Ice Heart Noise


仕事をこなしつつでも、自分の中心はやっぱり彼で。
そんな彼にあるモノが、少し気になって。



「じー…。」
「あ?何そんなにジロジロ見てんだ。」



少々キツめに睨まれるとびくっとしつつも、声を掛けられて幸せ。
(いや、好きすぎて流石にガン見していたのは悪かったけど)



「…ジランドさん。ずっと気になっていたのですが…。」



ニコラは自らの左目の少し下の頬に指を宛てた。
気になっていたもの、とはジランドの左目を中心に囲うアザのようなもの。

彼女がそう思う理由。
それは彼と会った時からそのアザがあったからだ。



「これか?」
「そう。初めて会ったときからあったから。どうして?」

「さぁな。」



アザの秘密を聞きたかったのに、それをさらっと流された。
それに何となく反抗心をくすぐってしまって。

すたすたとニコラから近づいて、目一杯背伸びして頬に触れた。
(下手したら氷漬けにされそうだけど!)


触れた感想。余りに冷たすぎて手を引っ込めた。



「ひゃっ!冷た…ッ!」
「何勝手に触ってんだ。」



引っ込めた手を逆に掴まれた。掴んだ手はやっぱり冷たかった。
(そういえば、急に項に触れられた時も余りの冷たさに叫んでいたっけ。)

いやいやいや。なんでこんな冷静に居られるの私!
今触れられているんだよ!しかも掴む手が心なしか強い気がする。



「あっ、ちょ…離して…。」
「却下だ。」



却下、と言う言葉と同時にまた強く握って。
段々と距離を縮めていくのに少し危機感を感じた。
(いや、これ以上近いと私の心臓がもたないって!)



「ちょ、っと、ジランドさん…顔、近い…。」
「黙れ。」


ぴしゃりと制される一言とキス。
余りに唐突過ぎてムードもなくて、びくりと震えてしまい、驚いた際にかちりと視線がぶつかる。

少し深めに差し込まれるキスを暫く堪能したのか、するりと離れたときには私の心臓はやたらにドクドクと煩い。



「くく、そういや俺の眼が好きだったよな?」
「ぁ…あ…。」



距離をまた縮められ、吐息が掛かるぐらいに近くなって。
耳に息が掛かられて食まれる。

びくりと震え、きゅっと目を瞑ればきゅっと背中に腕を回して掴んだ。



「相変わらず変わった女だよな?ニコラは。」
「変わってちゃ…だめ、ですか?」



彼に惚れている、ということは本当。それも、心底。
ジランドさんの声を聞くだけでも、姿を見るだけでもささやかな幸せを感じて。
会話したり、触れられるだけなんて卒倒できる。

アザの秘密は結局聞けなかったけど。
冷たい身体でも十分真っ赤になるような結末になったから良しとしよう。


でも、このあと憶測だけど教えてくれました。
(多分、セルシウスの影響らしい。と。)





Ice Heart Noise
(最初からこうだったわけじゃねぇがな?)
(え?そうなの?)
(おそらくコイツの影響だろうな。)