pistol kiss



彼は、時々衝撃的な行動に出るもんだ。
いや、衝撃的だけでなく唐突でもある。



今は一室で荷物の確認をしているところ。
ニコラは道具屋で一通りなくなっていたアイテムを補充し、それを荷物に詰め込んでいたところ。

詰め込み終え、ちらりと隣の男を見る。
彼女の隣ではアルヴィンが珍しく武器の手入れをしていた。
手入れと言うより、簡単なチェックだ。
ゴツイ銃に弾丸を複数。それを装填していて、ガチャ、と機械がぶつかる音が鳴る。


何故か知らないが、この仕草と言うかこの一連の動きが好きだった。



「じぃー…。」
「ん?どうした?ニコラ。」



見つめられていた事に気付いたのか、アルヴィンが声をかける。
『このいい男にすっかりトリコになっちまったのか?』とふざけた事を言うから『それはない』と一刀両断してやった。
(つれないねぇ、なんて言うけど判って言ってるのだと知ってるので気にしない気にしない。)



「いや、ね。装填するところカッコいいなって思って。」



なんか、女性が銃を扱うのとはまた違う。
ごつごつとした男の手で、少々ゴツい銃を取り扱う。
そんな仕草に、女性のそれとは違う魅力を感じてしまうのだ。

私がフェチだからというのではないと思う。多分だが。



「コレか?おたくだって銃扱うだろ?」
「でも弾勿体無いし、アルヴィンも銃使うから使ってないのよね。」



一人のときは使用はしていたが、今は二人いるために余り使ってないのだ。

その代わりに、私の方はといえば術での支援を主に取り扱う。
近距離で攻める場合は投げナイフと短剣を使うこともあるが。
彼は回復技を持ち合わせていないから、という話で。



「なんなら今度は銃の対決でもしねぇか?」
「…はい?」

「俺もおたくも使い手なんだ。どっちが上手く使えるか見たくねぇ?」



ニヤリと笑みを浮かべて銃を構える。
私のとは違ってごついタイプの銃を扱うアルヴィンが、少しかっこよく見える。

だけど、私はこの勝負には乗らない。何故ならば、理由はある。



「…アルヴィンが勝ちそうだよ。プロの傭兵さんだし。
私は護身用でもっているだけだから精密そんなによくないよ。」



彼女はひとりで旅をする物好き以外は、至って普通の少女だ。
戦闘に携わる事なんて旅人として廻るまでほとんどやってなかったし。

故に、彼女が銃での勝負ことは乗らなかった。



「んー、だったら。教えてやろうか?」
「…何を?」



勝負を降りると、何故か違う話に展開する。
思わずぽかんとしてしまい、首を傾げれば得意げな笑みを浮かべて。



「俺がご主人さまのニコラちゃんに銃の扱い方。」
「……はい?」



ニコラは思わず二度首をかしげて問いかけた。
まさか。アルヴィンが自ら自分に指南を申し出るなんて、思いもしなかったからだ。



「護身用とはいえ、この先を考えれば腕を上げておくのはおススメするぜ?」
「…条件は?」



それを素直に受け入れそうになるが、じぃっと見つめて言う。

この男はボランティア精神でやっているわけじゃない。
ましてや、戦う術なんて一介の旅人である私にはそこまで大事な事ではない。

戦えないから、傭兵を雇っては旅をする。それがセオリーと言うヤツで。



「そうだなぁ…。ニコラちゃんからキスでいいぜ?」

「はぁっ?!」
「今まで俺からだったしなー。問題ねぇだろ?」



いや、今までとか言うが大体は急襲じゃないか。
ニヤリと笑みを浮かべて私にするっと頬を撫でてくれば、それが最初からの目的だとすぐにわかる。

何でだろうか。最初からコレを予期していればどうにかなっていたのに。



「いやいや。問題大アリだよ、なんでこうなるの!」
「俺がニコラからキスして欲しいって思ったからに決まってるだろ?」



ストレートな物言い。それは弾丸のように、唐突に衝撃的に。
さり気なく腰を撫でるその手つきに、びくりと震えたのは言うまでも無い。





pistol kiss
(ハッキリ言いすぎだよ!何ストレートにせくはらしてるのさ。)
(セクハラのつもりじゃねーよ。強いて言うなら愛情だろ?)
(嘘つき!せくはらせくはらっ!)