逆作用恋愛

思いはすべて、逆に作用する。
想いが大きければ、大きいほど。



相部屋生活というのも悲しいことに慣れた自分が怖い。
彼に、何をされるか警戒しなければならないというのに。



「ほぅ?ご主人さまも随分大人しいねぇ。また相部屋だというのに。」
「…仕方ないじゃん。」



そう。今回も宿屋を取れたわけだが、また相部屋となってしまったのだ。
本来なら避けなければならない。
しかし現実と言うのは、彼女らの思いを逆に作用させる。

だが、それが何回もあったことでそこまでショックを表さなくなっている主がいる。
それが、彼女。ニコラである。



「最初はイヤだったけど、今回は幸いベッドの位置が離れているわけだし。」
「…そんなにイヤか?俺と相部屋。」

「イヤ、ってワケじゃないけど。一応男女で同じ部屋とか…普通ないしさ。」



本来なら、道徳で言えば避けなければならない。
これが、コイビトの関係なら全く問題はない。

だが、二人は雇われた傭兵と雇っている主の関係だ。
そこに恋愛事情は絡んでいない。いや、絡ませてはいけないのだ。



「でも迂闊に手なんて出したら即報酬ナシで契約切ってやる。」
「そりゃ勘弁だろ、ご主人さま。」

「自業自得よ。」


釘を刺すかのように忠告すればニコラはぷいっと顔を背けた。


彼女・ニコラの長くて柔らかい髪。
女性特有の艶も入っていて、さらりと流れる髪の隙間から垣間見える項が少し色っぽい。

…何考えてんだ。俺は。
いつもいつも一緒にいて、彼女といたじゃねーか。



「なぁ、ニコラ。」
「んー。何よ…?ちょ…っと!」



止まれ、と願っていたのに気付けば後ろからニコラを抱きしめていた。
この光景は時々あるために、ニコラはそこまで怯えはしなかった。

彼女の柔らかい肌のぬくもりに、徐々にタガが外れていくのに気付く。
止まらなくなる。
抱きしめるだけ、抱きしめるだけ。しかし、思いは逆の方向に比例する。



「少しこうさせろよ。」
「だ、ダメだって…んっ!」

「ニコラっていい香りするんだな。落ち着く…。」



ふぅ、と息を吹きかけると敏感なのか、ニコラはまるで初体験のようにびくりと震える。
目を必死に瞑って誤魔化しているだろうが、今の俺からすればバレバレだ。

だめだ、このままいると押し倒して何するか判らねぇ。

か弱いご主人さまのニコラにキスして押し倒して、
そんで恐らく初めてであろう身体に無理矢理交えさせて俺を味わせて。

嫌われてもいい、コイツを。ニコラを。手放したくないとまで思わせる。
そんなことすれば、さっき彼女から言っていた忠告を実現させるかもしれない。



「離れて…よ……。」



だが、ニコラの。ウブで可愛らしいご主人さまこの弱弱しい姿を見て、ぷつんと何かが外れた。

アルヴィンの理性が、いとも容易く崩壊させた。



「ダメだ…抑えが利かねぇ…。」
「!」



それを言った直後に彼女の反応を待たず、アルヴィンはニコラをベッドに押し倒し、
彼女に跨り、顔の横に手をついた。

ニコラの視線には目の前がアルヴィンが。そしてその背景は天井になっていた。



「なぁ…ニコラ。」
「!」



低く囁かれる声に微かに赤らめ、びくりと震えればおもむろに唇を重ねた。
驚いて目を見開いていたが、アルヴィンは頬に手を添えてそのままキスを続けた。

当たり前だが、非常に驚いた顔をするニコラは何とか阻止しようとするがそうはさせない。
アルヴィンは顎を掴み、硬く閉じた唇を開放させる。

強さに耐え切れず微かに唇を開けば、その隙間に舌をねじ込ませた。



「ふっ、ん…ぅ、ン…?!」



何とか阻止させようとするが、アルヴィンは思うがままに蹂躙していく。
勿論。キスの経験などないニコラは無防備もいいところで、アルヴィンの思うがままにされる。

対処の仕方がわからないまま好き勝手されると、ゆっくり唇が開放される。
ぷつん、と二人を繋ぐ銀色の糸が卑猥に感じた。



「ん、は…っ、ぁ…。」
「貰っちまったぜ?初キス。」



ちろり、と舌なめずりするこの男の卑怯さというか卑猥さというか。
かぁっと顔を真っ赤にさせて、ぽかぽかと叩くが距離が近いしで全力で殴れない。

まるで子供のような叩き方で、アルヴィンはくつくつ笑う。



「ば…ば、ばかぁああ!!」
「バカで結構だよご主人さま。これでも我慢してたんだぜ?」



ニヤリとしてやったり、のような顔をするこの男。
きっとこの後、色んなものを取られながらオトナの階段を上るのだと思うと少し悲しくなった。

…キライじゃない、のが唯一の幸いかもしれないと思いながら。





逆作用恋愛
(アルヴィンの変態っ!ファーストキスだったのに!)
(知ってるぜ?だが俺は嬉しいけどなぁ。ニコラちゃんの唇柔らかかったし?)
(変態!せくはらっ!もうお嫁に行けないじゃない!)
(そん時は貰ってやるから安心しろって)




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相互記念夢でした。