もっとあなたのことが知りたくて。
普段の日課とか、好きなものとか。
どんな些細なことでもいいから。
「あ、あのっ!さが‥‥っ‥、紺炉さん。」
「ん?どうした、陽。」
一連の仕事が終わって、町を歩くところふと紺炉さんの姿を見かけた。
にこにこと微笑んで手を振ると立ち止まって近寄る。
(あぁ‥‥もう、名字で呼べないけど、まだ慣れない、なぁ‥‥)
「お出掛けですか?」
「あァ。ちょいと博打を打ちにな?」
「‥博打やられるんですか?」
「ん?ま、齧る程度だがな。」
博打、かぁ。趣味なのかな、日課なのかな。
手を出したことのない世界だけど、紅のダンナが趣味でよく通っているとは聞いたことがある。
だが、紺炉さんも行くなんてちょっと珍しかった。
真面目そうだから、手出しはしないものだと思っていたから。
少し考えて、バッと手を上げて挙手して宣言する。
「‥‥‥‥私もついていきたいです!」
「駄目だ!!」
却下されました。
「なんでですか!お願いですっ!‥‥‥見るだけ、見るだけっ!」
賭け事なんてしたことがないし、たぶん中毒になるのを止めようとしてるのかな。
とは脳裏に過ったが、今回は紺炉さんの好きなものを知るための同行希望であって別に参加したいとかではない。
やりたいわけではないのだが、どうしたらわかってくれるかな。
じっと駄目だという顔をされるが見つめ返す。
「私は、紺炉さんの知らないことを知りたいから付いていきたいだけです!」
あ、少し困った顔をした。
私から参加しないのは本当。だって目的が違うから。
私は、紺炉さんの知らないところを知りたいだけである。
「‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「仕方ねェな。見るだけだからな。」
「やった!」
根負けした紺炉さんの言葉に嬉しさで表情が明るくなり、思わず手を握った。
(あっ、今更ながら人前で手を握るのはちょっと恥ずかしい‥‥。)
ある意味、ちょっとした逢い引き気分を感じるので私はとても嬉しい。
彼の好きなものを少しでも知りたい。それが例え、少し危ない橋であっても。
「ふふ、紺炉さんとこうして‥町を歩くのが嬉しいです。」
「そうかい。なら別にこうしてていいぜ?」
「‥!!」
すると握ってた手を一度離し、指を絡ませて再度握られる。
ドキッとしてしまうが、愛しい人とこうできることが、何よりも嬉しい。
「え、っと‥‥‥あの、これって、俗に‥‥‥。」
「恋人繋ぎ、だったか?」
あなたの言葉にぶわっと顔を真っ赤にしてしまう。
もはや恋人通り越して婚約を果たしてはいるが、時にこういった表現をされると変に意識してしまう。
真っ赤になった私に小さく笑みをこぼすあなたに、優しく触れられて一緒に歩いていく。
握られた温もりを愛しく感じながらも。
「ありがとう、ございます。」
その後、博打打ちへ通う行く理由を知ったときは納得の文字が出ました。
紺炉さんも苦労してるんだろうな‥って、見学しながら感じました。
ただ、お二人が楽しそうにしてるのを見て、私もちょっとでいいから遊びたいな、なんて考えてしまったのは、言うまでもない。
(勿論、言葉にする前に止められましたけどね!)
あなたのことがしりたくて
(言っておくが、お前は駄目だ。)
(っ!なんでですか‥!)
(お前は顔に出すぎる。勝負師には向かねェだろ。)
(‥‥‥ま、まぁ‥‥否定はしませんが。)