孤独な紅い猫
孤独な猫だから、解るのかもしれない。
誰の助けを借りず、自分以外を認めない眼。
まるで、それは一匹狼の女王様。
そいつが、今回の標的。
暗殺を依頼された訳ではない、唯の暇潰し。
こういう奴を対象にしたのは、任務とプライベートの狭間。
奴を誘拐し、取引を成立させる。
まぁ、誘拐した女王様を返したところで、誰も迎えなど居ないがな。
ただの、巻き込まれと悲劇のヒロインに抜擢された哀れな奴。
そして、彼女なら。そうすらも思い、考えないだろうが。
事実に。彼女はプライドで生き、そしてプライドに生きた彼女。
それを支えていたのは、紛れもなく自信と云う名の自尊心。
その、自尊心が壊れてしまえば、我を保てなくなる。
そんな奴を今まで何回も見てきた。
だから、解る。コイツのような人間を、これほどまでに打ち負かしてきたのかを。
「私に情けなんか掛けないでよ。」
「情けなんか掛けてねーさ、だが‥惨めだとは思うがな。」
未だに強い目だけが、こちらを睨む。
そう。この目を壊したくてたまらない。
「最低ね、アンタ。まるで女王様気取りのアナタを跪かせてやりたいわ。」
「クッ、お前に出来るのか?その女王様気取りの俺に屈服したお前に。」
銃口だけが、互いを睨む。
向けられた先に、獲物だけを狙って。
孤独な紅い猫
(飼い慣らせたとは思わないことね、アンタは必ず私が‥!)