真と嘘
彼の言葉は果たして、嘘か本当か。
奥が覗ければ、少しは本音に近づけられるのかな?
取り敢えずXCUTIONのメンバー入りとなった水上白雅は今。
XCUTIONのマンションで修行を終えたあとだ。
彼女は幸いシャツの替えがあったため、シャワーを浴びてきたというわけだ。
「シャワー。有難うございました。…あれ?」
入っても良いと許可を下ろしてくれた銀城さんに一言言おうと私室に向かったが、誰もいなかった。
誰もいない私室の中。一人になるとあの瞬間を思い出す。
ファーストキスを奪われた、あの瞬間を。
「にしても…、ホント。何だったの…?」
思い出せば思い出すほど、訳が解らなかった。
招き入れようとするだけなら、わざわざキスする必要なんてなかったのに。
もし私が完現術者であるかどうか見極めるだけなら、する必要はないのに。
「何思いだしてんだ?」
「!銀城、さん…。」
こんなことを思い出させた、いや。そうさせた張本人の声が後ろからあって、思わず身体が震える。
白雅はごちゃごちゃした心境の中振り向いたが、
当の本人はそんなこと思いもせずカランとグラスを鳴らしてはテーブルに置く。
「な、な、何でも…ないです!」
「何でもなくもねぇだろ?」
するりとさり気なく頬に触れる手に思わずドクンと鼓動が成る。
それを慌てて振り払うようにしては、目を合わせない。
…いや、合わせられない。なのだが。
「で、ですから…こういうのは“秘密”なんですっ!」
「何言ってんだ?お前が俺に隠し事するようなことねぇだろ?」
「いやいやいや。ありますから、全然ありますから!」
まるで恋仲のような台詞に頬が少し熱くなるのを感じた。
だが、生憎恋仲なんて関係ではない。つまりは、ただの独り善がり。
それを自ら晒す行為が恥ずかしくて、イイエと答えたかった。
なのに、この男はそれを許さないらしい。
「なぁ、白雅。」
「!うっ‥な、なに‥‥?」
「答えろよ。」
耳元で囁かれると、思わず体が震えた。
気付けば銀城は私の後ろに居て、目線を合わせない代わりにと仕組んできた。
「ふぇ‥ちょ、ちょっと‥?!」
「俺に隠し事が出来んのか?白雅?」
もう一度名前で呼ばれれば、今度は腕を回しては肩を掴む。
慌てて体勢を直そうとするも、頑丈な腕と男女の差で振り払えることが出来ない。
「ちょ‥勘弁してください‥っ!」
「ダメだ。教えるまで帰さねぇから。」
爆弾発言に、思わず体がまた震えた。
ぐい、と肩を強く捕まれてぼすっと押し倒された。
背中にはふかふかのベッド。視界は銀城さんと天井。
しかも最悪なことに、誰もいない。
この男に馬乗りにされているような状況に、益々自分の危険が濃厚になっていく。
(しかもだけど…銀城さん重いし!)
「えぇえ?!そう、じゃなくて‥!退いて下さい…っ!」
「退いたら逃げるだろ?」
「うぅぅ…意地悪しないで、下さ…っ。」
困り果てたような表情を浮かべて何とか止めるように促すも、一切止めるような素振りはない。
寧ろニヤリと笑みを浮かべて、頬をするっと撫でられる。
「悪ィな。好きな子は虐めたくなっちまうんでな。」
また耳元で囁かれてちゅ、と軽く唇が首筋に当たって益々赤面する。
身体の芯から熱くなるような感覚だ。
その後、首筋にちくりと刺さったような妙な感覚。
どくんどくん、と鼓動が唯唯おかしくなるように煩くて。
最後に言った言葉が本当なのか嘘なのか。
唯、白雅を混乱させるだけだった。
真と嘘
(で…ですから、破廉恥禁止ですって!)
(良い身体してんのにな…勿体ねぇ。)
(ばっ…この破廉恥魔がぁああ!!)