3rd・kiss

朝が来たと告げるように、優しい光を照らす。
これがいつもの日常だと思っていたのに。

一瞬にしてそれが崩れ去った。



「ふぁ…よく寝………。」
「おぉ、お早う。なまえ。」



目の前の夢うつつから一瞬の現実に引き戻された。
否、現実としてはなまえ個人としては非常に受け入れがたいものだった。

思考が固まって。非日常な瞬間。というか、あり得ない事態になった。
そう彼女が思った理由。それは夢から覚めた先に、安形がいたからだ。



「………何で隣で寝てんのよぉぉおぉお!!」



起きて早々の大事件が発生!
部屋で寝ていたかと思いきや、人のベッドの隣で裕も平然な笑みを浮かべている男が居るからだ。
奴の名は安形惣司郎。なまえ自身にすれば、危険人物以外の何物でもなかった。



「朝から元気だな。それはいいことだ、かっかっか。」
「って、何でこんな状況になってんのよ!」

「こんな状況も何も、此処俺の部屋だしなぁ?」
「…は?」



思考停止。
誰が?誰と?何処で?一体なにを?


「そ、それってどういう…?!」
「おいおい。そんなに暴れると…見えるぞ?」
「え?見えるって何……………。」



慌てて確認をしようと起き上がろうとしたその時。
はらりと一枚のシーツが落ちると、彼女の姿がキャミソール一枚。
幸い下は履いているものの、片方は肩から外れてるし、あられもない姿なのは一目瞭然だった。



「おほっ、キャミソール一枚か。中々そそられるねぇ。」
「きゃあぁああ!!何でなの?!」



まじまじと見られてるし、なんか嬉しそうだし!
慌ててシーツにくるまって隠した。

顔だけひょこっと出して警戒の意で睨み付けたが当の本人はニヤニヤとしている。
(くそぅ。殴りたいけど今の格好じゃ、やるにやれない‥)

彼女からすれば、何でこうなっているのかが解らない。
いきさつも、きっかけも。何もかも。



「何言ってんだ。なまえが昨日の夜、」
「覚えてないわよ!何にも覚えてないわよ!!というか知らない!!!
今まで肝心な部分が曖昧で書いてなかったからって既成事実とかあり得ないからね!」


何が起こったかわからないほどに頭の中がグルグルする。
そもそも、何でこうなったかのいきさつが全く記憶にないからだ。
大人だったらお酒に酔った勢いだとか、ありきたりなことが言えるがまだ私は未成年だ。

別に恋とか愛とかの対象にしてない相手。寧ろ論外だし。
それなのにファーストに続いてセカンドまで奪い、重ねて下着姿まで見られた相手。
それらを合わせた男がコイツだ。…もうお嫁に行けないよ。



「大体今の状態でアンタとひとつベッドに共有するフラグなんてないわ!!」
「安心しろって、近々そうなるから。」
「アホか!一生ないっつーの!」



安形はニヤニヤと笑みを浮かべているが、そんなことあって堪るか!
(ひとつベッドに共有フラグがあったなら、こっちからへし折ってやる!)



「ふーん、だったら…。」
「な、何よ…ちょっと!」



バサっと覆いかぶさる。というより、人のことを跨いではぐいっと顔を近づける。
あの爽やかそうな笑顔にある裏側。
それを即座に感じ取り、恐怖と云うより、イヤな予感が走った。



「既成事実、作っちまうか。」
「…は?!」

「丁度二人っきりだし、今日は休みだしな。」



ヘラヘラと笑ってながらも、放つ言葉には笑えない。
ぎしり、とベッドの音が官能小説のようでどこかいやらしい。

同時に、なまえ自身の貞操の危機すら感じた。いや、今現在進行形で危険だ。
誰だ!こんな危ない状況を作ったのは!!



「折角“誰かさん”がくれたチャンスなんだ。有効利用しねぇとな?」



拝啓。この状況を導いた誰かさん。
この変態止めてくれ!でないと確実に喰われマス。






3rd・kiss?
(なまえって意外とあるんだな。)
(これ以上変態発言したら殴るよ。)