約束は約束
秘密の部屋のある、自前のバーで。
呼び出された私は、少々不機嫌で訪ねた。
「銀城!どこにいるの?!…って、居た!」
呼び出した当の本人は気分よく、またお酒を飲んでいた。
意識まで持ってかれてはないだろうが、少々酔っている。
「おう。来たか。俺に何か用か?」
「用か?じゃなくて、アンタが呼んだんじゃないの…!」
そう。私は銀城に呼び出しを食らった。
今日はずっと楽しみにしていたことがあったのに、それを悉く妨害されたのだ。
それによる苛立ちは半端なく、出来ることなら一発殴りたい一心だ。
「あぁ、そうだったな。ほら、約束のモンだ。」
『前から試したかったんだろ?』と渡してきたのは少々高級なお酒だった。
元はこうだ。
『前にここにあったお酒は全制覇したから、今度はちょっと違うのを試してみたい。』
そう云えば、銀城が『なら見つけたら一緒に飲んでくれるか?』と言うために、
あったら、という条件で呑んだのだ。
「ま、まさかホントに見つけるなんてね…。いいわ、約束どおり付き合う。
但し、一杯だけね!」
グラスと出して、お酒を注ぎ、氷をカランと鳴らして入れる。
時々氷が内側からピキッと心地よい音を聞きながら、銀城はグラスを鳴らして傾ける。
なんというか、お酒を呑む様が似合っちゃうから違和感ないなと思いつつ、自分も傾けた。
ちょっと苦味を感じる、ブランデーの味だった。
約束は約束
(でも、よくよく考えたら私の我儘に付き合って…でも、タイミングがねぇ。)