好奇心は時に無謀

好奇心が旺盛なことは、色んなモノに興味を持つこと。
それは、自分にとってプラスになり、実にイイ事である。

‥が、たまには。ソレが仇となることもあるが‥。


「幹部様、幹部様。」
「‥その名で呼ぶのは止めろ。」
「幹部様って、一体幾つなんですか?」


じぃっとジンの方を向いて、本人のコードネームを呼ばずに名前代わりとして呼んだ。
それをジンは直すように返すも、彼女はそれをあっさりと言葉を無視して、問いをぶつけた。

だが、その問いが余りにも突拍子で、これから吸おうと手に取った煙草を持ったまま一瞬固まる。
何を言い出すかと思いきや、まさかの年齢という素朴な質問なのは想定外であったが。

「幹部様って‥見た目は三十半ばそうですけど‥。
持っている銃とか愛車とか、随分年代が古いですよね。」


それに、煙草に火を点けるのはマッチですし。と彼女は続ける。
彼が持っている銃はベレッタM1934、そして愛車はポルシェ356Aだ。どれも年代は古いものだ。

彼女はまだ幼さを残した眼で見つめるが、呆気なく返してやる。


「関係ねぇだろ。」
「だけど気になります。幹部様って幾つなんですか?」


ズイっと近づいて真剣に見つめ、一行にも引く気配を見せない。
身長差があるとはいえ、目は真剣そのもので‥。

彼女は意外にも‥否、好奇心が旺盛である。
この世界では好奇心は、寧ろそれが仇となり、危険な代物であるはずだが‥。


この丸腰さ、無防備さに、半分ため息を吐く‥が。ひとつ、何かを思いつく。
さて、俺が仕掛ける罠に‥掛かるか、なんて愚問。予想が付くことだがな。

「知りてぇか?」


彼女の反応が妙に薄い。
流石に気づいたか?‥自棄にすんなり降りたことに。

だが、もう遅い。何かを予感しつつも、好奇心という罠に絡まるには、知りたいはず。
そして、彼女。篠崎來の心が面白いぐらいに読み取れる。彼女は好奇心に負け、こくりと頷いた。


「は、はい‥。知りたいです。」


頷いたが最後、なんて近い言葉が存在するのは知っている。
でも、ごめんなさい。私の好奇心には何も敵わないの。

だが、本当の意味で後悔したのは‥この後だった。


「テメェが今日一日俺の奴隷になったら教えてやるよ。」
「ちょって!何奴隷って‥!今日一日って、寧ろ毎日奴隷扱‥‥。」


ものっそい、イヤな予感はしたと思ったよ。
だって、頷いたときに鬼畜めいた笑みでこちらを見ていたのだもの。

確信犯。そう思ったが‥もう遅い。


「覚悟しろ。」
「出来るかぁあ!!」


このあと、必死になって幹部様の魔の手から逃れようとしました。

しかし、触れた際に知らぬうちに取り付けられた発信機により、
全力で走っても追いつかれ、すぐさま囚われたのでした。


更に。彼女がこのあとどうなったかは解りません。
だけど、木霊する叫びと甲高い声が、とある一室に広まったのは‥言うまでもない。

ただ、朦朧な意識の中で。銀髪の男は、鬼畜も嬉しそうな笑みを浮かべた。




好奇心は時に無謀
(‥兄貴、來に何やらかしたんですかい)
(フン、高が一興に付き合わせただけだ)
((‥また來で遊びやしたな。ジンの兄貴‥))
((結局聞きそびれたし…腰痛いし、最悪だよもう))