菫色の君


「うーむ…本当に高いわぁ…。コクトーの身長。」
「何言ってんだ?そりゃお前ェがちっこいからだろ?」



『ちっこい』という言葉に彼女は『ちっこい言うな!』と反論する。
いや、確かにそんなことは彼女自身が一番理解している。

ましてや、長身痩躯であるコクトーだから、余計に長身に見えてしまうのだ。
丁度コクトーの腰より少し上くらいに、頭があるくらい。



「これでも気にしてるんだよ…。
どうしても上目になっちゃうし、コクトーは屈まなきゃならないし。」



そう。余りの身長差に彼が負担をかけてしまってないか、ということだ。
否。負担の意味なら彼女にもあるが、それはそんなに気にしてない。

寧ろ、彼女は彼の負担を考えてしまうのだ。
それをコクトーは知っていたからか、少しばかり考えて彼女を見つめた。



「だったら、これならどうだ?」
「ちょ、ちょっと…!」



そう言われると、ひょいと軽々を抱きあげられる。
しかも、その格好はまさに姫様だっこであるから彼女が赤面するのは言うまでもなかった。

何とか反論しようとするも、いつもより近くで顔を見られたから菫色の目が酷く映える。
それに思わずときめいてしまい、赤面したままの顔を何とかするので精いっぱいだった。



「あ…。も、もうしょうがないね!」



つい、菫色の瞳に魅入られた・なんて。言えなくて顔を必死に隠した。
(そしたら、耳に息を掛けられて変な声をあげたのを笑われた。)





菫色の君
(にしても綺麗だったな…。コクトーの目の色。)
(俺はお前ェの目が綺麗で可愛らしくて好きだがな?)
(っ!は、恥ずかしいよっ!)