンの瞳にココロが揺れる。

顎に添えられたまま、今度は指で唇をなぞられた。



「なら、ひとつ捧げろよ。」
「え…?」



『ニコラからのキス。』それだけ言うと、ニコラは初々しく顔を真っ赤にしたが。
にこりと笑みを浮かべて、そっと背伸びして軽くキスをする。

裏切りと嘘を重ねた彼が、少し白に戻れた気がする。





全てを貴方に捧げます
(大好きよ。愛してるよ。ひとつじゃなくてもいい。)
(だったらニコラを捧げてくれよ。すべて、な?)
(…っ!そ、それって…その…。)



アトガキ
[Ti amo!]にて、
提出させていただきました!
有難う御座いました!

(以下言い訳)
なんかアルヴィン夢であんまりシリアス
書かなかったなーとか思って。
+つい最近になって
本編で額に銃口(4部冒頭)のシーンを
見れたので、その衝撃が忘れられなくて
こんな感じに至りました。
あれ?これって…夢?

一応切甘をイメージしてみましたが、
慣れない事はするもんじゃないです。
…いや、本当に。

一応軽くヒロインの説明をすると。
ヒロインはエリーと同じあの研究所の
被検体です。
でも、アルヴィンによって脱出した。
以降一緒に動いてる。
なので、ヒロインはアルヴィンのことを
ある程度は知っている。

とまぁ、ドリーミングすぎますが
ご了承ください。

夢要素少なくてゴメンナサイ!
これでも一所懸命に
書かせていただきました!
ありがとうございました!


海月緋斗