Shameless!



願望叶ったり、なのに。
どうしてこうも違う結末に至ってしまうのだろうか。



「やった!やった‥!」



手に持っているのは、紙に包んだひとつのもの。
実は、これはXCUTIONに入って暫くして、白雅自身が密かに抱いていた願望だった。

余りに嬉しそうにして小躍りしている白雅を、グラスで飲んでいた銀城が声を掛ける。



「どうした白雅。随分嬉しそうじゃねぇか。」
「リルカからドーナッツ貰ったの!これ食べたかったんだよね。」



そう。願望とは、このドーナッツ。
リルカがいつも食べていた、可愛らしい色で彩られていたドーナッツだ。
いつも食べていたのを見ていて、いつか食べたいと願望を抱いていたが、余りに見続けていたら一個だけくれたのだ。

その一個が嬉しくて、クルクル踊りながら紅茶をお願いして用意が出来るのを待っている。
漸く紅茶を頂けると、嬉しそうにウキウキした様子で『いっただきますっ!』とドーナッツを一口。



「むぐ‥。美味しい‥っ!」



程良い甘さに、ふわふわとした生地。
それらの味や触感を味わいながら、ゆっくり一口を大事にする。

彼女は今迄ブラックの珈琲を飲んでばかりだったが、これでも甘党。
ただし、デザートやスイーツの甘さを邪魔しない程度の組み合わせで味わうのが彼女流。

彼女の楽しみを唯眺めていただけの銀城が、急に一言言いだす。



「白雅。」
「ふ?」



まだ口に挟んだままで、これから噛みしめようとしたのに、声を掛けれられて。
そのままの状態で銀城さんの方を向く。

そうすると、何故か腕を掴まれて向けさせられて。
目線が重なるほぼ同時に一言。



「少し寄越せ。」



そしてほぼコンマ1秒でキスをされる。いや、キスというのは少し違う。

銜えたドーナッツを奪うようにして重なって、口移し状態にされる。
そのままキスをされて、銜えていたドーナッツの欠片を奪われた。
キスと一緒に。



「ふ‥、んぅっ!?」
「はっ‥、甘ぇな‥。」



漸く解放されると、何が起きたのかよく判ってない白雅は唯々口をパクパクと開けるだけ。
それを挑発のように、ちろりと軽く舌で舐める様が何とも破廉恥に思えてしまい、頬を赤らめてしまう。



「ん?どうした白雅?」
「は‥破廉恥な‥!」



かあっと顔を赤らめた状態で、白雅は自分の唇に触れる。

未成年でもなければ、思春期でもない。
もう一般的に言えば“大人”の分類なのに、どうもコレばかりは駄目だ。

少し年上の彼に、何もかも翻弄されてしまう。それが、無性に悔しく感じた。
それを感じ取ってか、銀城はとんでもない行動に移しかえる。



「ほぅ?だったら‥。」
「え?」



ドサッと腕をまた掴まれ、今度はソファにイン。
目の前には銀城さん。背景は天井。

するりと、大きな手が頬に沿うようになぞられ、
たまに見る本気な光を眼に帯びさせて、耳元で低い声が囁かれる。



「お子様なお前に本当の“破廉恥”なことを教えてやろうか?」



この後、全力で助けを叫んでいたら救われました。
(だって、眼が本気なんだもの!アレは実行のサインだし!)






Shameless!
(もうっ!幾ら何でも本気にするから止めて下さい!)
(キスなんて何回もしてんじゃねぇか。あとは決まってんだろ?)
(破廉恥ですっ!投げますからね!)