Gloves in one...
部活の終わりの出来事だった。
この時期は秋から突然に冬のお知らせを告げてくる。
ましてや、日中は比較的そこまで寒くないのに思い知らしてくれるのは日が暮れた以降の時刻だ。
部活を終えたら外は既に真っ暗で、街灯の灯りが頼りだった。
でも、風は寒さを帯びて空気はひんやりとしていた。
二人して部活終わりに学校を出ると、一言を発したのは彼だった。
「うわっ、寒ぃな。こんなに冷えるんだな…ッ。」
「…そ、そう……だね…。」
寒くなると天気予報で言っていたから、予め手袋を持ってきてよかったな。
バックからごそごそと手袋を出すとちらりと見て少し考えた。
そして、はぁっと温かい息で手を温める高尾くんに、声をかける。
「あ、あの……高尾くん…。」
「ん?」
「よかったら……使います…?」
「手袋?でも蓮ちゃんの大きさだとちっちゃくね?」
「大丈夫ですよ。これ、結構おっきいので多分入ると思います。」
そういって、私の手袋を高尾くんに渡す。
それを受け取るものの、逆に高尾くんがこっちを見てきては逆に首を傾げる。
「じゃあ、遠慮なく……って両方とも使っちゃっていいの?」
「え…?だ、だって……手袋ですから…。」
「んー、じゃあこうしようぜ?」
提案を聞く前に、片方の手袋が返ってきた。
そう思ったらお互いの手袋をしてない手同士で手を繋がれた。
「へ…?」
「これでいいだろ?」
唐突に握られて、私は慌ててしまう。
普段そういったことをしないからかぁあっと顔に熱が集まったのを感じる。
ひんやりする手でぎゅっと手を握られ、掌がじんわりと温かい。
「蓮ちゃんの手ちっちゃいなー。可愛い。」
「こ、これで、大丈夫…ですか…?」
「あとこれな。」
手を繋がれただけなのに、更に手をきゅっと握ってはそのまま制服のポケットにインされる。
それによって近かった距離が更に距離が縮まってしまう。
「あ、あの…え、っと……ちょっ……!」
「これであったかいっしょ?蓮。」
にこっと笑う彼に思わず顔を赤らめてしまう。
実は鞄の中に入ってるのにな、アナタの手袋。
お誕生日おめでとう、と言いたいのに。
今はすっかりと彼のペースに巻き込まれてる。
でも…嬉しそうだからいっか、なんて思ってはふにゃっと柔らかく笑う。
帰り際にでも渡してあげようと思っては、そのまま一緒の帰り道を歩いた。
大分寒くなった、彼の誕生日の出来事だった。
Gloves in one...
(あ、あの…高尾くん……これ…。)
(ん?これって……てぶくろ…?)
(誕生日……おめでとう、ございます…)
(覚えてたんだ、サンキュ。)