今となれば、意味も無い昔の 話。
それはまるで、埃を被った 昔の写真のように
昔。とある人はとても優秀で、笑顔が素敵で皆から好かれる人だった。
でも、その人は。このセカイに棄てられてしまった。
そして。このセカイに 絶望を覚えてからは、全く自然に笑わなくなった。
笑ったとしても、分厚い仮面の下は嘲笑している。
あのセカイに棄てられた。仕事も場所も。下手をすれば、存在意義すらも。
「こんな…ことって…!」
硝子が、割れた。翼を模ったような、硝子の翼。
ぱきん、と折れて。そのまま重力に逆らうことなく、壊れ。砕けて。
翼を失うことは、こうも呆気ないことだったのかと思う度。悲しくなった。
「私が…一体何をしたって言うの…?」
壊れた翼は二度と戻れない。
仮に他の手段で飛べたとして、もう二度と その壊れた翼は死んだも同然となってしまって…。
まさにそれは、白(イママデ)の世界を忘れた 哀れなる亡霊。
知らぬうちに彷徨い、戻ってきた世界。
同じはず、なのに。何処か、違う世界。
嗚呼そうか、視点、か。
「…ねぇ、もう。私は戻れないのよね。この地獄のセカイから。」
白が黒に染まったように、その白では純白ではなくなる。
幾ら強い白(ヒカリ)で覆ったとしても、何処かしかに黒(ヤミ)が残る。
純粋を奪われ、何れこのままでは深く深く浸食する。
純白は場所を追われ、遂には漆黒に堕ちる。
そう、遠くもない日に。
堕ちぬと願い、祈るならまだ生き残れたものの
うっかりと忘れてしまったら、喉元を狙って種(カノウセイ)ごと奪われる。
掻き消されるように奪われて、居なくなって。ついには
存在すらも消される。
「戻ったところで地獄は変わらねーよ。」
「そうだね。そうだよ、だから私はこの世界を忘れることにしたのに。」
今までの世界とはおさらば。これからは白を消す存在となろう。
そうと、知っていたから。そうと、分かったから。
行こう、幹部様?
世界に捧ぐ絶望キネマ
(廃れた哀れなる世界に興味はない。あるのは…それを壊そうとする硝子の意志だけ)