日記とフレーム



「さて、と。これで終わり。」



日課の掃除も、他の家事も。銃の訓練も。
これらをやって、食べては寝て。
それの繰り返しで私はこの場所で暮らしている。

その何事のない日々を、記している物はあった。
パタン、とやや厚めの本を閉じた。



「ニコラ。」
「あ、ジランドさん。」



どうして部屋に訪ねられているのか判らなかったけど。
嬉しくて、ニコニコと近づいた。

私の生きる一日でジランドさんと会話する事も、触れられる事も。
私にとっては、嬉しい事だから。

そして!ジランドさんはじっと私を見つめた。
(あぁ、このまま倒れてしまいそう!)



「?どうか…しましたか?」
「てめぇがメガネ掛けてるとはな。」



そういえば。普段は裸眼でしているために、メガネなんてこういうときにしかしない。
日記を書くか、本を読むか。

しかもこれは就寝する前にすることが多い。
なのでジランドさんにメガネ姿をお披露目するのは初めてだったかも。



「あ…。」
「フン、てめぇに合わねぇ色してんな。」



銀色で細めのフレームをくるくると弄んで。
そのまま私のメガネを掛けてしまった。

鋭い目が、レンズ越しに見えただけで知性的と共に別な物がニコラを襲う。
(なんか、こう、ドキドキしちゃうヤツで。)



「くくっ、また惚れちまったか?」
「ず、ずるい…!」



くつくつと笑って、メガネをくいっと上げた。
その仕草が様になりすぎてて、どくんと鼓動が鳴る。

判っているから。把握されているから。
少ししか度が入っていないメガネをジランドさんは外して私に掛けられた。
その仕草を、唯呆然を見ていた。


私の書いた日記に、更に付け加えられる事になった。
『ジランドさんのメガネ姿がかっこよかったです』と。





日記とフレーム
(ニコラは、赤だな。)
(え…。赤、ですか?)
(コレの色と一緒だしな?)