文学少女の試練は突然に


文学少年、改めまして。文学少女。
…といっても、変えたのはひとつだけだが。



「ふぁ…っ。」
「どないしたん、自分。随分眠そうやないの。」

「いえ、ちょっと本で夜更かししてしまって…。面白くてついつい。」
「へェ、そうなんや。」



文学少年、改めて文学少女・霧島蓮は相変わらず文学に読みふけていた。
そして、私との関わりを始めたのはこの男・今吉翔一だった。

しかし。完全に気を許した訳ではないので、どうも距離を取った行動をするのは最早癖だった。
別に、この男だから警戒している訳ではない。
(いや、今吉先輩だったら十分に警戒する理由にはなるのだけど)



「なぁ、蓮。」
「……なんですか?」

「蓮の家って此処から近いん?」
「…ま、まぁ。学校から15分くらい…自転車ですともっと早いですけど。」



自転車で行ったり歩きで行くのは気分的なものなんだけど、とひとりごちる。
偶然私がいた場所は高校から近かった。

正直今の桐皇にいるのもそれだけだ。
行くなら近い方が色々楽そうだったから。


というより、何故この男がそれを聴いたのだろうか。
恐らく今吉は話し方が関西弁なのだから、この高校にいるにしても寮生だろう。
確か、桐皇は全国からスカウト、というスタイル故に寮はあるし。



「今度そっちに行ってもえぇ?」
「……は?」



蓮は思わず聞き返す。
そっち?って、え?私の家?なんで?はい?

いやいや、そんな訳…本当か。
だってまじまじとこの男が見ているんだもの。



「なんでそうなるんですか?」
「ワシが行きたいって思ったからやけど。」



絶対嫌だ。断りたい。ノーだ、ノー。
さっさと断ってしまおうと思っていたが、腕を掴まれてにこりと一言。



「言っとくが、自分拒否権はないで?」
「っ、いや、です…。」

「イヤやない。仲良ぅするための手段や。」



仲良くするための手段で家に行くって、本気か。
そもそも、私仲良くしようってつもりじゃないんだけど。

まぁ、少し考えようかと思っていた矢先。



「彼女の家に遊びに行って、キスして、ヤることヤって。もう二度と離さない束縛して…まぁ色々して仲良ぅしたいんや。」
「彼女になった覚えは…って、下心アリアリですよ。」

「何言うんや。蓮。ワシやって健全な高校生やで?」



前言撤回!!もう危ないというか危険人物過ぎるわっ!
(そもそも健全な高校生がそんなに自称カレカノ相手に下心出すかっ!)

離れようとしたが、掴まれた腕は未だに離してくれなくて。



「仲良ぅしようや。なぁ、蓮?」



くいっと眼鏡をあげて笑みを浮かべるも、目の前にいる男は打算的で狡猾。
今吉翔一、という男だった。





文学少女の試練は突然に
(は、離してくださいよ…!)
(イヤや。彼女になる言うんやったら離したるわ。)
(絶対断りますッ!!)