二重首謀者
だって、顔。解らなかったし。
「さて、次はっと。」
ニコラは日課となる掃除をこなしていた。
次は長い長い廊下をしなければならないといけない中。
見慣れない人影がひとつ。
「‥あれ?」
ニコラは首をかしげた。
最近見ない人が廊下を歩いていたから。
黒に近いグレーの格好で、おかっぱの髪型。
無言のまま、見慣れない人がスタスタと歩いているのを呆然と見送った。
「お客さん、かな?」
当時ルアは解らなかった。
ジランドさんが呼んだのだろうと思い、ニコラは掃除を続けた。
そんな中。
「あ、あの。ジランドさん。」
「あ?ニコラか。掃除は終わったのか?」
「まぁ、粗方は。」
仕事もこなし、報告にとジランドさんの部屋にノックをする。
許可を貰って部屋に入れば、ぺこりと頭を下げながら来客を思い出す。
あの、グレーな彼を。
「ところでジランドさん。お客さんが来てましたけど?」
「客?俺の方に連絡は行ってないが?」
少し期限が悪そうな調子で返される。
ここはジランドさんが使っているのだから、でっきり話が通してあると思ったからだ。
あれ?じゃあ、あの人は誰?
「おい、ニコラ。」
「はい?」
「どんな客だ?」
「そうですね‥黒っぽいグレーな格好でしたね。」
ひとつひとつを思い出してニコラは言う。
あと、グレーの髪色をしていて、おかっぱの髪型だったとも。
すると、ジランドさんが何かを思い出したようだった。
なのに、どこか様子が変だ。
「‥‥それは俺だ。」
「えぇっ?!」
「くくっ、まさか気づいてなかったとはな。」
くつくつと意地の悪い笑みで浮かべて、スッと近づく。
身長差もあって、するりと撫でられる頬に思わず震える。
「だだ、だって‥顔‥見えなかったし‥、格好違ったし‥。」
「ご主人さまである俺が解らねぇとはな‥仕置きが必要か?」
「!!」
ニヤリと笑みを浮かべた後にひょいと担がれ、
そのまま向かった先は首謀者と被害者しか知らない。
二重首謀者
(ちょちょ!判んなかったからって‥!)
(少しは解ると思ったが‥残念だ。)
(残念じゃなくて!下ろして下さい‥っ!)