恋心ラプソディ

只今の時刻はお昼を丁度すぎた頃。
こういう時は、外に出てショッピングに出るのもいい。

その、ハズだったが。



「あ、あの…クロロさん。」
「ん?どうかした?」

「珈琲でも、いかがですか?」
「じゃあ頂くよ。」



本に夢中で読みふけていた彼の視界に入ってもまるで気づいてなかった。
そのために、声をかければすぐに気づいたようで安心しつつ問いかけて。

笑みを浮かべて、クロロさんは淹れ立ての珈琲カップを受け取る。
(あの後お互いに自己紹介した。)



「本当に君…ナマエのお祖父さんの本は素敵な物が多いね。興味を惹かれるよ。」
「ふふっ、有難う御座います。」



私も本は好きな方だし、こうして祖父が遺してくれた図書館を評価してくれるのは本当に嬉しい。
(本当なら書店なのだが、実家が書店というのは自営業みたいな物なので私は図書館扱いしている)

珈琲を片手に本を嗜む様は、絵にもなるし、思わず笑みが溢れる。



「ん…この珈琲って、ナマエが淹れてくれたの?」
「え?えぇ、私の日課なんです。」

「そっか、道理で…。」
「?」



首を傾げていると、ニコリ、と笑みを浮かべるクロロさん。
(笑っているところは本当に綺麗だな…。)

また珈琲カップに口を付けて軽く飲み終えれば、此方に視線。
あの漆黒の瞳には、思わず呑み込まれそう。



「いや、中々美味しいなって思って。」
「!よ、喜んで…戴けて…、何よ、」



『何より』と言おうとしたけれど、それをピタリと止められる。
初めて会ったときのあの違和感の影は感じないけれど、笑みを浮かべる様には思わず胸が高まる。

必死にそれを止めようとした、けれど。



「今度からは、俺のために淹れてくれる?」
「……え?」



Coffee break of the early afternoon.
(昼下がりの、コーヒーブレイク)

最初は唯、本を嗜んで、珈琲でもゆっくり飲んで。
本のことについて語り合うだとか。

そんなことを考えていたのに。


すべてが、砕けて崩れた音がした。





恋心ラプソディ
(そ、そんな…ご冗談を…!)
(あれ?本気にしちゃった?)
(ッ!クロロさんの意地悪っ)