日が少し開けてきた頃に。
色々と覚醒したようです。
「‥‥ん、ふぁ‥朝‥?」
優しい光に深く沈んでいた意識が目を覚ます。
軽く欠伸をして、目を開ける。
やっぱり、此処ジルニトラの備えられているベッドだから心地よい。
だから、自覚はしていたけどついつい寝すぎてしまう。
それを防ぐために日頃から目覚ましを使っているのだが、その音が聞こえない。
寝すぎたか、と焦りつつくるんと寝転がり確認を取ろうと目覚まし時計に手を伸ばそうとした。
「どうしよ、‥今何、」
『何時』かと視線を落とすと、景色が違う。
途中で気付けたからよかったけど。
自分以外の人影。
「‥‥‥‥‥え?」
此処は一人用だ。何故誰かと一緒に居る?
というか、記憶がない。
若しかして、私は過ちを犯してしまったのか?
色んな不安が過ぎり、人影を確認しようとちらりと覗けば。
見慣れた灰色の髪に、ぴたりと固まる。
その人物が誰かと判ると、おぼろげだった覚醒が一気に醒めた。
(ちょ!ジランドさん?!な、なな、なんで?!)
そう。その人物はここの主であるジランドさんだった。
何故一緒のベッドで眠っているかという理由を咄嗟に出てこないまま、困惑した。
よくよく考えたら、辺りの視界は自分の部屋ではない事も気付いて。
…つまり。ニコラがジランドの部屋で寝ていたことになる。
この事態はニコラにとっては嬉しすぎる事ではあるが何故こうなったかは予想できない。
動くに動けない状態の中、ニコラはちらりとジランドを見た。
(綺麗…。私、やっぱり好きだ。ドキドキしちゃう。)
眠る姿なんて想像できなかったけど、いつもの厳しい顔が少し穏やかに見えて。
彼に惚れているニコラにとっては、嬉しすぎる絵である。
途中で恥ずかしくなってぐいっと目をそらすと。
「るせぇぞ‥‥ニコラ。」
「!!」
低いかすれた声にどくんと鼓動がなって、びくりと震える。
声のしたほうへ振り向けば、ゆっくり目を開けて目をこすって此方を見るジランドさんの姿。
そんな仕草にすらカッコいいなと思う自分は末期なのだろか。
「あ‥‥あの‥‥オハヨウゴザイマス。」
「何片言になってんだ。」
余りに片言になってしまった自分がおかしかったのだろうか、
ジランドさんは笑みを小さく浮かべる。
しかし、ひとつ気になったことが。
何故、彼の部屋に私が居たのだろうか、ということを。
「あ‥あの‥‥此所って‥。」
「あぁ、俺の部屋だ。」
あぁ、やっぱりか。
どうりでジランドさんの部屋は一人用にしては少々広いベッドだなと思う。
そもそも、何でこうなった。
「‥‥で、なんで、私。此所に‥‥。」
「あ?てめぇが俺の部屋に入ったからだろうが。」
部屋に入った、なんて恐れ多すぎてやりたくてもやれなかったのに。
自分から入ったなんて誰が想像できただろうか。
しかし、ふと思い出す。
確かあれは、余りに寂しくなって不在中のジランドさんの部屋に入ったことを。
あれは、ささいな夢かと。そう思っていたのに。
誠だった。
「う、そ‥。あれ、から‥‥。」
「ちっ、てめぇが入ったお陰で狭かったぜ。突き落としてもよかったんだがな?」
突き落とす、という台詞にニヤリと意地の悪い笑み。
やっぱりジランドさんだと安心感するも、少々物騒。
下手すれば、氷漬けにされるのではないかとも思えて。
深々とベッドの上で土下座する。
「ご深いご慈悲恐れ入ります。」
「ったく、今度からは許可を下ろしてから来い。」
「は、はい。‥‥‥はい?」
ぴたり、と固まった。それも土下座中に。
許可なくでは、ほぼ確実の確立で制裁が下るのだが。
許可あれば、許されると。
きっと、彼にとことん惚れてしまったから。
そんな許可なんて、そう簡単に降りる物ではないとわかっても。
嬉しくて笑みで蕩けていた自分が居た。
陽射しのもと
(じ、ジランドさんも…寝るのですね。)
(そりゃ身体がもたねえしな。流石の俺でも寝れる時は寝るぜ?)
((ジランドさんと…一緒の部屋で…。どうしよう嬉しすぎる。))