例え自身を死人と自称したところで、
生存を保つためには必要なものがある。
そのひとつは、睡眠である。
雨に打たれたのも一因ではあったが、なんでだろう。
ものすごく眠い。今までこんなことあった?ってくらい眠気が襲ってた。
ようやくシャワーを浴びてスッキリしてソファにもたれ掛かったか、今は全身から睡眠を欲していた。
そう、一言でいえばメチャクチャ眠い。
目蓋閉じれば熟睡できる。それほどまでに。
これなら仮眠でもいいから取ろうとしたところ、隣にいるジョーカーが声をかけた。
「‥‥眠い。」
「おい、リン。眠いならベッドに行けばいいだろ。」
「んー‥‥‥。」
それはわかってる。だが、身体が石のように重くてまともに動かせない。
身体を動かそうにも動けずそのままソファに流れるようによりかかる。
不本意ではあるが、ジョーカーに寄り掛かる形となる。
傍目からみれば恋仲のような睦まじいだろうが、生憎とそんな関係ではない。
朦朧とする意識のなか、耳元に唇がよって飛びきり低く囁いてきた。
「このまま俺の上で寝てると襲うがいいか?」
「それはやだ。」
流石にそれは駄目だと即座に反応しては、むくりと身体を起こす。
『つれねぇな。でもちゃんと言えるじゃねぇか。』なんて笑みを含めてそう聞こえた気がするが、ボクはそれを無視した。
身体が起こすのもしんどいが、好きに襲っていいとは断じて思ってない。
重い身体を動かし、よろよろと進むと寝室に入り、ベッドにダイブ。
少し質素だが心地よい柔らかさのマットに沈み、元々重かった目蓋が段々眠気へと誘う。
漸く待ち望んでいた眠りが訪れたようだ、と安堵して眠りについたがしばらくして扉が開く音がする。
「‥‥‥‥。」
ベッドは借りてますよ。
ソファで寝てください。
といいたいが今は深い睡眠に入りたい。
意識が少し浅くなってしまったが、また深く沈めばいいもおとなしくしていた。
‥‥だが、そうもいられなくなった。
なにを血迷ったかこの男はベッドで一人眠るボクと同じベッドに入り、こともあろうことか耳に軽く吐息を当てては舌を這わせ出した。
ぴちゃ、と水音が耳に入り込めば黙っていられず、
意識を覚醒させて振り向いた。
怒気を孕ませて。
「‥‥‥‥ねぇ、なにしてるの。」
「夜 這 い。」
語尾にハートがつくよう艶っぽい声でいわれても。
せっかく訪れた眠気が台無しだ。
ある意味たたき起こされたような時様態に苛立ち、足蹴してやった。
「いいじゃねぇか、減るモンなんてねぇだろ?」
「いや、減るモン云々の問題じゃないです。」
ボクの睡眠を返せ、といって力があまり入らないが足蹴にした。
それでも楽しそうにする男が酷く腹立たしい。
げしげしと反撃していたが、肩を捕まれてくるんと背中を向けるようにさせられれば、そのままベッドに入り込んだ。
離れろと押し込もうとしても後ろから羽交い締めのような形にされては力が入らない。ましてや今は眠い。
ぐいっと身体を密着させて、また耳元で吐息混じりに低く囁いた。
(こいつめ‥‥わかってて態とやってるのが尚のこといらっとする。)
「人肌恋しい俺を温めてくれよ?」
「絶対イヤです。離れて。」
さらりとシーツの下で腰を撫でる手を払うも、更に伸びては密着する。
離れろといっても後ろで面白がっているに違いない。
大変不本意ではあるが、構ってやることも眠気で満足にならない。
睡魔が襲われているからと言い聞かせて目蓋を閉じた。
せっかく訪れた眠気はお預けにされ、中途半端な睡眠しか与えられず益々睡眠不足となった。
ボクはこの後ストレスを抱えて蹴り飛ばしてやりました。
この後どうなるかは、知るよしもなく。
心の安眠を妨げる者に制裁を
(ふざけんなよ!眠かったのに全然寝れなかったじゃん!)
(だからって俺に当たるなよ?途中からいい夢見れただろ?)
(ぶっとばした夢を正夢にしたいならしてあげるけど?)