デ・ジャ・ヴ
一度目は、完全なる事故。
だが、二度目はどうなの。
「ぁ…。」
「ん?」
アルヴァンは思わずニコラをみる。
気まぐれで、初々しいご主人さま。
そんな彼女の元での生活にもすっかり慣れた。
今までひとりだったからか、恋愛絡みはダメだろうと思っていた。
ましてや、キスの単語すら免疫がない彼女である。
それぐらいに、初々しい彼女。
それが今のご主人さまのニコラである。
「手、繋がせて。」
「くくっ。随分甘えたがりだな?ニコラちゃん?」
くつくつと楽しげに笑う姿に変な何かを覚えつつも、ほらよ、と彼の手が伸びる。
だけどね、ちょっと違うのよ。
「…そうじゃなくて。」
「あ?」
「手袋外して。」
手袋を指し、それをアルヴィンが目に入れば手袋に手をつけ、しゅるりと外してはぱさりと落ちる。
その仕草がどこか、色っぽくて。
「こうか?」
「…あ…。」
「ニコラちゃん?」
彼女の様子がどこかおかしい。
そう思ったアルヴィンは彼女の顔をまじまじと見た。
「なんか、それ…イイ。」
「ん?ニコラちゃんってそんなキャラだったか?」
まるで照れたかのように頬を赤らめて、まるでそれは恋をした少女のようで。
そうだとは、はっきりとは言わない彼女だけども。
「だだ、だって…ずっとひとりで旅してたんだもの…。そ、その…あの…。」
「俺の色気にすっかりトリコになったか?」
半分はからかいだ。
ニコラはこういった話には滅法ダメで、返してくる言葉は大方決まっている。
そう、思っていた。
「…そう、かも。」
「……マジ?」
「うん、大マジだよ?」
へらりと笑う彼女が、どこか色っぽい。
今なら、このままキスしても文句は言われないだろう。
と思い、アルヴィンは彼女をそっと押し倒す。
頬に手を寄せそのまま近づけば、ふわりとするアルコールの香り。
判るとアルヴィンは恐る恐る聞いた。これが、肯定でないことを祈って。
「ニコラ……。酔っ払ってるだろ。」
「うん、さっきお酒貰って飲んだからふわふわしてるー。」
聞きたくなかった彼女からの言葉。
前にもこんな誘い文句が飛んできたことはあったが、しかも今回はキスという言葉が入っていなかったためまったく気にしていなかった。
故に、過去にもあったことがデジャヴとなりため息をついた。
「生殺しかよ…。」
忘れていた。
彼女はアルコールの類いは苦手。
グラス一杯ですぐに酔う挙げ句に、したことなど全くといっていいほど綺麗に忘れる。
だから、こんな襲い方をしても無意味だってことを。
はぁ、と盛大なため息をついて『もう寝なさい』と頭を撫でた。
『子供扱いしないで!』と拗ねる様子が、可愛らしく思えた。
デ・ジャ・ヴ
(なぁ、ニコラ。おたくはもうお酒飲むな)
(へ?私だってたまにしか‥なんで?)
((このままだと生殺しになりかねないしな‥‥。))