電波越しの恋文
時間の空白は退屈である。
人間が生きていられる時間なんさ、無限ではないのだけど‥。
退屈すぎて、ため息を何回でも吐いていける。
只今。ひとりぼっちで待機中。
私は今回の任務にて、ジンの所に付いて行くのを拒まれた。
まぁ、どちらかと言えば援護側だから仕方はない。足を引っ張るわけにも行かないので‥。
で、今はいつもの仕事場でボケっと俯く。誰もいない。勿論ジンも。
長期任務だから、仕方のないことなのだけど。
彼と‥ジンと一緒にいた時間が余りにも長く、大きすぎたものだから。
ひとりぼっちが、余りも長く感じて、余りにも寂しくて。
「‥‥メール、出るかなぁ‥?」
ぽつりと、何を考えたかメタリックレッドの携帯に手を伸ばす。
電話だとタイミングをしくじれば、流石にマズいため、ぽちぽちと打ってみる。
電源を切ってて、どうせ、返事は返さないのだろう。
だけども、僅かな期待を忍ばせてしまう。
矢張り、惚れてしまった弱み。なのだろうか。
From :來
Subject:調子どう?
お仕事の方、上手く行ってる?
それでひとつ提案なんだけど、
お仕事終わったら日、久々に食事なんかどう?
大丈夫よ。それぐらいは私が払える分までなら奢るわ。
じゃ、頑張ってね。幹部さま。
「で、送信。と」
無機質な電話のプッシュ音で、電波越しの機会質な文字が送信が完了したのを告げると、携帯を閉じた。
はぁ、とため息がつく。
食事を口実に出来るなら、ずっとこうやってやりたい。
非常にサディスティックで、危ない目をしていて、人を虐めるのを良しとするドSだけど。
好きになってしまったのだから。
勝手に惚れて、勝手に不安になってるだけなのは知っている。
だけど、少しは私の気持ちに振り向いてよ。
知らない、なんて言わないよね?
単純に興味がないだけでしょう?
知ってるよ。アナタは私なんかに‥見向きすらもしないだって。
PiPiPi‥。
「‥‥!」
携帯電話が鳴る。相変わらずの素っ気ない初期の着信音。
だけど、気分が一気に晴れ上がったのは、このメールが原因だ。
From :ジン
Subject:Re:調子どう?
さっき済ませた。直に戻る。
來の用事に付き合ってやるからさっさと支度して待ってろ。
意外にも速く返ってきたことにも吃驚しているのだが、何より‥。
返事が返ってきて、それもお誘いを受け入れてくれたこと。
期待なんてしませんよ。
だけど、アナタにこっそりと意識をしていることに‥気づいて下さい。
電波越しの恋文
(幹部さま。お疲れさまです!)
(‥今夜はホテルも予約した)
(‥はい?)
(クッ、誘ったからには覚悟は出来てんだろ?後で思い知らしてやる)