Warmth coherence
時々、彼のぬくもりをふと思い出すのは。
きっと、彼の所為で。
「なぁ、白雅。」
「む?」
目一杯頬張り、もぐもぐと噛みつつ振り向く。
これでも大学でご飯を食べなかったため、こちらで済ませているのだ。
(それに、何分今の私は空腹が過ぎて頬張るので手一杯だ。)
「‥食べてるモン飲み込んでからな。」
「ん。」
銀城さんにそう言われてこくりと頷く。
暫くして漸く噛み終えたようでお茶でぐいっと飲み干せば息を正した。
「ぷはっ‥‥で、何?」
「こっちこいよ。」
低い声で抜けるような声をしつつ手招きする様はどこか艶っぽくて。
それにドキっとしながらも頷いて彼に近づく。
すると腕を回され、そのまま抱きつかれるという事態になった。
「‥‥ちょ、ちょっと?!」
「あー、あったけぇな。」
離してと暴れようとするが、それに応えれくれる様子など一切無く寧ろ強く抱きしめてくる。
まるで人肌でぬくるように。
「白雅ってあったけぇよな。柔らけぇし。」
「‥‥それはセクハラですか?」
「いや、違うな。」
「‥‥‥なら、いいですけど。」
セクハラだったら今の体制なら十分に投げる事はできる。
彼は重いけど、これでも成人男性ひとりぐらいなら投げられたり出来るのだ。
抱きつきはするが、特に動くような気配は無い。
寧ろ、心なしか力が抜けたように彼の体重が乗っかっているような気すらした。
「‥‥眠いんですか?」
「そうかもな?」
「じゃあベッドで寝てくださいよ。」
『運びますから』とずっしりくる重さを何とか耐えながらもゆっくりと歩を進めて寝室まで運ぶ。
ジャケットを脱がして掛けて、ようやくベッドに下ろす。
安心したように息をつき、その場を離れようとする。
…が、腕を掴まれた。
更に、そのままの流れでベッドインしてしまい至近距離に顔がある位置に倒された。
「ちょ…っ?な、何して、」
「白雅もな?」
寝てたのではないのか、と思うぐらいにハッキリと覚醒した声。
いや、起きていたのを敢えて狸寝入りしてたな、とこの後に判った。
「‥‥はい?」
「白雅も俺と一緒に寝るんだよ。」
「‥‥仕方ないね。」
仕方ない、というのは腕も掴まれているし、さり気なく腰も掴まれてベッドに倒されたままだし。
色々と諦めがつくから。というのが理由なのと、私自身が若干眠くなってきたからだ。
「白雅。」
「ひゃっ!み、耳っ…!」
低い声で囁かれ、そのままくいっと引き寄せられて丁度彼の胸元に耳が当たる。
距離も今迄以上に近くて、どきどきと鼓動が煩い。
この男はわかった上でやっているのは知っていたけど、どうもイヤだと言えなくて。
このままこくりと受け入れてしまう。それが、彼のズルイところでもあるのだけど。
「このまま寝ちまおうぜ?」
「…離してくれないくせに。いいよ。」
漸くして認めれば、眠さもあるのかきゅっと甘えたかのようにシャツを掴んでもぞもぞと動く。
白雅からすれば恥ずかしいことこの上ないが、半分開き直りもあってか出来たことで。
眠り落ちる前に、銀城さんの手が背中に当たり、更に密着したのがあったかく感じれた。
Warmth coherence
(このまま…だと、誤解されそう。)
(なんでだ?既に全員知ってるぜ?)
(えっ!?)