沈黙が流れる。
只今、目の前に起こったこと事実を、はっきり言って受け入れがたいから。
有り得ない。断じて。
「‥ひとつ聞いて良いかしら?」
『‥何だ?』
「手短に済ませろ。」
「何で‥幹部さまが二人も居るのよ!?」
実は。ジンが組織が開発した新薬を事もあろう事か私に飲ませようとし、抵抗したらうっかりジンの口の中に。
飲み込んでしまってそのまま放置したら‥‥二人居たという。
輝かしさを抑えつつも綺麗な金色の髪と、さらりと流れるきらびやかな銀色の髪。
嗚呼、どちらも間違いなく、ジンだ。
未だにパニックでありつつも、変に緊張してしまっては、二人をちらちらと見て。
「金髪の幹部さまと、銀髪の幹部さまかぁ‥。こうみるとどっちもイイよね。」
『ハッ、そうかよ。』
金髪のジンに頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。いつもならこんな事は無いはず。と、内心少し違うジンに思わず硬直。
こんな優しい幹部さまは今まででもよっぽど機嫌が良いときにしか有り得ない。
もしかして‥、意外と‥?
「優しかったり‥する?」
『あ?』
「いや、すいませんお喋りが過ぎました。」
でも、やっぱりこの危なっかしい所は変わらない。
うん、そうだよね。変わりすぎたら逆におかしくなっちゃうもんね。
「では、‥‥こちらの幹部さまは‥?」
「その名で呼ぶな。來。」
銀髪の彼は鋭い目付きで即答してくる。
やや?寧ろこっちの方が‥いつもの?
「こっちは‥いつもの幹部さま?」
「呼ぶなと言っただろ?」
但し、大分危ないんですが。
このパターンなら、今まで無言の圧力だったのに行き成りベレッタ。
しかも隣にいる所為で、こめかみに見事に銃口が当たる。
嗚呼、もう軽く死亡フラグに見えてしまう。
「冗談ですって、だから離して‥!」
「上司にこの口か‥?來。」
あわわ‥。今まで私が知っているジンは、金髪の意外に優しいジンと銀髪の危なっかしいジンがブレンドしたものだと考えた方がイイ。
大分この会話で寿命が縮んだと考えてもイイ。
「いやいや、すみません。ほんとごめんなさい、反省してますからベレッタ宛てないで下さい‥!」
マジで怖いんだよ!
よく知るジンなら、鼻で笑ってすぐに引っ込めるんだろうけど、果たしてこちらのジンは引っ込めてくれるのだろうか‥‥。
『そこまでにしておけ。』
あ、別の方向から声が。きっと、これは金髪の幹部さま!
そういうと、銀髪の幹部さまは軽く舌打ちをしてはやっと鞘に収めてくれた。
嗚呼、これで何年縮んだのだろう。寿命。
ほっ、と息を吐いたのも束の間。
本当の意味で危険視をしなければいけないのを、気を緩めたのが仇となった。
『さて、いつに効力が切れるか解らねぇからな‥』
「未完成な代物だからな。だが‥」
「?はい‥‥?」
きょとんとしてこちらを見るも何故か、こっちを酷く睨んでいる。否、妖しい笑みを零している。
‥‥ イヤな予感がする。
「あ、の‥幹部、さま?」
「先ずはこの口を何とかしないとな。」
クイッと顎を掴まれて、目の綺麗にも恐ろしい瞳に‥思わず囚われてしまう。
だが、夢にうつつを抜かされた事実は‥現実によってぶち壊される。
そして、唐突な口付けが待っていた。
「んんぅ?!んー、んん‥っ、」
『なら、調教してしまった方が良いだろ。』
な ん で す と !
ヤな予感は見事に的中!って、そんな喜びは全くの無意味で寧ろ色んな意味の危機が‥!
長い口付けから解放されたかと思いきや、腕は囚われてるしもうヤバすぎる。
「ちょ‥!調教って何‥?!」
『そのまんまだろ?』
「クッ、元に戻るまでたっぷり遊んでやる。」
このあと、見事に二人のジンによって、餌食と化されたのでした。
金銀の悪戯
(二人いても、根本的なドSさは変わりません)