蕾が心音ノイズを叫ぶ。


アナタと話すたびに、私の音は煩いままだ。


人と話すことが苦手なワタシを好きと言っていた彼。
少しでも早くアナタの名前を呼ぶようにすると話す彼。



「蓮ちゃん。」
「ッ、あ、あの…ココ、学校、だよ…?」

「ん、そうだよね。」



放課後で人もちらほら居なくなってるときに、教室の壁に追い込まれてた。
学校でこんな不純異性行為じみたことに、イケないという背徳感がただ蓮を支配する。

その背徳感を、高尾は寧ろ楽しんでいた。



「今は誰もいないし、近くにもいないよ。だから、キスしたい。」
「ででで、でもココ、じゃ……。」



流石に教室は危険すぎる。
幾らアナタが広い範囲で見えるからって、それでもイヤなものはイヤなのだ。

唯でさえアナタに近づくことは私にとっては異常なのに。



「んー、じゃあ。移動しよっか?」



そう言われてくいっと引っ張られては、そのままついてくしかなくて。
移動しようと言われては、その行き先は屋上だった。

気づいた時には屋上に続く階段をとんとんと登って、
屋上は今立ち入り禁止と鍵がかかってるが行き止まりまで足は進めていた。



「え?こ、ここ……屋上…?!」



驚いた私に『そう』と語尾にハートマークを付けるようにして返事した。
そしてそのままぐいっと腕を引っ張られては、壁に追い込まれおもむろに口付けされた。



「ふぅ…ッ?!」



抵抗しようにも抵抗させる隙もなく、後頭部を抑えられて口付けをされる。
今まで触れるだけのキスはしたことはあるけど、こんな濃厚な方は初めてだ。


暫くアナタに好きにむさぼるような口付けにくらくらしてしまって、倒れる寸前で解放された。

だけど私の息は荒くなって浅い呼吸を繰り返す。
それなのにアナタは満足げな笑み。



「蓮。」



ただ一言、アナタは私にこう続けてはおでこを今度はくっつけた。
キスとは違くて意識を持ってかれないのだけど、
顔が唯でさえ近いからバクバクと心音が煩い。



「オレ、蓮のことが好き。これだけは忘れんなよ?」



時々見せるアナタの真剣な表情。
あぁ、私はいつまでアナタに振り回されたらいいのですか。


ドクンドクンと、心音が破裂しそうな程に煩い。
しばらくはアナタの声とキスによって異常を延々訴える音を何とかしなくてはなんて思う。

この音は、サウンドというよりは最早ノイズだった。





蕾が心音ノイズを叫ぶ。
(蓮、もっと顔見たいしキスもしたい。もっと俺を感じて?)
(ッ…なんで、そんなに…ハッキリ、と…。)
(そりゃ、本音だしな?)