2つの王座
夕暮れ、スガタは厳しい表情でいつもの公園へと向かう。
「―君に2つ提案がある。1つは前にも話したが、絵のモデルになって欲しい。
いや、これは絶対なるべきだ。これはもう運命だと思う」
ヘッドはキャンバスに絵筆を滑らせながら言う。
「君はその為に産まれてきた少年だ―」
「…もう1つは?」
スガタは静かに言う。
「―綺羅星十字団第1隊・エンペラー代表の座は君の為に空席にしてある。
正確には君と、もう1人、“審判者のシルシ”を持つ者の為にね。
我々はいつでも君を迎える用意がある」
「…あれは誰だ」
スガタは静かに問う。
その声音は冷たく、鋭い声だった。
「“審判者の泉”…王の柱と並ぶ強力な第1フェーズの力。
そして、その力の大きさと不安定さ故に、この世界に存在する事を拒絶された力―」
スガタはス…ッと片手を上げる。
「まさか、此処で王の柱を使うつもりかな」
「…才能は、何か意味があって神様が与えてくれたものなんだろう?」
「戦士のシルシを持つという事は即ち、大きなリビドーを持つという事だ。あるいは野心と言っても良い―」
「そしてそうであるが故に、戦士のドライバーは誰も俺には勝てない。
まぁ、君の胸に刻まれているのは戦士ではなく、王のシルシだが…」
ヘッドは絵筆を置き、立ち上がると、スガタとすれ違う。
「間もなくあの銀河美少年は敗れる―」
「…」
「命まで奪うつもりは無いよ。むしろ、彼も仲間だと思っているからね―」
「…まだ答えを聞いてない。あれは誰なんだ」
ヘッドは足を止め、僅かに微笑みを浮かべると、スガタを見る。
「彼女は君自身が自分で答えに辿り着く事を望んでいる。
残念ながら、俺から教える事は出来ないよ」
それだけ言うと、再び背を向け、去って行く。
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