早朝の時間。ちょっとした長期の休み。
まだ弱々しく柔らかい日差しに照らされている中で、インターフォン。
「ふぁ…っ。はい、誰でしょうか…?」
目を擦りつつ、ドアのカギを外して開けると、見慣れた人物が来客する。
それは、コクトーだった。
「よぉ。白雅。」
「あれ?コクトー。何でこんなに早く…。」
何故こんなに早く来たのかという疑問点は思いつつも、乱れた髪をくしゃくしゃと正すように梳く。
ふあ、と欠伸をしてまだ覚醒しきれない中で、唐突な申し出。
「あー、アレだ。今日泊めてくれねぇ?」
「…え?まぁ。…いいけど…?」
いつも唐突に来て唐突に言うのに、まさかの申し出に驚く。
(いや、今回も唐突だけど。)
しかし、この先の言葉に寝惚けていた頭が覚醒した。
「但し、俺だけじゃねぇけどね?」
そう言って首を傾げていると、ドアの死角で見えなかったのがひょこっと見える。
しかし、その姿は。紛れもなく、彼。
『初めまして、だな。白雅ちゃん?』
「…えっ、…こく、と…?」
そう。もうひとりのコクトーのご登場である。
ニタリと笑みを浮かべるもうひとりの登場に、頭の中が真っ白になった。
「コイツ。俺の兄貴。」
「…マジ、ですか。」
『兄貴って言っても双子だけどな?』
恋仲の相手の兄貴。
まさかの宿泊と云うちょっとした事件だ。
黒、兄貴現る!
(お兄さんの名前は…何て言うの?)
(オレか?剋朷(コクトー)だ。)
(あれ?お兄さん…コクトーと名前一緒?)