ばかふたり
※5年生のときのはなし
土曜日の午後だというのに天気は冴えなくて灰色をしていたから、つられてわたしも談話室でだらだらと厨房でしもべ妖精たちにもらってきたヌガーを頬張るのも道理というものだ。というわたしの意見にいっさいセブルスは耳を貸さなかった。というわけでこの薬学オタクに連れられて第2温室に来たというのにセブルスはなんかにやにやしながら葉っぱの状態を確かめてるし、暇だからその辺のやつに水やりでもしてると言ってみたら、繊細な育てを必要とする大切な薬草になんてことしてくれると切れられるしだわで結局談話室にいても一緒じゃないか!と憤慨していた、そのときだった。
「あ、あめ」
「また菓子か。太るぞ」
「雨だよ!!!失礼な」
ボツ、ボツ、と温室のビニールに雨が落ちてきたと思ったら瞬く間に雨音は一気に増え本降りになってしまった。しまった、帰るタイミングを逃したらしい。
「なんか通り雨じゃないみたいだね、帰ろうよ」
「・・・・・・あ、傘」
セブルスが指さした先をみてみると、なるほど作業用具がまとめておいてあるスペースにひとつ古めの傘がある。
「・・・お前が使え」
「え、いいよ」
「お前が風邪ひくと後が面倒だからな。とにかく差して帰れよ」
「なにどういうこと」
ふたりで入ればいいじゃん、と言おうと口を開いたときには時すでに遅し。セブルスは温室から走って出ていってしまっていた。なんなんだ、かっこつけか!ええいもうしらん!わたしもダッシュで追いかけて、セブルスの手に差した傘を押し付けた。こう、グイッと。
「待てセブルスこのやろう!!」
「は、は?なんでお前まで走ってくるんだ濡れるだろバカなのか?僕の親切を」
「へっ!バカなので風邪ひかないんですー!セブルスは賢いんだから傘差せば!?」
グイッ
「なんでそんな捻くれた思考になる!?とにかくお前が使え!」
グイッ
「渡した瞬間ダッシュするのなんかお見通しだわばーか!大体いっつもひねくれてんのはセブルスじゃん!なんで温室なんか連れてきたのさ!」
グイッ
「温室が一番落ち着くんだ!そこでリツと過ごしたいと思ったんだ!!!」
グイッ
「えっ・・・・えーとセ、セブルスのばーか!一緒に入ればいいだけじゃん!」
グイッ
「ふ、ふたりで入ったらはみでるだろ!風邪ひいちゃ意味ないじゃないか!」
グイッ
グイッ
「・・・それで?ふたりで傘押し付けあいながら帰ってきたからほとんど差してないのと一緒だったと」
「・・・はいそうです」
「それで二人とも風邪がっつり引いてるんですけどこれ、どういうことなんですかね」
「セブルスのせい!」
「リツが!」
「やっぱもういいです。ふたりとも、大人しく寝てください」
というわけで、般若のような顔をしたレギュラスに看病されている。面倒だからとルシウス先輩の部屋(一人部屋)にベッドをふたつだしてセブルスと並んでいるというわけである。
「セブルスごほごほうるさい」
「お前のくしゃみのほうが不快だわ」
「もうふたりとも黙ってくれます?」
「「・・・すいません」」
「ていうかふたりともばかですよね。魔法使えばいい話じゃないですか。防水魔法ぐらいならったでしょうに」
「「・・・・・あ」」