戯言遊戯のゆくえ
罰ゲームなんて、誰が考えたんだろうか。
さっさとして、ちょっと黙って。
「なぁ、蓮。」
「‥‥何ですか。」
「ポーカーせぇへん?」
「‥‥お断りします。」
何が楽しくてこの男とカードゲームをしなければならないのか。
それに、お遊びならこういった類は断りたい。
理由はただひとつ。
「ツレないなぁ、理由聞いてもえぇか?」
「心理戦を得意とするアナタにポーカーなんて無謀にもほどがあります。
確実に私負けるじゃないですか。」
人の心を読むのに長けている今吉に、ポーカーなど心理戦が絡むカードゲームをやるのは無謀すぎるのだ。
カードゲームは駆け引きを楽しむはずなのに、
今吉の前では常にカードを表に見せてるポーカーや神経衰弱となんら変わりない。
「せやけど、ハラ読むのは自分も得意やろ?」
「‥‥今吉先輩ほどじゃないですけどね。」
確かに、ちょっとした仕草で表れる心境だとかオーラとか。読めるのはそれくらい。
だがこの男は違う。
人の心が読めるんじゃないかってぐらいに的確なのだ。
そのスキルの高さは人間レベルじゃない。
「なんやなんや、ワシを人間やない目で見て。自分が読めるくらい只漏れなだけやないか。」
「‥‥ッ!!だから読むな!
そんな読めるアナタにポーカーフェイス出来るほど私上手くありませんから。」
心に、鉄骨製の鎧がつけれたらいいのに。
それなら読まれる隙なんて与えない。
ようやく、対等になれる。
「せやったら、練習としてならどうや?」
「れん‥しゅう?」
「せや。蓮は心読まれるんが嫌なら練習したらどうやって思うんやけど。
ワシでよかったら相手になるし。」
練習、か。確かに今までこの男には心を読まれ続けていたから克服したい気持ちもある。
そんな方向に考えてしまったのを、数秒後に後悔する。
「‥‥っ、解りました。」
「決まりやな。」
さも嬉しそうにしては腕をぐいっと掴んでは連行される。
場所はどこだって?足取りの行き先は寮。
となれば、今吉の部屋に決まってる。
(あわわ、だだ、だめだめ!食われる喰われる!!)
「ッ‥?!ちょ、なにして‥っ。」
「何にも取り決めないのも退屈やし‥せやな。しくったら罰を与えるってのはどうやろ?」
腕を依然強く掴んだままずるずる引っ張られながら淡々と話す。
これから行う一方的ゲームを、拒否する間も与えずに。
「ッ!は、謀りましたね‥っ!!こ、こうなるのを解って‥。」
「ん?ワシは何にもしてないで?」
逃げようと反射的に動こうとした体が固まる。
腕を捕まれ、後ろからの一言。
ぞわりと、空気が変わるのは薄く開く三白眼の所為か。
「勝てん勝負に乗ったのは蓮やろ?」
あぁ、神様。私に少しでも力をください。
この男から逃げるための力を。
戯言遊戯のゆくえ
(こ、これでどうだ…フルハウス!)
(残念、ストレートフラッシュや。もう五度目やで?次はどんな罰がえぇ?)
(もう‥勘弁、して‥‥)
(せや、今度のデートにスカートでも穿いて貰おうか。勿論短いヤツな)
(誰か助けて…!!)