なつかしい茶飯事を
『あ。』とまず最初にカレンダーを見て口にした。
言葉ではないそれだが、意味はもちろんある。
『何かに気づいた。』という意味の音である。
「ねー、順平。」
「あ?」
部活が終わり、練習も一通りこなしたのち、着ていた練習着で軽く汗を拭く。
お疲れ、と返して投げるように渡したタオルもちゃんと受け取り汗をちゃんと拭きながらこちらに向いた。
そんでもって、彼がこちらを向いた時にさらりと言ってやる。
「今日、うちにおいでよ。」
その一言で『は?』と言って固まる幼馴染。
そんでもって、みんなも凝視してきた。
ねえねえ、なんで今更見てくるかな。
みんななら兎も角、順平に至ってはこういったお誘いなんてよくある茶飯事なことなのに、思わず笑ってしまった。
…あ、でも今は茶飯事じゃない、か。
「今日誕生日でしょ?私の手作り食べてきな、って。」
ニコニコと笑みを浮かべて、ご飯のお誘い。
色々考えたけど、ストイック性な彼にはプレゼントなんて合わない気がして。
それに、ずっとこういう関係してたんだから。
だったら、家に呼んでお手製料理作るのだって悪くないじゃない?
「あぁ、ちょっと待ってろ。」
ぐしゃぐしゃっと少々荒っぽい手で撫でまわし、更衣室に入っていった。
その間、みんなに茶化されたのは言うまでもなかったけど。
これで、ただの幼馴染だよってカミングアウトしたらみんなに驚かれたけど。
なつかしい茶飯事を
(久々じゃない?順平がうちに来るのって。)
(家は近いのにな、よくお邪魔してたのが嘘みてえだ。)
(たまにじゃなくていいのよ?家族には順平なら歓迎だから、って。)
(…ったく、あんまし困らせんじゃねぇよ。)