チョコ・タイム
ほんのりあったかくて、甘い紅茶。
しかし隣を飾るのは、ブラックに近いビターチョコ。
自室でゆったりと寛ぎたくて、先日出かけた時に貰ったチョコ。
香りはよかったのだけど、苦めだといわれて少し困惑した。
ニコラは甘党だ。苦めなんて彼女から自ら進んで食べようとはしない。
だが、先日ジランドさんに“甘い物好きはガキ”といわれた言葉を少なからず気にしていたようで。
克服という形で、ひとりひっそりと特訓してした。
「むぐ…、ちょっと苦いかも。」
カカオが多めに入ってて、苦めなチョコレートだけど折角貰ったのだからと試したが。
甘党で慣れきったニコラの口には、苦すぎた。
本来ならひとりですることでなく、誰かと一緒にいたいけど一緒にするなんて予想出来ない。
(本当なら、ジランドさんと一緒にお茶会…したいけど、夢だ、夢。)
そんなことを思いながら紅茶を飲んでいると、がちゃりと唐突にドアが開く。
ノックもせずに入る人なんて、ひとりしかニコラには想像出来ない。
「この匂い…どうした。」
「ジランドさん。ちょっと興味があったので。」
すたすたとジランドさんが近づく足元は、霜のようなものが付着する。
おそらく、源霊匣のセルシウスの影響だろうけど。
それを横目で、ジランドさんに目線を向けつつチョコをまた一口。
「前に“甘い物が好きなのはガキだ”ってことを言われたので。
ちょっと挑戦してみたのですけど、やっぱり苦いです。」
そういって、ゆっくりと入れた少し甘めの紅茶を飲む。
ちなみにこれは、ニコラ自身が購入して淹れたものである。
あはは、と軽く笑っていると、近くまでジランドさんが接近して。
何枚か並べた板チョコの一枚を手にとって、そのまま口に運ばれた。
「…あ。」
その一連の動きは、ささいなことなのにどくんと鼓動がなる。
(あぁ、ホントにベタ惚れしているんだな、と自覚した。)
「これすら苦いというか。ガキの味覚だな。」
「…でも、苦いんですよね。」
『こればかりはどうにもならないですね』と笑う。
笑ってると、また一枚手にとって口に含んで。
それと同時に腕を掴まれて、そのまま軽く引っ張られる。
「ちょ、っと…っん?!」
引っ張られれば、そのままふわりと重なる唇。
唐突なことに驚きも隠せず、そのまま重なると突然に苦い味覚が支配する。
さっきの、板チョコの味。
苦さが支配して離れたいのに、後頭部を抑えられて離れることを許してくれない。
「ぷは…ッ、は…っ、はぁ…。」
「くくっ。こんな慣らし方ぐらいしねぇとなれなさそうだからな。」
ニヤリ、じゃなくて二ィ、と不敵な笑み。
折角のひとりお茶会がとんでもない展開になったのは言うまでもない。
チョコ・タイム
(で、でも…こんな鳴らし方だったら悪くないかも…。)
(ならこれからは罰も兼ねてやるとするか?)
(え?!そ、それは…ちょっと…。)