生きている感触
「―今回の仕事、早く終わると良いですね」
本土へと向かうフェリーの中で、リンは遠くなっていく島を見つめるなまえに声をかける。
「そうだね。というか、さっさと終わらせるよ」
甲板のベンチに座るなまえは、風に揺れる髪を耳にかける。
「折角の“祭り”に遅れるわけにはいかないからね…」
「…そうですね」
なまえは頬杖をつき、目を細める。
「…黙っていてもどうせすぐばれる事なんだから、少し位猶予をあげても良いかなって思ったんだ。
“あの子”は、ノイを家に連れて来てくれた子だからね」
リンは何も言わなかった。
「…彼女が日死の巫女でなかったら、良い友達になれたかな」
「その答えは貴女だけが知っているんじゃないですか?」
「そっか…」
なまえは立ち上がると、んーっと身体を伸ばして目を閉じる。
「風が気持良い…生きてるって感じだね」
なまえは胸元にそっと手を当てる。
「…このシルシの事が知れれば、こうやって風に当たる事も出来なくなる」
リンはそっとなまえの手を取る。
握ったなまえの手はとても冷たかった。
「リンの手…あったかいね…」
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