本当は、こんなはずじゃなかった。
本当は、私の命を守るためだった。
一応、教会に保護をされている私・柊玲奈だが、困っている事はひとつある。
そう。神父・言峰綺礼のことだ。
私はサーヴァントがいない魔術師で、一応聖杯戦争の参加者ではある。
しかしいないため、普通に戦闘になれば真っ先に抹殺されるのだ。
それを阻止するために教会に保護を求めたのだが。
ここでも命の危機を味わう破目になった。
言峰綺礼が私の能力だとかに興味津々になってしまい、数々の困った事が出てるのだ。
そうだ…。例えを挙げるなら。
私の能力(勿論発覚したのはごく最近だ)で興味があってか、常々弄られてるのだ。
挙句の果てに先日に言峰綺礼の興味本位だかしらないが
『一度、死んでもらおうか』なんて言い出して物騒な剣をずらりと持って本気出してきて!
その時は脱兎のごとく逃げたさ!だけど真顔で追ってきてね!教会の中で!
うわぁあああ、アレ思い出したくないわ怖いよ怖い!
助けてほしいからと教会に行ったのに、寧ろ此処でもなんて冗談じゃないのよ!
関わって欲しくない、というわけではないが、これが常々だと本当に滅入ってしまう。
「…ん?玲奈。なんだそれは。」
「はい?何って…お弁当、ですけど…?」
最初の会話がいたって平和的であるということに安心を覚えつつ、弁当の持ち込みの理由を話した。
単純に、教会に厨房なんてないと思ったからだ。
それに生活の基盤はあくまで自分の家なので、夜にだけお世話になるということにした。
話を聞けば、聖杯戦争は七人の魔術師が参加者のバトルロワイヤルだ。
(七人というのは私は参加するつもりは更々ないのでカウントしてない。)
そして、魔術というのは知られてはならないもの。聖杯戦争も然りだ。
一般人は決して触れてはならないというものだ。
なので、実際のバトルが行われるとしたら主に夜になる。
つまり、バトルに巻き込まれる危険があるのは夜の時間。
だから朝早くに帰っては日中は自分の時間を過ごし、
お弁当を持っては夜に教会でお世話になる。というサイクルだ。
結論を言えば、朝食用と必要なら夕飯のお弁当を持ち込むのは必要なことである。
「…玲奈は知らないようだが、教会にも厨房はあるぞ?」
「えっ?そ、そうなの…?」
言峰綺礼からの発言に目を丸くさせたのを覚えてる。
こればかりは知らなかった。だって、生活感ないじゃないか。教会、って。
あぁ、なんか不味いこと言っちゃったかな…。なんか、こっちを凝視してくるし。
「…あ、あの……?」
「……。」
言峰綺礼の光が入っていない目の先を向けると、向けてたのは私ではなく、私の弁当箱。
……え?
いやいやいや、そんなことないよね。で、でも…。
「も、もしかして……。食べたい、とか言わないよね…?」
「……。」
質問するもただただ黙ってるだけ、あぁ、もう空気が重い重い!!
しかし今は自分の分しかないし、食べられる訳にはいかない。
となったら…、今日は無理だ。なら何時だ?
如何にも近いうちに作れとでも言いたいような、そんな目線。
違う、なら違うであってくれ。
食べたくないなら食べたくないでいいから!
もし試しに作って口に合わないとかの理由でまた殺されるなんてもうゴメンなんだから!
「…じゃあ、明日の夕飯作るから…。何が食べたい?」
「麻婆豆腐。」
間髪。即答だった。速すぎるタイミングに耳を疑った。
私が問いかけるのを知ってたかのようなタイミングだった。
教会に厨房があるなら、わざわざ作ってこなくても大丈夫だよね。
そうなったら材料を途中で…あ、何があるのか確認取らないと…。
………。
これは、チャンスかも……?
日頃何度も殺されかけたりとか色々募る事はあるんだ…!
あぁ、これは。お返しくらい、してもいい、よね?
決行日は、明日、20時。
日常仕返しのゆくえ・上
(麻婆豆腐……レシピを手に入れないとな……。)
(玲奈は料理は出来る方なのか?)
(そ、そりゃ…一人暮らしですから。最低限の自炊は…。)