素直でない頼み事


最近サボってたのが、とんでもなく仇となった。
いや、サボっていた訳じゃないけど。



「んぁー…。眠いよ…。」
「おい白雅。寝るなら帰ってからにしろよ。」

「判ってる…。ちょっとショックだわ…最近学校の方ばっかだったから…。」



私は非常にショックだった。
その理由は、ここ数日レポート提出に追われてこの場所に来れなかったから。
今迄コツコツ鍛えていたが、自主トレもままならなくて一気にガタ落ちした。

前まではそんな簡単に息が上がらなかったのに、既にそれすら超えて疲労困憊。
(まぁ、イケると思って量も減らさずハードにした私も悪かったのだけど…)

明日は幸い休みだったからよかったものの、テーブルに顔を突っ伏しては動けない。



「だったら、さっさと体力取り戻さねぇとな?」
「判ってる…。」



はぁ、と軽くため息。
こう思うと、つくづく自分はやっぱりワケありとはいえ人間なのだと思い知る。

もう、此処でいっそのこと寝たい。



「…。」
「…おい、白雅。」

「ねぇ、私の家…知ってるよね?」



唐突な告げ。
銀城は一端止まれば、何の意図があってそう告げたのか判らないままそう言った。



「あ?あぁ。前に一度行ってるからな。」
「だったら、頼んでいい?」



白雅からの頼み事。
普段から頼みなどしない彼女だからこそ、そんな彼女からの頼みは興味があった。
それが例え、健全なことだとしても。



「内容によるが…なんだ?」
「……送って。」
「あ?」



思わず、訊き返した。
前にも依然酒を煽っていた時に送る話も出たが家には上がらせなかった。

なのに、こんな状態で送ってなど言えば家に上がることは確立としては高い。



「だから、自力で帰れそうにないから送って。」
「それは俺にメリットはあるのか?」

「んー…、お礼はあとで何かしら考えるから。」



『破廉恥なこと以外なら』と断言するように告げることを忘れない。
寝ている隙に襲われでもしたら疲労の中でも投げ飛ばすことはするだろうし。

そんな返しが来ると判ってるはずだ。だから、忠告するように告げる。
オールバックの髪の後ろを軽く掻けば、軽く息をつく。



「仕方ねぇな。」
「ん…、ありがと。」



お礼の言葉を言えば、そのままテーブルに伏したまま眠りに入る。
間もなくすぅ、と寝息の音を立てれば、頼まれたのだからと銀城はそっと背中におぶる。

矢張り華奢の女性の身体で、軽々と背に負えば安心しきったような寝顔。




「素直になりゃ可愛いとこあるってのにな。」



ひとりごちり、銀城は白雅の家まで素直に送って行った。




素直でない頼み事
(すぅ、…ん…。)
(ったく、つくづく読めねぇ嬢ちゃんだ。)