想いを小箱に
唐突な出来事で。
理由、なんて言えるわけない。
「はい、コレ。」
「…ん?なんだ、これ。」
ぽい、と半分投げたような渡し方で彼・安形に渡す。
投げた物は小箱が可愛らしくラッピングされた物。
白の包装紙に、青のリボンであしらっていた。
それを見れば何かなんてある程度想像が出来るが、安形は敢えて聞き返したわけである。
「…聞かないでよ。」
「なまえが渡してきたんだろ?」
彼女が渡す理由なんて、特にない。
それこそ、理由なしなんて尚更だ。
「…誕生日。」
「あ?」
「安形の誕生日、なんでしょ?今日…。」
「あー、そういやそうだったな。」
思い出したかのように、わざとらしく呟く。
くるくると小箱を回して、それを改めて小箱を見た。
そして、ちらりと視線が向けられた。
「…つうか、さ。」
「?」
「何で俺の誕生日知ってたわけ?」
「ッ!!べ、べべ、別に…そんなの言う必要ないじゃん!」
「俺は知りてぇけどな?」
その場から逃げようとしたが、壁に手をあてられて退路を断たれた。
その瞬間に足を止め、止めた瞬間を狙ってか壁に追いやられる。
私と彼の身長差はあるのに、安形が少し背中を曲げたから距離が縮む。
一瞬視線が重なり目を見開き、その直後に振ってきたのは額にキス。
絶対、唇にされると覚悟していたなまえが一瞬きょとんとした顔になった。
「…あ……。」
「ま、今日はコレに免じてキスだけにしておくけどな。」
かっかっか、と豪快に笑うその姿に呆気を取られて。
嬉しそうに小箱をくるくると回していた。
想いを小箱に
(なぁ、このまま放課後デートでもしようぜ?)
(なッ!?何を言ってんの…!)
(ンなこと言うなよ。デザートぐらいは奢ってやるぜ?)
(じゃあ乗った)