回る。廻る。回る。廻る。
世界は回る。世界が廻る。
人が生きることも、人が死ぬことも。
「私、たまに思うんだ。どうしてこの世界に来たんだろう…って。」
世界に、飛ばされた。私、藍璃乃亜。
本来ならば、この世界は私の居た世界ではない。
それなのに、何処か懐かしさを思わせて。
「そういえば、お前は前にも言っていたな。この世界ではないところから来たと。」
「あの時は、本当だと感じなかったでしょ?」
「私は最初から嘘だとは思っていなかったがな。
ノア。お前には此処の人間とは違う匂いがしたからな。」
そう。そもそも、この世界に飛ばされた身。
最初は余りにも事情が違いすぎて 激しく困惑した。
だけど、この生活が暫く続いて かつての世界ではないものも感じた。
誰かが死んだとしても、世界は止まらない。
誰かが生きていたとしても、世界は動き続ける。
そのはずなのに。そのはずなのに。
あの世界は時がただ廻ってるようにしか思えなくて。
この世界は時の一つ一つをよりリアルに感じられて。
「あの世界よりもね、なんとなーくだけど…この世界の方が生きてるって感じがするの。」
若しかしていたら、忘れていたのかもしれない。
生きる、ということを。
此処は、それ程までに死を感じられるから。
私のかつての世界、時間だけが過ぎていって 生きると言うことを感じられなくて。
まるで、私のかつての世界が 既に死んでいるかのように。
「あとね、夢を見るの。とても悲しい夢。」
「夢、とは?」
時々夢を見る。だけど鮮明に覚えてはいない、非常に曖昧なものなんだけど。
私が持っているベレッタと同じ銃。そして、黒髪の女性。
顔は解らないけど 恐らく私とそう変わりない。
その女性は 何処か悲しい表情を浮かべているようだった。
そう見えた。非常におかしくて、曖昧な夢。
なのにそれを夢と片付けるのは 何処かリアルさもあって。
その女性の夢を見ると、何故この世界に私が居るのだろうと 思ってしまう。
夢の内容は敢えて話さない。
なんでかは解らないけど、話してしまうと ダメな気がするから。
前に聞いた私似の女性。が気になるから。
そんな不思議な感じてしまう、この世界。
そんな世界に何故、私が居るのだろうと。
「私は何故 この世界にいるんだろう。でもこの世界が、かつての世界よりも…。」
美しい、とは言わない。かといって、醜い、とも言わない。
不思議な気持ちになるのだ、此処の世界は。
くるくるぐるぐる。そんな不思議な夢を見せて、それを放さない。今の世界。
流転のようにくるくる廻る夢。
そして、どちらが 本当の世界かも 惑わされるような裏表な世界。
そう、まるでメビウスの輪。
常に死を表で感じ、生も感じられる世界と。
常に裏で死と生をじわじわと伝わる世界と。
くるくる夢と現実を廻るのは どちら?
Vicissitudes Moebius
(生きるのも死ぬのも。此処ならそれをよく感じられる。)