雨は厄日である。

(名前無変換夢主)


突然だった。否、予感はしていた。
今日は、何か起こるかもしれないって。



「……へ?買い物……付き合え…?」
「…。」
「………うん、別にいいけど。」



今日もいつも通りの日常を送るかと思いきや、急遽買い出しに付き合うことになった。
付き合うことは別に構わない。

あの場所でなければ勉強することは出来ない。
(というより、やり直せとハッキリ言われたことだし…ぎゃふんと言わせてやりたい……言わないけど。)


買い出しを済ませ、早く戻る…つもりだった。
突然だった。否、予感はしていた。

だって、あんなに黒い雲が急にひょっこりと顔を出して空を覆って。
気づけば、土砂降りだった。



「あ、雨……!!やばッ、傘持ってきてない…ニコラス、早く帰ろ…っ!」



距離はまだ少しある。
一刻も戻らなければ全身ずぶ濡れは逃れられないだろう。

片手で荷物を抱えて落とさないようにしつつも、ニコラスの手をそっと取ってはそのまま小走り。
走ってると突然ふわりと体が宙に浮いたように軽くなる。

いや、ニコラスが私の手を逆手に取っては私ごと抱えてそのまま走ってしまったからなのだけど。
(いやー!!!こ、これ…!ちょ、ダメだってばぁあああ!!!)


突然の出来事で、結局はもう卒倒寸前なのを荷物を抱えるという使命だけに集中して意識をかろうじて保つ。
やっとの思いで便利屋の事務所についたがそのまま一階に連行され、ぽいっと風呂場に放り込まれた。
(え、っと……先に入って、いいのかな……。荷物持ってかれちゃったし…。)


とにかく、濡れて張り付いた衣服をさっさと脱いでしまおうと思ってはぽいっと足元に捨てた。
(い、今は…誰もこの階にいないし……大丈夫……大丈夫…。)

大丈夫、と思いつつそのままシャワー室に入る。
貸してもらっているために、早くあがりたいと思いつつも冷たい雨に熱いシャワーのお湯はとても心地よかった。

冷えた体を温めるようにお湯を頭からかぶり、体があたたまったのを感じてはお湯を止めれば、ふぅと軽く息をついた。
ひとりになって、ひとりの狭い空間に入って、改めて思い返してみた。


思い返したのは、ニコラスのこと。
なんで触れられただけで、近く感じただけで変にドキドキしてしまったのだと。
普通に接するだけ、会話するだけだったら、特に異変を感じないのに。

なんで?どうして?こればっかりがループした。
……思い返しても、結局結論は出なかった。



「はぁ……あがろ……。」



結論が出ないのはしょうがない。何かふとした時に出るかもしれない。
そうささやかに祈りつつ、あがろうとすると。



「?」



……!……!!…………!!!!?
……い、いや……落ち着け。落ち着くんだ、ワタシ。

こんなことは、ない。
こんなことは、ない。
こんなこと、は、な………。



「うわぁぁああああ!!!」



今まで出たことないくらいのボリュームの悲鳴が、木霊した。



「?」
「なな、な、な……なな……なんで……!!」



いや、逃げたい。超逃げたい。
当の本人はこっちがなんでそんな顔をしてるのかって言いそうなぽかんとした顔をしている。

シャワー室でなんで鉢合わせ……もとい乱入されるの!!
先に入ってよかったんじゃなかったの?!


それなのに、当の本人は準備万端だったようで案の定張り付いていたシャツは脱いでいた。
鍛え上げられた筋肉質な体には、あちらこちらには傷。

もう、わけがわからなかった。
というより、頭のキャパシティがとっくに限界のメータは振り切れてた。



「ぁ……ぁ……、ニコ、ラ……。」
「?」



首を傾げてこちらに触れようとする。
その瞬間、ぶちっと何かが音を立てた。



「あぁああああ!!ち、近づかないでぇええええ!!だ、だめだからだぁああ!!」



本日二度目の絶叫。絶叫は一階だけでとどまらず、便利屋事務所全体に響いた。


突然だった。否、予感はしていた。
今日は、何か起こるかもしれないって。





雨は厄日である。
(っ…もう…ニコラスのバカ……。着替えこれしかないし…私の洗濯されたか…。)
(……おい、それ。俺のだ。)
(へっ!!?)